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第7話

 ランドガリアン!

 ・・・・私が魔獣を見たのはこれが初めてだった。それもこんなまじかな距離で。


 大きな爬虫類のような口、その口には尖った牙が沢山あり、その手足にも鋭い爪がついている。


「きゃあああぁぁぁぁ!!」

「うわあぁぁ・・・」

「逃げろ! ここにいると危ないぞ!」


 講堂内に避難している生徒たちの悲鳴が木霊する。


「アリス様・・・」

 魔獣は怖い! でもアリス様とミューラー殿下だけでも、この場から逃がさないといけない。

 たとえこの身がどうなろうとも・・・そうですよねニール様。


「ここは自分らが食い止めます。殿下は早く脱出を!」


 教師の何人と護衛の騎士が勇敢にも魔獣の前に立ちはだかった。


「済まない・・・後は任せた」

 ミューラー殿下はそう呟いて、魔獣と反対側に走りだした。


 私とアリス様、大勢の生徒がそれに続いた。

 

 逃げる私たちの後ろから悲鳴が聞こえてくる。

 狭い講堂の入り口に大勢の生徒が殺到していた。

 魔法で応戦している者もいたが、足止めにもなっていない。


 そこへ騎士団が遅れて到着した。


「今のうちに屋外に逃げるんだ!」

「はいっ!」

 私たちもなんとか屋外に逃げだすことができた。

 

 屋外には多くの騎士たちが講堂を囲むように集結していた。

 あの紋章は王都の守護騎士団と第二騎士団?


「殿下! よくぞご無事で」

 ミューラー殿下の姿を見つけた騎士の小隊が私たちを保護してくれた。

 これで私たち助かったの?

 でもまだ安心するのは早い。魔獣は生きているのだから。


 安心した私をあざ笑うかのように、轟音は辺りに響き渡った。

 破壊された講堂の外壁、まっすぐ伸びる炎の渦。


「まさかブレスか! 各員抜刀! 魔獣が出てくるぞ!」

 

 講堂からゆっくりと姿を現した魔獣、あんなのどうやって倒すのよ。


「各員攻撃開始!」

 攻撃魔法が次々に魔獣に命中していく。

 爆発音と土煙が魔獣を包み込んだ。


「やったか?」

 だが土煙から魔獣が姿を現した。

 その姿は傷つき全身ボロボロだった。だが目は鋭いままこちらを睨んでいる。

 

「まだ動けるの?・・・えっ!?」

 魔獣の驚愕の生命力に驚くまもなく、魔獣がこちらに向かってくる。

 なんでこっちにくるのよ。

 周囲を囲むように騎士たちがいるが、なんでこっちに?

 講堂でも私たちを狙ってきたような・・・まさか狙いは私たち? いや狙いは殿下かしら?

 

 だとしたら殿下のそばが一番危ないってことになる。この場から離れるべき? いやいやそれはダメでしょ。

 私たちは殿下をお守りしないといけないのよ。


「殿下は避難を!」

 避難指示を飛ばす騎士の眼前にまで魔獣が迫ってきていた。


 もはや逃げれることはできない。

 ・・・でも怖い! 魔獣の恐ろしい姿を見て足がすくんで動かない。

 誰か助けて! 

 助けてニール様!


 魔獣が私のそばまでやってきた。


 怖い! 助けてお父様! 助けてニール様!


 私の前に魔獣の鋭い爪が迫ってきた。


 私は死を予感した。



 死を予感して目を瞑ったが、一向に痛みが襲ってこない。

 それとも痛みを伴わないうちに死んだの?


 あれ? 私・・・まだ生きてる。

 ・・・私を呼ぶ声が聞こえる。

 この声は?

 この声は誰?

 聞き覚えのある声。


「ルシア! 早く逃げるんだ!」

 

 おそるおそる目を開けた私の眼前には、魔獣の爪を剣で受け止めたニール様の姿があった。


「ニール様!」

 ああっ、ニール様だ。私のピンチを救ってくれたのはニール様だった。

 よかった。まだ無事だったんだのですね。

 よかった。ホントに良かった。


「ルシア! 何してる早く逃げるんだ!」


「足が・・・足がすくんで動けないの・・・」

 ニール様が生きてた。安心したら足がすくむどころか、腰が抜けちゃった。


「きゃっ!」

 魔法攻撃が再開され、その一瞬の隙に私はニール様に抱きかかえられた。


 これはまさか・・・お姫様だっこというものではなかろうか。

 あわわわわ・・・私、ニール様にお姫様抱っこされてる。

 幻ではなく、本物のニール様に抱きかかえられた私、超恥ずかしい・・・でも同時に凄い嬉しい。


 好意のある男性に抱きかかえられて、喜ばない女性なんていないわよね。

 もう私の愛しい気持ちが溢れ出しそうです。

 ああっ、なんて幸せな瞬間なのでしょう。

 

 ニール様・・・私のニール様。

ルシア

 面白い、続きが読みたいと思われた方。

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