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第4話

「テレーゼさんですか? ええ、よく知ってますよ」


 私は彼女を知るだろうと思われる男性教師に声をかけた。案の定、彼女のことを知っておりその話をしてくれた。


 彼女は珍しい回復属性の魔法が使えるらしい。

 

 回復属性・・・癒しの魔法で、怪我の治療から病気まで治すとか・・・高位の回復魔法の使える者は聖人、聖女として国に召抱えられる。


 これは面白くないわね。

 聖女といったら、民にありがたがられる花形じゃない。民だけではないわ、騎士団でもその人気は高い。

 多くの若い騎士が聖女との結婚を夢見るとか・・・ニール様に限ってそんなことはないでしょうけど・・・心配だわ。


 ここまでの彼女の情報を整理しましょう。


 名前はテレーゼ。

 歳は私と同じ16歳。

 平民出身の魔法学園に通う女生徒。

 身長は私より高く、出ているところは出ている。

 見た目は可愛らしく、男性に人気があるとか。

 珍しい回復属性の使い手。将来の聖女候補らしい。

 男性に媚を売っており、それを疎ましく思う女性も多いとか。

 だがイジメは受けていない様子。

 教師からの受けも良い。


 以上、こんなところかしらね。

 なかなか手強そうね。

 だがアリス様とて負けていない。回復属性の魔法こそ使えないが、余りある知性と美貌の持ち主なのよ。


 とりあえずは様子をみましょう。

 そう思っていた矢先に事件は起きた。



 私とアリス様が魔法座学の授業を聞いている最中に、校庭の方がやたらと騒がしくなってきた。

 

「何だあれ?」

 窓際の生徒が声を上げたのを皮切りに、学園内が騒ぎになってきた。

 

 私も何が起きていたのか興味本位に窓の外を見た。


「あれは魔獣? なんで学園に魔獣がいるのよ」


 それもあんな凶悪そうな大きな魔獣が・・・私もあんな魔獣を見たの初めてだった。

 魔獣はこの世界に広く分布している魔物。家畜や人を襲う魔獣は、騎士団によって退治され王都にはいないはず。

 見世物小屋の魔獣が逃げた? いやいやあんな凶悪そうな大きな魔獣、見世物小屋でも見たことがないわ。

 それこそ授業にでてくる魔物クラスだわ。


「あれはまさか、ランドガリアンか」


 誰かがそう言ってるのが聞こえた、ランドガリアン・・・確か図鑑で見たような・・・・そう、確か王都から遠く離れた高地に生息する甲殻獣だわ。

 なんでそんな魔獣が学園に?


 暴れまわる魔獣、教師を中心に必死に応戦しているが魔獣を押さえ切れていない。

 騎士団はまだなの? もうすでに多くの負傷者が出ている。


「殿下は急いで安全なところに避難を、私は魔獣の討伐に向かいます」

 

 この声はニール様? まさかあの魔獣と戦うとでも? 無茶だわ。


「ニール様、まさか魔獣の討伐に加わるのですか? 危険です」


「ルシアさん。アリス様も殿下と一緒に避難してください。なんであんな魔獣がここに居るのかは不明ですが、騎士を志す者として魔獣に臆することはできません」


「でも・・・もし怪我でもしたら・・・」


「怪我を恐れていては魔獣と戦えません。魔獣から人々を守ってこその騎士。これは学園のピンチであり、出世のチャンスです。 どうか私にチャンスを与えてください。あなたに相応しい男になるチャンスを」


 そんなこと言われたら、引き留めることなんてできないじゃない。


「ニール様、お気をつけて。ご武運をお祈りしております」


「はいっ! では殿下、不肖ながら行って参ります。殿下の護衛は他の者に任せますので、その方の指示に従って非難を」


「うむ、じきに騎士団も到着するだろう。それまで頼むぞ。しかし無理はするなよ」


 ニール様を送り出した私たち。

 私は不安で心が引き裂かれそうな痛みを抑えるので精一杯だった。

 ニール様を思うと心が痛い。

 神様・・・どうかニール様をお守りください。


「ルシア、きっとニール様は無事に帰ってくるわ。それよりも私たちも避難しましょう」


「アリス様・・・わたし・・・どうしたら・・・不安で・・・」


「ルシア! しっかりしなさい! あなたがそんな態度取ってどうするのです。ニール様を信じなさい」


「でも・・・」


「ニール様はあなたに何とおっしゃってましたか? あなたに相応しい男になるチャンスとおっしゃってたわ。彼は強い男よ。将来この国を背負って立つ立派な騎士になるわ。そんな彼があなたのために戦うと言うのよ。あなたが彼を信じなくてどうするのです」


「アリス様・・・そうですね。私がしっかりしないとニール様も安心して戦えませんものね」


「不安になるのは誰しもそうよ。それは仕方がないことだわ。でもそれを表に出してはダメ。こういう非常時にこそ冷静でいるべきよ」


「さすがアリス様。頼りになるわ」


「さあルシア非難するわよ」


「ええ、殿下も一緒に避難しましょう」


 殿下? 私の言葉に無言でうなずく殿下、その表情は寂しそうだった。

ルシア

 面白い、続きが読みたいと思われた方。

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