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プロローグ
――嫌だ、死にたくない。
手に力を振り絞り、踏ん張ろうとするのだが、痙攣して動かなかった。
みんな、どこかで生きてるんだよな、絶対に。
なんとか逃げ延びていてほしい。
――それにしても、俺の異世界転移。 こんな犬死で、終わるのかよ。
微かに残された意識の中でも、明確に感じられた感情。 それは怒りだった。
理不尽なんてものでは済まされない。
そんな拙い感情も、すぐに霧散していった。 身体の感覚が全て感じられなくなると、果てしない暗闇の中を落ちていくように、俺は意識を保てなくなった。
どこからともなく聴こえてくる笑い声は、きっと気のせいではなかったのだろう。