転生と愉快な神
初めまして!
なるべくしっかりした投稿ペースで書き続けてゆきたいと思ってます。
よろしくお願いします!
いい感じになってる幼なじみがいたんだ。
これは、その娘とのデートの時の出来事だった。
「今日は...ありがとうね??...すごく楽しかった...」
「あ、ああ、俺も楽しかったよ!......マジで楽しかった...」
「...」「...」
いつも通りの桃色の時間、いつも通りの言葉の掛け合い。
素晴らしい無言の時が流れる。
「そういえば、今日何か私に言いたいことがあるんだっけ...??」
「そう!...そうなんだ!その......」
「何が言いたかったの...?」
彼女はとても期待した眼差しで、自分を見つめてくる。
背景の夜空に浮かぶ月のごとく綺麗な瞳だ。
「......月がきれいですね...」
一瞬キョトンとした顔をした彼女が、恥ずかしそうに頬を赤らめながら、非難の視線をぶつけてくる。
「もう...ちゃんとした言葉で伝えてよ!」
「ちょっと恥ずかしくて、ねえ?そこの公園まで歩かない??」
覚悟を決めたような顔で、彼女を公園へと誘う。
雰囲気を察した彼女が優しげに頷きながら、手を引く僕についてくる。
そう、その日の夕方、恋人未満という関係に終わりを告げるためのデート。
幼少の頃、公園に遊びに行った時と同じように、だが心情は大きく違うまま、彼女の手を引き公園に早歩きで向かっている時。
...
僕たちは暴走したトラックに轢かれてしまったんだ...。
............
俺の名前は鈴木太郎
平凡な十七歳で、恋人ができる目前だった
幼なじみの与那国溜愛と一緒に公園へ向かっていたら、暴走したトラックに轢かれてしまった。
可愛い幼なじみの代わりに、目の前にはとてもダンディーなおじさまがいる。
「俺、死んだんだよな??」
「うむ、その通りじゃ」
トラックに轢かれて死んだのは夢じゃなかったようだ...
溜愛は?幼なじみはどうなってしまったんだ!?
「溜愛は...!?」
「ヌシの幼馴染も同様じゃ、事故に巻き込まれてしまったようじゃ」
「そう...ですか...」
「気休めじゃが、彼女もヌシと同じく苦しみ無く一瞬で旅立った。苦しんでいなかった事は保証しよう」
神々しい輝きを持つ、まるで神のようなそのおじさんは、まるで自分の心を読んでいるかのように、慈しむような目をしながら、こちらの聞きたいことを答えてくれる。
「まるで神のようではなく神であるぞ??」
心を読んでいたようだ。
「ヌシが混乱しているのもわかるが、先に事情を説明しておく。ヌシはこれから別の世界へ転生し、もう一度新たな生を受ける」
「...転生って事ですか??」
ラノベなどでかなりの数を読んだことのある転生。
それと同じものだろうか?
「そうそれじゃ!ヌシが前世で読んだラノベというものと同じという認識も正解じゃ」
「そうか、そうなのかぁ...」
俺はガックリと肩を落とす。
溜愛ともう会えないのかというショックで、今は転生というものにもワクワクできない。
「...?ヌシの幼なじみも同じ世界に転生しておるぞ??」
「へ?...それは本当ですか!じゃあなぜここには?...」
「それは、担当している神が違うからのう」
少し楽しそうに神が笑う。
神様にも役割分担があるのか。
「ヌシの幼なじみはワシとは別の女神が話をしておる」
「女神...?転生する人の性別によって、担当する神の性別が違うってことですか?」
神はさらに楽しそうにしながら答える。
「いや、違うんじゃ、もっと別の基準じゃな」
「別の基準..?」
「そんなことより、ヌシ、ワシの顔を見てどう思う??」
神様の顔??相当なイケメンオヤジだが、おそらくそれを指摘して欲しいわけではないのだろう。
「いいやそれじゃ!めちゃくちゃイケメンだろう!」
それだった。神様が大きく笑う。
「これが基準じゃ、もし女がワシの顔を見たら全員惚れてしまうのじゃ!それでは転生に関する説明がしにくいから、担当する神はここへ来たものの性の対象に絶対にならないものが担当するのじゃ!」
「...な、なるほど..」
神様が早口になりながらニコニコ説明してくる。
な、なんて謎な基準だろう...それとこの神様も思ったより愉快な人なのかもしれない。
「主の幼なじみが同性愛者で、もしワシを見ても性の対象にならない人間であったらのう...一緒にここに入れたのだがのう...」
「それは困る!」
それじゃあ俺の恋人にならないじゃないか!まだ恋人ではなかったけど!
「まあ、でも、幼なじみも無事...無事ではないけど...多分新しい世界でもう一度会えそうだとわかってよかったです」
そう思うだけで少し安心する。
「いや、それは難しいじゃろうな...何しろ、ヌシら二人は兄弟や友達でもなんでもない赤の他人として転生するのじゃ」
「え... ? そうなんですか??」
「うむ、転生する日時はほぼ同じじゃが、すぐに知り合えるほど近くには生まれてこないじゃろうな」
「そうなのかああ...なんてタイミングで転生...」
こんなことなら月が綺麗ですねとか言わずにすぐ告白しとけばよかった...
もしかしたらもう告白どころか会うことも出来ないのかも...?
「それはヌシの努力次第じゃ、心配せんでも、多少ヌシが生きていきやすいような能力を授けてやろう」
「本当ですか!」
「ああ、少なくとものたれ死ぬ事はなかろう」
俺はワクワクしながら、神様の説明を聞くことにした。
なかなか短く内容をまとめるのは難しいですね。。。
次回は神様からの、転生先の世界と主人公の能力の説明です。