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宜しくね、お兄ちゃん!


 静まり返る部屋、高層ホテルの高層階、外の音は一切入らない。

 あまりの静けさに寧ろ耳鳴りのような音がし始めた頃梢はようやく口を開いた。


「あ、ああ、あははは、なんだ冗談か、え? つい本気で考えてしまったわ、敬くんっておもしろ……えっと……本気?」


 なんちゃって……と言って誤魔化そうかと思ったけれど……でも俺は本気だった。

 

「…………本気で言ってるの?」


「ああ」


「私が信じるとでも?」


「それは、わからない……だから交際を断る口実って思ってくれてもいい」


「私が嫌い?」


「いや……寧ろ好きだ……でもそれは女性としてではない……家族として、妹としてだ」


「妹…………あはははは、おかしい、年下なのに? 私が妹?」


「ああ……でも……そうなんだ……」


「……私の髪が赤い理由と関係あるの?」

 彼女はそう言って自分の長い髪を抱き上げそういう言った。


「多分」


「そう……はあぁ……惚れた弱みね……本来なら貴方をひっぱたいて終わりにするべきなんだろうけど……でも貴方の目は本気で言ってる……って……どうしてもおもっちゃう……」


「本気というか……事実だから」


「……わかった……とりあえず聞かせて」


 俺は梢に前世が見える事を話始める。

 梢はソファーに腰を下ろし、俺の話をじっくりと聞いていた。

 誰にも話した事のない俺の秘密を……。


「……そう……」


「信じてくれとは言わない……でも俺が梢に対する思いはあくまでも妹なんだ」

 

 そしてわかっている限りの俺の俺達の前世の事を全て話し伝えた。

 梢と楓が同一人物だったという事、前世で何かあった事、俺達は恐らく若くして死んでいる事。

 俺と妹との会話も覚えている限り全て伝えた。


「それにしても……あの娘と私が……」


「信じて貰えるのか?」


「楓さんの……あの髪を見た時、何か胸騒ぎがした……私の髪の色に似すぎているって……まさか父の浮気相手は……楓さんの母親? って思う程にね」


「楓の母親も普通の髪らしい」


「そっか、彼女も私と同じね……」

 少し悲しそうな顔をしている梢、それは同じだけど違う、自分は染めて隠しているという事へなのか?


「それで……どうする?」

 こんな事を告白してしまった今、梢は俺との関係をどうしたいか尋ねた、


「それはこっちが聞きたいわ、貴方は私にそれを打ち明けてどうしたいの?」


「それは……」

 そう……俺はどうしたいのか……そこまで考えていなかった……いや、考えてはいる。

 でも、それはあまりにも俺に都合が良く梢や楓にとってはあまりにも都合の悪い話になる。


「──言って……私は貴方がどうしたいか聞きたい」

 俺は梢と楓の気持ちを知っている……だからこそ言わなければならない。

 俺が何をしたいかを……。


「……俺と……一緒に気持ちだけでも戻って欲しい、前世に……前世に何があったかを知る為に……」


「──それはつまり、私は貴方の妹になれという事?」

 

「まあ、そう……」


「──ふふふふ、あははははは、私のこの気持ちは──貴方に対するこの気持ち、これは愛ではなく情、愛情、家族愛だって言ってるの?」


「……ああ」


「ふふふふふふ、あははは、いいわね最高だわ!」 


「最高?」


「そうよ! 最高だわ、家族愛を知らない私に家族愛を教えてくれるって言ってるのよ? あはははは、最高だわ、傑作ね──いいわ、なってあげるわ、貴方の妹に!」

 梢はそう言って俺に抱きつく。

 そして俺の耳元で怪しく囁いた。


「宜しくね……お兄ちゃん……」

気力が……ブクマ、評価よろですうヾ(;゜;Д;゜;)ノ゛

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