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楓の家に訪問


『先輩、美味しいカレー作ったので家に来てください!』

 現世では後輩となる元妹の楓からスマホにメッセージが届いた。


 先輩である梢と喫茶店で話をし、店前で別れた帰り、監視しているかの様な絶妙なタイミングで楓からメッセージが送られて来る。

 

 いきなり家にって……色々問題があるだろ……そもそも付き合っていないし。

 住所が添えられたメッセージに断りの返信を打ち込んでいる最中再び追加のメッセージが入ってくる。


『来てくれないと、また泣いちゃいますよ♡……先輩の教室で(。´Д⊂)』


 顔文字入りで可愛らしく言ってはいるが、これは完全に脅迫だ。

 元妹じゃなかったら訴えてもいいレベルの……行為だ。

 

 これは兄として、元兄として威厳を示さないと。

 妹になめられては駄目だ、こんな脅迫に屈したら、ますますエスカレートして、有耶無耶のうちに付き合う事にもなりなかねない。


 俺はそう考え、楓に返信した。


『是非とも行かせて頂きます』

 精一杯の嫌みを込めて、敬語でそう返信した……。



◈◈◈



「先輩いらっしゃ~~い」

 マンション……いや、アパートと言った方が良いだろう、築数十年と思われる古いアパートの一室、カレーの匂いが漂うそのアパートの楓の部屋の扉をノックすると、ほどなく中からエプロン姿の楓が赤い髪をたなびかせて顔を出した。


 一瞬裸エプロンかと思わせる格好に俺は踵を返して帰ろうかと思ったが、よく見ればタンクトップに短パン姿、その上からエプロンしていた為、裸エプロンかと思ってしまう。


 わざとなのか? でもそれを問い詰める意味はない。

 まあ例え裸エプロンだとしても俺は欲情はしない、だって妹なのだから……。


 エプロンにはひよこの絵とpiyopiyoと文字が書かれている。

 どこかで見た様な、そんなエプロン……前世の記憶? 妹達と会うと俺の能力の切り替えが上手く行かない……。


「先輩! さあ、入って入って」

 楓に誘われ俺は少し躊躇いながらに、近所に見られない様にそそくさと部屋に入った。

 

 入って直ぐに台所がある。古いコンロの上には大きめの鍋がとろ火にかけられている。

 キッチンには小さめのテーブルと椅子が2脚、キッチンの奥は襖、恐らく襖の向こうは部屋なのだろう。


 質素と言っていい楓の家、でも外見の割に部屋の中は綺麗にされていた。


 奥に人の気配はしない……つまり二人っきり? まあ……でも相手は妹……何も起きない、問題は無い。


「先輩そこに座って待っててくださいね」

 そう言われ俺は黙ってテーブルに着いた。


 きびきびと動く楓を後ろから眺める。

 キッチンでの妹の後ろ姿……今のところ前世の映像、記憶は流れ込んでは来な

い。しかし俺はその後ろ姿にデシャブを感じていた。


「どうぞ先輩!」

 そう言って楓は俺の前にカレーライスを置いた。

 そして自分の分もテーブルに置くとエプロンを外して席に着く。


 楓の細い身体が露になる。

 が、特に俺は何も感じない……いや、本当に。


 視線を楓からカレーに移す。

 カレーは欧風というか、市販のルーを使った普通のカレー、でも具が見えない。

 料理の腕は弁当を食べた時にわかっている。

 俺は置かれているスプーンを手にして「いただきます」と楓に告げると、カレーを一すくいして口に運んだ。


「……うま!」


「へへへへ、やった!」


「なんだこれ……旨すぎる……」

 意識が遠のく程に旨い……市販のルーなのに、今まで食べたどこの店よりも美味しかった。


「カレー得意なんですよ、先輩がカレー好きって……あれ言いましたよね?」


「……ああ、この間言ったかも」


「ですよね、だから作ったんです」


 本当は言っていない……多分無意識に前世の記憶が絡んでいるのだろう。

 恐らく俺だけじゃない、楓も梢も無意識に俺との前世の関係を、感じている。


 前世の事を知らなければ、以心伝心等と片付けられる様な、そんな程度の意志疎通。長く一緒に居る夫婦の様に……。

 

「スジ肉を一昨日買ってきて下茹でして、昨日から具材と一緒に入れてずっと煮込んで全部中にとかし混んでるんですよ~~」


「へーーだからほぼルーだけなんだ」

 口の中に入れるカレーは溶ける様な肉の柔らかい食感だけが残る。ゴロゴロとした具材も良いけど、全て溶かされ凝縮しているこれもまた格別。


「スジ肉だと安いし、美味しいし、最高ですよねえ」

 そう言いながら嬉しそうにに食べる楓……。


「安い……か……」


「え?」


 さっきまで元同一人物の「お金には困っていない」という言葉が頭を過る、

「あ、いや、えっとご両親は?」


「ああ、大丈夫ですよ先輩、今は誰もいないですから、二人っきりですう」


「いや、それは良いんだけど……」

 それは聞いてない。


「! 良いんですか! ちょっと待ってて先輩、直ぐにお布団を敷いてきます!」

 そう言って立ち上がろうとする楓。


「敷かなくていい! そうじゃない、ご両親は健在かと聞いている」


「ううう、もう! こんな可愛い子が家に入れてOK出してるのに何もしないなんて……先輩って童貞ですか?」


「うるせえ、悪かったな!」


「あははは、やった、私も処女です! 初めて同士頑張りましょう!」


「何を頑張るんだよ……」


「何をって、先輩のエッチ」


「うるせえよ……」

 なんか話を反らされた感がある……俺はとりあえず話しを一旦止めてカレーを食べる事に集中した。

 楓と梢、生活環境が異なる二人……俺は現世でそれがどう影響しているのか、それが気になっていた。

 

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