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第2話 夜中だ。寝なきゃ。だけど昼寝したから眠くない。

とりあえず、夕飯を食べ終えた私は、自室に戻って勉強を始めた。


この国では階級差が激しいが、平民と貴族の勉学の差はそんなに無い。

その理由として、50年間戦争がないからだ。


戦争がないことによって、平民たちが徴兵されることはなく、それによってその子供たちも勉強ができる時間がある。


平民は貴族の統治する土地で、農家になって農業をしたり、商人となったり、鍛治職人になったりと自由に暮らしている。階級差は激しいが、平民だけれども貴族のメイドになったりすることもある。

うちの家に使えてるものの半分以上が平民だ。


そして貴族でも平民でもなれるという職業もある。それが冒険者という職業だ。


冒険者の仕事としては、魔物の駆除や素材の収集などがある。冒険者は登録条件が、10歳以上という条件だけなので小さい子でもなることができる。まぁ、私はまだなれませんけど。


冒険者になれば、貴族と平民の差はないとされ、早い段階で上位の冒険者になれば貴族であることを放棄して自由に生きられる。そもそもうちには後継としてお兄様がいる。


うん!私の数年の目標は、冒険者として行きていけるように知識をつけておくことだ。そしたらなんかあった時に冒険者の道に進める。冒険者のランクは大きく分けて7つ。


一番上がSランク。歴戦の猛者のような人たちである。凄い人だと最強種である竜種も倒すという。その分人数も少ない。これまでこの大陸で30もいないと書いてある。


その次がAランク。かなりのツワモノとして扱われるものになる。国によっては戦場時、王が金を払って将軍になってもらい。兵を率いてもらうこともあるくらいの凄いランクだ。Sランクに比べて人は多いが今この大陸では100くらいしか居ない。


次がBランク。熟練者扱いとなる。人数はそれなりにいる。


その次がCランクでやっと一人前と認めてもらえるレベル。人数は結構いる。


その次にDランクEランクと続き最後にFランクが来る。


冒険者ギルドは各国共通なので、Bランク以上になると冒険者カードで自分の身分を証明できるので、何処の国でも入国できる。冒険者カードは自分の魔力の波によって、カードが違うから偽造することはできない。


もし十七歳までにBランクになれたなら国外に出ることが楽になる。だからこうして冒険者になるために勉強に励んでいる。


何時間かたった。時計を見たらもう真夜中だった。寝なくては!という気持ちにかられたが、まぁ、昼寝したから全然眠くない。


「まだ起きていたのかい。」

と低音の優しい声が聞こえた。私が振り返るとその声の主が私に近寄ってくる。お父様だ。


「申し訳ございません。お父様。」

と言って、お父様の顔を見た。お父様は私より濃い藍色の髪で、私とは違う紅の眼をしている。

私の眼の色はお母様のを受け継いだ。


「エレスティーナは勉強熱心だね。どんな勉強をしてたんだい。」

と、私に聞いてきた。


「今は薬草の種類や魔物の弱点などの勉強をしていました。」

私は冒険者の勉強をしていたとは言わずに、そのように言った。


確かに貴族でも冒険者になることはできるのだが、貴族の中で「野蛮だ。」やら「貴族の恥さらしだ。」など陰口を言われるらしい。


「そうなのかい。まるで冒険者にでもなるみたいだね。」

「…いえ、偶然ですわ。」

と私は、笑いながら答えた。


「ハハハ、私は別に冒険者に偏見を持ってないか、隠さなくてもいいよ。」

と、うわーバレてるー。


そう気づいた私は冗談半分で聞いてみた。

「もしも私が冒険者になりたいと言ったらどうしますか?」


お父様は少し考えて、こう言った。


「別にいいんじゃないかな。バイオレット家はお前の兄であるアルスが継ぐだろうし。あ、でも冒険者になったら貴族の嫁にはなれなくなってしまうかもね。」

お父様は笑いながら言った。


バイオレット家はイケメンの父上と私が小さい時に亡くなった母上、そして長男であり、私のことを愛してくれるかっこいい兄、アルス。そして私の4人家族だ。まぁ、血は繋がってないけどメイド達のことも私は家族だと思っている。


「もし、それでもいいと言ったら?」

今度の答えはすぐに帰ってきた。


「それをエレスティーナが決めたならいいよ。あと、もう寝なさい。」

あぁ、父上は優しい。そう思った私は、勉強を辞め、床についた。






ーーーーーーーー





部屋に光が差し込む。朝になったようだ。

「エレスお嬢様、起きていらっしゃいますか?」

ドアの向こうから、メイドであるジルの声が聞こえた。


「起きてるよぉ。」

と、私は返す。


ガチャッという音ともに部屋の扉が開いた。


「おはようございます。エレスお嬢様。お着替えのお手伝いをいたします。」

「ジルおはよぉ。ありがとぉ。」


ジルはもともとお母様の付きのメイドだった。今では私の専属メイドだけどね。


ジルは慣れた手つきで私の着替えを手伝い、水魔法を使って、私の髪を濡らし、寝癖を直し始めた。こーゆー時に魔法があると便利だよね。そして炎魔法を極限まで弱めて、濡れた私の髪を乾かした。


髪を乾かし終わるとジルが言った。

「朝食の用意ができております。下までおいで下さいませ。」





ーーーーーーーー





下に行くとイケメンな父上とイケメンな兄上が座っていた。

兄上の髪の色は紫色だ。そしてお父様と同じで紅色の眼をしている。

「おはようエレス。」

「おはようございます、お父上、兄上。」

「うん、おはようエレスティーナ。」

淡々と朝の挨拶を交わし、朝食を食べ始めた。今日の朝食はメープルトーストだった。


この世界には魔物という自我を持たない生き物がいる。


自我を持たないため人間に襲いかかる。とても危ない。そうした被害が出ないために冒険者などが駆除をする。魔物が生まれる理由についてはまだ解明されていない。けれど自我を持った魔物もいる。そのうちの一種がハニービーという魔物だ。この魔物は好戦的ではなく、それどころか人懐っこい。そのハニービーたちの住処を保護する代わりにはちみつをもらっているのだ。


美味しく味わって食べているとお父様に突然こう言われた。

「今日領内の視察に行くから一緒についておいで。」


いきなりすぎる展開に驚いたが、私はコクンと頷いた。

さて今日の予定は決まったぞ。














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