表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/28

20話 愚かな女2

『トクトリ』続き



ヒント

取り調べ官Bさんは本家の方には出ていません。

【特別取調室】




「その方が金になるからに決まってるじゃないか!」

黒い笑みを浮かべながらそう答える彼女。




おー、見事なクズ発言ですね。




これまで、何人も取り調べをしてきましたがその中でも1、2を争うクズっぷりですねー。

Bさんが驚いて彼女を睨んでます。




彼女はそれを気にもせず腹立たしげに

「あの子の父親のデュークはね、ロピアー前公爵の子供なんだよ。

妾の子だったから養子に入ってたけどね。

学園にいる時に知って、せっかく落として子供まで作ったのに、結婚前に落馬して死んじまったのさ!」

と、一気に捲し立てた。




鑑定結果には、確かにデュークの父親が前ロピアー公爵となっていましたね。




「それで?『貴女がロピアー公爵家で働いている。』と、いう事は前公爵はきちんと、貴女達親子を引き取って、乳母の仕事も世話してもらったわけでしょ?

何の不満があったんですか?」

本当にいったい何の不満があるんだか……




「贅沢な暮らしする為には、自分の子供が当主になるのが一番金になるからね!

でも、それには現公爵の子供が邪魔だったんだよ。」




うわぁ、本当によく喋るねー。

よっぽど誰かに、喋りたかったのかね?




それにしても、何処からあの指輪を手に入れたのか要チェックですね。




「ところで、貴女はこの計画が成功してたら、どうするつもりだったんですか?

もし、ナルキス君が当主になれても、貴女の立場は唯の乳母ですよ?」

公爵家当主の乳母に、それ程権力は無いと思いますけどね。




「当主になった後に、『(アタシ)が本当の母親だよ。』って言えば優しくて馬鹿なあの子はきっと(アタシ)を優遇してくれるわ!」

おいおい……




「公爵夫妻が黙っているとは思えませんけどねぇ?」

私の質問に彼女は笑いながら

「病気か事故で死んでもらえばいいのよ!

当主の権力を使えば、簡単な事じゃない。

使用人は当主の奴隷なんだからさ!

そんな事もわからないの?」





そう言って彼女は優越感に浸っているが、既に破綻している計画を、自慢げに話されてもねぇ。

それに、言う事を聞いてくれる使用人は居ないでしょうね。

今までの、態度が態度ですから。

命令した途端に、騎士団に突き出されると思いますよ。




お家乗っ取りの上に、公爵夫妻殺害計画ですか?

コレはまた、罪状が増えましたね。




彼女は理解していないようだが『爵位簒奪未遂』だけでも罪が重いのに、『公爵夫妻殺害計画』まで考えていたとなると、かなりの厳罰になるなぁ……




こんな彼女に育てられていたナルキス君も、気の毒にねー。

と、なると早いうちにボルネオール侯爵家に出された本物の公爵子息のクリス君は運が良かった。

と、いうことか。




いや、運じゃないかもしれないな……




「さて、今日の取り調べはここまでです。

明日は、もっと詳しくその計画を教えて頂きますね。

マリー・フォルランさん、お疲れ様でした。」




彼女が騎士に連れられて取調室から退室した後、私は大きくため息をつきながら、供述調書をとっていたBさんに話しかけた。




「よく黙ってましたね。

彼女、貴方が一番嫌いなタイプでしょ?」

するとBさんは供述調書から顔を上げて答えた。




「明日の尋問、代わってくれるんですよね?」




何時もと目つきが違う…

あー、コレは怒ってますね。

彼女も気の毒に……



*********************

数時間後【第四騎士団団長執務室】



(取り調べ官B視点)




「あー、やっと終わった。

今日は、いつになく疲れましたね。

副団長も疲れたでしょ?」




先程、出来上がったばかりの供述調書をチェックし終えた、団長のダルそうな声がする。




「お疲れ様です。団長。」




「じゃ、明日からの尋問よろしくお願いしますね。」

その言葉に私はニッコリと微笑んで、帰り支度をしながら答える。

「やり甲斐のある容疑者ですからね。

頑張りますよ。」




「副団長の笑顔には癒されるねー。

普段怖い顔してるから、うちの娘に言わせると『ギャップ萌え』って言う奴らしいですよ。」




団長のお嬢さんか……




「確か今、学園の高等部でしたよね?

暫くお会いしてませんが、お元気ですか?」




すると団長は嬉しそうに

「元気にしてるよ。最近、学園でちょっとした事件があってね。

少しばかり活躍したらしい。」

と答えた。

「それは頼もしいですね。」




我々は他愛ない会話をしながら、王城の門を出た。

外はすっかり暗くなっていた。

もちろん、王城の周りは魔道灯で明るく照らされているのだが。




「こういう日は飲むに限るね♪どうだい一杯?」

と、団長がグラスを傾ける仕草をする。

「いえ…私は呑めませんので……。」

私が断ると団長は

「あゝ、そうだったねー。残念、じゃまた明日ね。」

と、言いながら迎えの魔道車に乗り込み自宅へと戻って行った。




「さて、私も帰るか……。」

ふと、空を見上げると今日は満月だったらしい。




綺麗な月だ……

「………。」




「腹が…減ったな…。何か食べて帰るか。」




月明かりの下、飲食街に向かって歩き出す。

「何か良い店ないかなぁ…。」





まだつづく。



当初の予定から随分違う展開に……

この作品のヒロインはエリーのはずなのに

気づいたらヒロインがクリスになってた件。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ