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【閑話】 私のお嬢様

クリスのエリーに対する思い。

私の名前は、クリス。

三年前に飛び級で国立ユイナーダ学園高等部『特進科』を15歳で卒業し、現在はボルネオール侯爵家から出向という扱いで宰相府で宰相補佐官を務められている第四王子シオン殿下の秘書をしている。




ロピアー公爵家嫡子ナルキス様の乳母マリーの息子として生まれた私は、本来なら乳兄弟として育つはずが、母親はナルキス様の世話にかかりきり。

世話もほとんどされていなかった。




母親とまともな会話すらした事がなかったので、私は言葉が遅く3歳頃になってから、ようやく話せるようになった。

見兼ねた遠縁の庭師のロイドさんに引き取られなければ死んでいたかもしれない。




私が6歳の春、ロピアー公爵領にボルネオール侯爵様とエリーお嬢様がナルキス様との婚約の為にいらっしゃった。




その頃の私はナルキス様と母親から家庭教師が出した宿題を、代わりにやらされていた。

エリーお嬢様達が王都からいらした日は、人手が足りず私もお屋敷で手伝いをしていた。

夕方近くになって当時住んでいた庭師小屋に戻ると、何故か小さな女の子が外のテーブルの上で寝ていたので『風邪をひいてはいけない』と思い揺り起こすと暫くもぞもぞした後慌てて飛び起き

「夕方〜!?」

と叫んだ後何故か私の顔をじっと見つめ、顔を真っ赤にして屋敷に走って行ってしまった。




これが私とエリーお嬢様の出会いでした。




次の日から、エリーお嬢様は毎日私の元にやって来てはいろいろな事を聞いて来たり、私に王都のお話しを聞かせては、楽しそうに過ごしていました。




お嬢様達は1週間ばかり滞在されてから王都に帰るご予定だったので私もお嬢様と会えなくなる事をその頃には寂しく思っていたのです。




ところが後2日で王都へお帰りになるという日、私は突然ロピアー公爵家からボルネオール侯爵家に行く事になりました。

エリーお嬢様が私を『どうしても従者に欲しいの!』と我が儘を仰ったのです。




すると今まで私を放ったらかしにしていた母親から「【父親の形見の指輪】を今まで以上にしっかりと身につけておくように!」

と言われた。

会った事はないが立派な騎士だったと言っていた。




2日後私はボルネオール侯爵家の馬車で、王都へと旅立った。




王都の侯爵邸に着いた私は、執事長のトマスさんに侯爵家の使用人としての教育を受けました。

が、私の学力は今すぐにでも国立ユイナーダ学園初等部に入れるほどだったらしい。

エリーお嬢様の従者見習いをしながら勉強を続け、何と初等部を飛び級して中等部から入学することになった。




その後侯爵家の使用人に過ぎないはずの私は高等部に進学することになった。

『文官科』か『騎士科』に進学させて頂けるだけでも有難いのに、旦那様や奥様、お嬢様方の強い進めで何と『特進科』に進学させて頂いたのだ!




それが縁で、現在の上司である第四王子シオン殿下とも友誼を結ばせて頂きました。

侯爵家の皆さまには本当に感謝しています。




お嬢様……

お願いですから、これ以上騒ぎを起こすのは、辞めてください!!

お嬢様が騒ぎを起こす度に私の育ての親とも言えるトマスさんが心労で倒れないか心配です!




そしてお嬢様できるなら貴女に好意を寄せることをお許しください。




まだつづく


次はざまぁ回その②

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