予定
「そういえば同じ部屋なんだな」
「カルホネはもう家族みたいなもの。私が知らない事はない」
「まあ、俺の体を改造した張本人だもんな。俺より知ってるだろうよ。ただ、男と女が同じ部屋っていうのは……」
「カルホネも変な事気にする。私は別にカルホネなら見られてもいい」
『カルホネさん。エルフにそこらへん淡白なので気にするだけ無駄ですよ』
恥じらいの一つも見せないリーベは、ベッドに顔を埋め、足をパタパタとさせている。足が上がるたびに素足が、さらにその奥まで見えそうだ。着ていたローブは何処だ。目が素足に吸い寄せられてしまうだろ。
『カルホネさん。そう真顔で足を凝視してると犯罪臭い出す……』
「……はっ、い、いや。違う。俺はロリコンではない!」
『誰もそんなこと言ってないんですが、そこまで拒絶すると逆に……』
何てことを言うんだこのスライムは! 名誉毀損で訴えるぞ。
少女が素足を動かす度に、その奥が見えそうになって思わず凝視してたら、スライムにロリコン扱いされました。
訴えたら確実に負けるな、コレ。
「どうした?」
不思議そうに首をかしげるリーベ。そのまま汚れなくいてくれ。俺の精神衛生のためにも。
「いや、何でもない。それより三日もここで何をするんだ? 正直、ギルド登録した時点で目標達成だろ? ギルドランクを上げる気もないし、そこそこ金を稼いで次の街いこうぜ」
「それは無理。私たちには旅の準備がない。空間魔法は希少だからなるべく見せたくない。少なくとも一目で旅の荷物とわかるものが欲しい」
「そんなものマジックバックに入ってますとでも一とけばいいだろ?」
マジックバックとは、迷宮で稀に発見されるもので、見た目以上の容量を入れることが出来るバックだ。人も作れるが迷宮で発見されるものよりは劣るらしい。
「それでもいい。けど、最低でもバックは買わないと。あと、マジックバックは高価だから持ってるだけで狙われる」
「……なるほど」
マジックバックの希少性を忘れていた。確かに、狙われるというリスクもあるだろう。しかし、持ち歩かなくてもいいものを持ち歩くというのは……。
「ある程度のリスクは諦めよう」
「ん。わかった。じゃあ、明日はバック選び。あと、一応ここの地理が知りたい」
「確かに、俺ら何も知らないしな」
リーベの知識は化石同然。それどころか、興味のあること以外はからっきしの為昔の事ですら正しいのか怪しい。俺とハクギョクはダンジョン生まれの為外の世界のことは知らない。
……あれ? でも、ハクギョクは俺より情報通だよな。この差は一体……。
俺の情弱ぶりが判明したことは置いといて、残りの期日だ。明日の予定はバックを買い、情報収集するとして。残った時間をどう過ごすか。
「その後はギルドの依頼を受ける」
「ギルドランクを上げるのか?」
「そう、マジックバックを持つならCランクになっておかないとお舐められる」
「俺はCだけど」
「私はF。カルホネより下なのは納得いかない」
そう言う事。リーベは思ったより負けず嫌いらしい。少し、ふくれっ面で目をそらしている姿を見ると思わず笑みが溢れてしまう。ま、表情は変化しないけど。
コレ、意図して動かさなくても表情変化させられるようにならないかな。
後で相談しよう。




