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スケルトン転生記  作者: ルーラル
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スライム

 強くなると決めてからの行動は早かった。魂察知を駆使して魔物を探し死角から攻撃するの繰り返す。それだけで簡単にレベルが上がっていった。


<レベルが上がりました>


(ちょろいな)


最初の屁っ放り腰はどこかに消え去り今では積極的に戦いにいっている。すでに近接戦に対する苦手意識は消え去り俺の手には最初のスケルトンが持っていた刀を握っている。


次の獲物を求め、刀を引きずる姿にもはや戦いに怯えていた頃の面影はない。


ちなみに今の俺のステータスはこれ。


ステータス

 Lv8

 Name  カルホネ

 Race スケルトン

 HP   30/39

 MP 1152/1152

 STR 6.7

 INT 66.0

 MEN   49.2

 VIT 3.9

 DEX 201.8

 AGI 3.6


スキル <暗視><刀術>new<隠密>new

ユニークスキル<魔道><魂感知>


<刀術> 刀を扱う術。刀を持つと集中力が上がる。

<隠密> 周囲に悟られないようにする。


(なんかスキル増えてる?)


 newの表示がされているところを確認すると、どうやら2つのスキルが追加されたようだ。


 隠密は俺のチキン……知的な戦法による副産物であることは想像に難くない。それ以上に驚きだったのは<刀術>の方だ。


(最初の敵が持っていたボロボロの刀に、魔力を流してブン回すだけの技術も何もないものだけど、スキルになっていたんだ)


 絶対的な安全マージンが確保できている相手に対して、過剰に込めた魔力を纏わせた刀を振り回すだけの素人丸出しのそれが、スキルを取得できるほどとは思わなかった。

もしかしたら一つだけ突出していたDEXのおかげかもしれない。


(俺、もう最強じゃね?)


 数字として成長が実感できるとダメだと分かっていながらも調子に乗ってしまう。テンションが異常に上がっていた俺はこのままレベルカンスト狙う勢いでさらなる獲物を求めた。




(こっちになんかいるな……)


今まで感じてきたものとは違う大きな魂。それが突然察知範囲に現れた。

俺と比べると同じくらいの強さだが、ここら辺の魔物は弱い魂を持つものしかいなかったか今回初めて同等の魂を持つ者に遭遇することになる。

警戒しながら進んだ先、そこには白いゼリーのようなものがいた。


(なんだ、こいつ・・・)


 今までスケルトンしか出てこなかった洞窟内で初めて現れたそれは、こちらに気づいた様子もなくフヨフヨと動いていた。


見た目は白く不定形で、中心には俺と同じように赤い球体を持っている。

他のスケルトンたちも持っていたので、魔物はみんな持っているものなのかもしれない。


(スライムってやつか?)


正式名称は違うかもしれないがなんとなくそんな感じがする。


 ずっと観察していたため、いい加減俺の存在に気づいたようで、プルプルと様子をうかがい微妙な距離を保っている。


(とりあえず経験値ゲットだ)


 そうして刀を振りかぶった時だった。今までゆったりと俺の様子をうかがっていたスライムが高速で動き出し気づけば岩の間に入ってしまった。


(早!?)


 振りかぶった刀は行き場を失ってしまい、仕方なく下ろすことになった。


 スライムはまだこちらの様子をうかがっているようで、岩の隙間からチョコンと体の一部を出して周囲を見た後、俺が見ていることに気づいてすぐに岩場に隠れてしまう。


 それが何度も繰り返され、いい加減イライラしてきたので俺は自分から岩の隙間に近づいた。


 岩の前で立ち止まった俺に警戒してか引っ込んだまま出てこなくなったスライムだが、イライラを抑え根気よく待つとヒョッコリ体の一部を出した。

小動物のようにプルプルとふるえているすがたをみると、攻撃するのも気が引けてくる。

今までなら相手は骨で攻撃することに躊躇などしなかったのが……、ある意味これは強敵だ。


 俺が武器を置いて攻撃の意思がないアピールをすると、少しの間プルプルした後、ゆっくり岩の間から出てきた。

スライムは恐る恐るこちらに近づき俺の目の前で止まる。


一瞬の静寂。どちらも何かするでもなく互いを見つめている。いや……、スライムは顔がないので見つめているかは分からないのでなんとなくだ。


 スライムは未だ体を震わせているがどういうわけか逃げることなく目の前に居座っている。

 俺がスライムに手を伸ばすと一瞬びくりと反応した後何か耐えるように小さくなった。


(なんかかわいいな)


 思わずそんなことを考えてしまうくらい気が緩み、もう経験値にしようなどという考えは消えさっていた。

 縮こまっているスライムをできるだけ刺激しないように触るとプヨンとした弾力が俺の手を押し返す。


(液体みたいな感じかと思ったけど弾力があるな。大きさも手のひらサイズだしペットにしたら可愛いかもしれない)


 しばらくスライムを撫で回していると緊張が解けたのか震えなくなり俺の手にすり寄ってくるようになった。


(おお、急に懐いたな)


あまりの可愛さに思わずカタカタと歯を打ち鳴らしてしまう。スライムが一瞬怯えてしまったが、害意がないことを悟るとすぐに寄ってきた。


(ペットにできるかな・・・?)


ここまで懐かれると置いて行く気にもなれずこの時には飼うことを本気で考えてしまう。でも、スライムを連れていけるかどうか……。


<スライムをテイムしました>


(ああ、はい。ご都合主義ですね。ありがとうございます)


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