作戦ボーン針
パックスの砦、パックスリーダー
シックスの部屋。
部屋には
パックスリーダー、オーガのシックス。
斥候の達人、ゴブリンのワン。
潜入、戦闘オールマイティにこなす
オークのゴロム。
そして、クライド、ザイン、ボニー。
6人が地図を広げたテーブルを囲んで
立っている。
「いいか、作戦方針だ。
仕事は、二種類だ。
片方は、砦建設を
もう一方は、建設中の砦を守備する。
そしてパックスそのものは3班にわけ
ルーティンを組む」
実務に関する具体的な計画をシックスが
進めていく。
パックス本来の力を出す仕事だ。
極めて的確な物となっており
クライドやザイン、ボニー達は
一切口を挟まない。※挟めないとも言う。
「だが・・・・」
それまで流れるように話していた
シックスが言葉を止める。
「"混沌者"が動いてきたらどうする?」
確かに・・・。これまで
ドーガ家を攻めあぐねている理由。
"混沌者"
シックスの大将は歴戦の強者だ。
しかもクソ爬虫類野郎みたいに
策略軽視するようなバカ野郎じゃない。
ちゃんと策謀も考慮する。
普通の相手ならば十二分だ。
しかし、今回の相手は"混沌者"。
正直言って太刀打ちできるとは思えない。
場が急激に静まり返る。
やべぇ・・・パックスが使えるじゃんか!
と勢いつけて動いたけど・・・。
"混沌者"のこと忘れてた・・・。
どうするよ!?
沈黙の中、みながクライドの顔を
すがるように見つめる。
うわぁ・・・まずい・・・。
"混沌者"のこと忘れてましたなんて
言えない・・・。
クライドも口を開けずにいると
普段口数が少ないゴロムが
「"混沌者"は動きません。大丈夫です。
このまま進めましょう」
突然、口を開く。
みな再び沈黙する。
今回の沈黙は戸惑い。
その沈黙を破りワンが
「"混沌者"は動きません?
どっから情報だ?ゴロム?」
と告げる。
「情報の提供元がどこからか?
それは言えません。ですが
"混沌者"は動きません」
ワンが険しい顔でゴロムへ
「はぁ?なんだそりゃ?
情報源は言えません。
でも信じてください?だぁ?」
「そうです。信じてください」
「ゴロムよぅ!てめーなめてんのか?
どういった了見でそんなふざけた
ことぬかしてんだぁ?
ことと次第によっちゃてめー!
わかってんのか!」
ワンがいつになく厳しくゴロムへ
詰め寄る。
シックスの大将は何も言わず
厳しい顔で二人のやり取りを見ている。
おいおいおいおい
ワンどうしちゃったんだよ、
大将も止めろよ。
「信じてくれ!ワン!」
「あぁ!?何言ってんだてめー!」
なんだよ、大将止めてくれないのかよ!
っていうかワンどうしちゃったんだよ。
思わずクライドがワンとゴロムの間に
割って入る。
「オイ、いい加減にしないかワン!
どうしちゃったんだよ?」
「旦那ぁ、冷静に考えてくれよ!
情報源は言えません。
でも信じてください。
おかしいだろ!?」
いやまぁ、おかしいけどさ
それにしても
「そりゃわかるけどさ、にしても
ワンの返答荒っぽすぎじゃないか?」
「旦那ぁ!おいらよぉ
あんときの全滅思い出しちまったんだよ」
ワンが顔をくしゃくしゃにする。
あんときの全滅・・・
クライドがまだパックスにいたころ
パックスの約半数が全滅した件だ。
クライドもゴロムもワンもその場にいた。
全滅の原因は、脅されていたとはいえ
仲間の偽りの情報だ。
それゆえ、ワンはゴロムの情報が
偽りの情報ではないか?そこまで
いかなくとも、何かしら想像してしまい
感情的になったということだ。
クライドは思わずうつむいてしまう。
シックスも、ゴロムもうつむく。
「クライドさん・・・」
ゴロムが声をかけてくる。
「クライドさん、情報源は言えません。
しかし確かな情報です。
"混沌者"は動きません。
このまま進めてください」
「オイ!ゴロム、てめーまだ
そんなこと言ってんのか!!」
クライドは、無言でじっと
ゴロムの目をみつめる。
ゴロムも何も言わずじっとクライドを
見つめ返す。
しばらく沈黙の後、クライドが
「よし、わかった。
みんな、大将の立案のまま進めよう」
ゴロム以外の全員が驚いた顔をして
クライドを見る。
「ワン、みんな、言いたいことはわかる。
だが今回は俺に力を貸してくれ!」
シックスが手を大きくパンとたたき
「よし!!わかった!!
クライド!ワシは、おめーを信じる!」
と言うと、みなもうなずく。
ワンも
「クライドの旦那!わかったぜ
あんたにそこまで言われたらおいらも
この命預けるぜ!!」
「よし!じゃあ計画を進めよう!」
クライドもパンパンと手をたたき
会議が再開される。
「実際に砦の建築はさっき大将が言った
通り進めてくれ。大将たのむ」
シックスがうなずく。
「あぁわかった」
「それから、正確で素早い情報が
欲しい!ワンとゴロム!二人は斥候を
専任してくれ」
「オイオイ、クライド」
シックスが驚いて何か言おうとする。
ザインも
「兄者、今今でそれはちょっと・・・」
しかし二人の言葉を遮るようにワンが
「大将、ザイン、大丈夫だ!
旦那の頼みだ!まかせといてくれ!
ゴロム!良いな!」
ゴロムはワンのほうを見て
無言でうなずく。
そして、クライドのほうも見て
うなずくというよりも軽く頭を下げた。
「よし!ザイン、お前は大将の
スケジュール管理を手伝ってくれ!」
シックスはちょっと驚いた顔をして
「いや、管理は
今までワシが一人で・・・」
その言葉を遮りクライドが
「大将、俺を信じてくれ。
ザインのスケジュール能力は
飛びぬけてる。今回絶対に必要だ。
使ってやってくれ」
「よし!わかった!ザインよろしくな!」
「んだべ!」
ザインとシックスが握手を交わすのを
見届け
「ボニー、イコン族とケイから資金調達を
頼む!パックス達に腹いっぱい
食わせなきゃならねぇ」
「大丈夫!そうくるだろうと思って
もう手配済んでるよ!」
助かる。ほんと気が利く。
「ボニー、ありがとう」
そう言うと、ボニーは照れくさそうに笑い
「アタシ、
クライドの役に立てて嬉しいよぅ」
うん、と頷きあうクライドとボニー
の間にシックスが割って入る。
「資金が潤沢なのはありがてー。
ザインの坊やの力を借りられるのも
ありがてー。
だが、少し戦闘対応する戦力が
足りん・・・。
さっきから、マイナスな話ばかりで
すまねーが」
いや、大将の浮つかない実戦に即した
冷静な判断は重要だ。
大将が足りないと言うなら本当に
足らないんだろう。
まいった、一難去ってまた一難だ。
クライドが頭を抱えていると
部屋へ、パックスの一人が大声を出し
飛び込んできた。
「たいしょー!!!
たいしょー!!!
てぇへんだ、てぇへんだ!」
「なんだ!今、大事な会議中だ!
会議を中断させるほどのこと
だろーな!!!!」
「そとに、そとに!!」
何事かと外の気配を伺うと
中央広場あたりにものすごい
数の気配が漂っている。
「敵か!!!」
シックスが部屋を飛び出すと
クライド達も慌てて外に出る。
パックス砦中央広場に到着すると
ものすごい数のナグル族がおり
そしてその先頭にジュニ・ナグルが
にこやかに立っている。
「クライドさん、ザインさんからの依頼
しっかり受け止めました。
父も、全員クライド殿に命を捧げよ!
と命令を下しました!
私、ジュニ・ナグル含むナグル族
総勢2000名、これよりクライド殿の
旗下に入り命お預けいたします」
そう言うと、全員がクライドに向かい
跪いた。
「ザイン!」
クライドは思わず叫ぶ。
「兄者が敵のど真ん中に砦を立てる
って言ったとき、きっとパックスに
依頼するだなって思っただ。
それなら、余計なことかと思っただども
禁止されてる集団を一つ使うなら
一つも二つも一緒だべ。
そーいうことで声かけただよ」
「よぅし!!これで役者は揃ったな!」
シックスが大声を張り上げる。
おいおい、みんな・・・。
仲間達の思いが嬉しくある
クライドであった




