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骨出世す

「世の中タイミングが全てか・・・」


世界が変わる。


クライドにとって大げさではなく

本当にそんな感じだ。


クライドは先の穀物売買任務で

多大な功績をあげたため

7位階を得ることができた。


最下位の位階とはいえ

ローアークと名乗ることが認められた

完全な正規の魔王軍である。

魔王と謁見する資格も得た。


"魔王と謁見する資格"


クライドやザイン、ボニーは非公式では

あるが魔王と簡単にあっているため

魔王と謁見できると言われても

ピンとこないのだが

それはクライドが裏口入学的な

イレギュラーなのであって

通常の手続きを踏んだ魔王軍の

軍団員にとっては魔王と謁見することは

不可能であり、その資格を得る

というのは大変名誉なことであり

希少価値のあることなのだ。




7位階を得て、ローアークという地位を

手に入れてからというもの魔王城城下町の

面々の対応や正規兵ではない魔王軍は

もちろん、正規兵の中でも

いまだ位階を得ていない魔物達も

クライドを上官として扱うのである。


これを世界が変わると言わずに何と

言おうか。



以前くそ爬虫類野郎共がなぜ

偉そうに街の面々に声をかけながら

闊歩していたかわからなかったが

今ならわかる。


これほど対応が変わるなら

そりゃ勘違いもするわ。




例えばクライド、ザイン、ボニーの3人で

素朴な店に食事に行けば大歓迎される、

頼んでないのに一品多いし

生活用品を買いに行けば

店を出るまで店員がつきっきりで

荷物持ってくれるし

酒場に行けば個室へ案内されるし

まぁしょーもない話ではあるのだが

行く先々でVIP扱いなのだ



これが魔王軍、位階(アーク)の身分か



しかし不審に思うこともある。


たしかに多大な金銭をもたらしたが

それはあくまでもコネを利用しただけだし

言っちゃなんだが多大な額といえど

このくらいの金銭なら魔王が要請すれば

イコン族が容易に提供したであろう額だ。



もっとも低い位階とはいえ魔王軍内で

これだけ待遇が変わるのだ。


自分が果たした結果は

それにふさわしいのだろうか?と。



それで

7位階を得る褒章の場で

思わずデグに聞いてしまったのだ。


自分が7位階は少々大きすぎな

褒章ではないか?と。



するとデグが言うにはタイミングが

非常に良かったそうなのだ。



クライドは一切うかがい知ることが

できなかった件なのだが


魔王軍は先代派と呼ばれる

反乱分子を抱えている。

そのため思うように資金を使うことが

できない。


隠れ先代派と思われる魔物が魔王軍内に

存在し、思うように組織が

動かせないのだ。


これが魔王の悩みの種の一つであった。



ところがクライドが予想外に多大な

成果を上げたことで

先代派が手を下す前に魔王が自由にできる

資金を手に入れることができたのだ。


魔王は、これ幸いとその資金を全て使い

先代派の一掃を計った。


おかげで魔王軍で起きていた内乱は

終息に向かいつつある。




クライドが多大な金額を魔王城に

入れることができたと聞いた瞬間、魔王は


「ふはははは、でかした!骨!」


と叫んだそうである。



結果、クライドは7位階を受領することが

できたのである。



それって偶然じゃんと思うクライドで

あり、またクライドのことを好ましく

思わない輩達も、クライドの地位に対して

良く思っていないし、良く言わない。



しかしデグに言わせると運もまた

実力のうちであるという。


「まぁ運も実力のうちはわかりますけど

でも・・・」


と納得できないクライドに対し


デグが


「では、クライド。

別の視点から考えてみよう。

お前の今回の穀物換金任務で得られた

金額と同等の成果をあげられるものは

この魔王軍にどれだけいるだろう?」


魔王軍はどちらかといえば武力系の

魔物が多い。

したがって換金や調整などといった

内部の仕事ができる魔物は少ない。


クライドと同等の結果が出せる魔物は?

と問われるなら、それほどいない。


ということは今回の件で

7位階を得るのは不自然ではない。

と考えることができる。


「たしかに、そう言われれば・・・」


と答えるクライドに


「うむ、魔王様の命令は絶対だ。

誰が何を言おうとも気にせずとも良い。

それに今回のお前の昇進は魔王様の

絶対権限が無くとも問題ない。

胸を張れクライド」


とデグが励ましてくれた。



デグさん良い人や。





そんなこんなで7位階、一番下とはいえ

ローアークの地位を得たクライドは

より魔王軍の中枢に近い任務を任される

ことになる。



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