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新骨入社式

魔王城一角の広間。


数人の魔物が並んで立っている。

その前に巨体の魔族の男

―デグ・ノボー―

が一人立っている。


「諸君らは魔王軍の一員として。

そしてラ・モンド軍の一員として

誇りを持ってもらいたい!」


この度ラ・モンド軍に入ることになった

魔物達への説明だ。


入社式みたいなものであろう。


数人の新人の魔物達。

流石魔王軍だけあって、鼻っ柱が強そうな

癖が強そうなヤツラも多い。


そんな癖が強そうなヤツラの中に

奇妙な3人組がいる。


他の連中は、一人一人立っているのに

その3人は一塊で立っているのだ。


周囲から見ると悪目立ちする。


そう

クライドとザインとボニーの3人だ。


「なんだよ代表だけで良いんじゃねーか

全員出なきゃいけないってべ言ったやつ

誰だよ」


クライドが他の二人に小声で言う


「"だべ"って言ってる段階でわかって

言ってるべさ!指名してるようなもん

だ!兄者!」


「うるさいよ!

二人とも、静かにしなって!!!」



3人は、デグの元へ向かい

ラ・モンド軍に入ることを伝えた

わけだがその際に、入軍式の日時と

場所を伝えられ、3人勇んできたわけ

である。


そして、この入軍式に出席するのは

代表、この場合クライド。

だけで良いということが

今わかったわけである。



3人がヒソヒソと揉めている間も

デグの説明は行われている。


クライドは、ラ・モンドさんいないんだな

デグさんだけなんだな。

なんてふと思い


そりゃそうだ、普通の会社なら重役に

そう簡単にあえるわけないものな。

俺だってブラック会社にいたころ

社長や重役の顔なんて遠くからしか

見たことないもんな。

そんなペーペーなのに社長や重役に

あえる例外なんてそうそうないわな。

と考える。


自分が魔王

(普通の会社で例えるなら社長)の

特命員として活躍していたという

ことは例外と、全然気が付かないクライド

であった。


そんなことよりもクライドは

デグ・ノボーの容姿に興味が

移っていた。


それにしてもデグさんってでっかいよな、

たしか悪魔族だったよな。

オーガであるシックスの大将の巨体と

比べても遜色ないよな。

カーツ@くそ爬虫類野郎のほうが

でかいけどあれは、トカゲだから

例外だけどな。


デグさん、でっかいっていうか

ごっついって感じ?

でも筋肉バカな感じはしないんだよな。

知的な感じ。

見れば見るほど、アイルビーバックな

感じだ。



そんなクライドのおバカな感想を

無視して、デグの説明は続く。



「それでは、魔王軍に関して説明しよう

多くのことを学ぶ必要がある。

隣の部屋に移動して座ってくれ」


やだ、筋肉紳士!




クライド達ラ・モンド軍新人達は

隣の部屋に移り各々机に座る。


教室で自由に座っていいとか言われると

一番後ろに座っちゃうんだよな。


なんて考えながら

クライド達は部屋の一番後方の

座席へ座る。




「それでは、まず魔王軍の

成り立ちを説明しよう」


一気に退屈そうな空気を出す新人達。


しかし

クライドだけは急激に真剣な顔をする。


そうだ、そもそも魔王軍はなぜ

徒党を組んでるんだ?

他の連中にとっては常識的で退屈な

話かもしれないが、自分にとっては

非常に興味深い話だ。


「もともと魔物達は組織ではなかった。

基本的には個人行動で、ある程度集まる

としても種族による一定数。

いわば群れと言う程度だった」


たしかに魔物って組織的な行動はしない

イメージなのに何で魔王軍という

究極な組織があるんだろうって

根本的に思うよね。



「我々魔物は、個の力は強い。

人間よりもはるかに強い」


確かに、ちょっとした魔物なら

ちょっとした人間よりもはるかに強いね。


「それゆえ人間から迫害されたのだ。

人間よりも強い。

ただそれだけの理由で!」


退屈そうにしていた新人の魔物達が

憎悪に満ちたキッ!という顔をする。


あーなるほどこうやって煽るのね。


「そして人間は個の力が上回る

我々に対して組織だって戦いを

挑んできた。

魔物達それぞれがバラバラで

人間達に挑んでいてはいずれ

駆逐されてしまう。

そこで魔物達も組織化しようではないか

と立ち上がったのが

初代の魔王だ。当時は魔王とは呼ばれて

いなかったがな」


どれくらい昔なんだろう?


「初代魔王は、はるか昔。

もはや伝説と言われる時代であるが

それから我らが魔王軍は脈々と

続いておるのだ!」


?そんなに長く続いてるのに

全然人間支配できてないよな?

支配地も少ないし・・・。

もしかして魔王軍って弱い?


「もっとも、初代から数代前までの

魔王軍は己の身を守れれば良し

という方針であったため、その

領土は広くない。迫害されなければ

あえて人間の領土に攻めることは

なかった。我らが魔王軍は寛大にも

人間との共存の道を選んだわけである」


専守防衛。平和的な魔王軍だったのね。

っていうか平和的な魔王軍って言葉

矛盾を感じるわ~。



「ところがである!」


おう、どうした?どうした?

語気が強まったゾ。


「先々代魔王、現魔王様から数えて

2代前の魔王。

破壊王と呼ばれた魔王であるが

この魔王はその名の通り

破壊衝動の強い魔王であった。

そのため魔王領周辺を時々であるが

破壊して回った。

とはいえ、わずかな領土である!

人間が持つ広大な領土から見れば

微々たる物!

ところが人間どもは、再び我ら魔王軍を

脅威に感じ始め迫害の手を伸ばし

始めたのである!」


いや、少しでも破壊されたら

嫌がるがな。。。


「そして人間どもは英雄と呼ばれる

一人の強大な力を持つ者を送り込み

破壊王を滅した」



おぉ、魔王が人間に負けた

正規のシナリオや。


「その後しばらく魔王軍の力は弱まった。

そのため次代を継いだ先代魔王は

寛大にも人間との融和路線を

再び敷いた。

それゆえ先代魔王は安寧王と

呼ばれている」


先代だから今の魔王様の前に

魔王だった魔物ね。

ちょっと前まで内乱起こしてた先代派

の先代ってこの安寧王を指すわけね。

安寧ってネーミングと先代派の連中の

態度から想像するに、良く言えば優しい

悪く言えば甘い魔王だったわけだ。


「その安寧王の慈悲深い処置に対して

人間どもは、非道にも冒険者を

送り込んできた!!!

そのせいで安寧王は大怪我を負い

引退を余儀なくされた!」


倒されなかったけど引退になったわけね。


「そして今の魔王様が後を継がれた

わけであるが、人間どもの数々の非道な

仕打ちを受け、現魔王様は、長きにわたり

とってきた魔王軍の大方針を

大きく転換なされた!!!

攻撃こそ最大の防御!

すなわち人間の領土へ進撃を

始めたのである!」


なるほどね。


「諸君らは、気高き魔王様のために

誇り高くあって欲しい!」



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