骨内省
「はぁー疲れた」
首をコキコキ鳴らしながら
クライドは夜道を歩く。
執務室の雑用がやっと終わった帰り道だ。
休憩後もヨームは、周りを叱りまくり
荒ぶりまくりだった。
「あれは、だめじゃないかなー。
叱りまくりはなー。
パワハラじゃん。
ヤツラと一緒・・・」
会社員時代を思い出しかけて
クライドは頭痛がしてきたので
それ以上考えるのはやめた。
トボトボと夜道を歩いていると
「あ!」
クライドは、執務室に忘れ物を
したことに気が付いた。
「明日で良いっか」
「あー、でもなー、気になるなー」
どうでも良いんだけど気が付いちゃった
ら気になって仕方がない。
よくある話だ。
「しょうがない」
クライドは来た道を引き返し
執務室へ忘れ物を取りに戻ることにした。
「あれ?」
魔王城に近づくと執務室に煌々と
明かりがついていることに気が付いた。
魔王城全体は夜行性の魔物もいるため
不夜城ではあるが
執務室に関しては、夜は明かりを消し
誰もいなくなるはずだ。
クライドは、気が抜けた
おまぬけ骨モードから
諜報員モードにスイッチを切り替え
気配を消し執務室へ近づく。
執務室側からは絶対に見えない位置に
陣取り室内の様子をうかがう。
執務室内には誰も・・・・
いた!
ヨーム・タスクだ。
ヨームが一人、何か書類を触っている。
それも無数に。
スパイ行為!?
クライドはじっとヨームを見つめ
行動を全てチェックし記憶していく。
かなりの時間経過した後
ヨームは全ての書類を棚に戻し
執務室の明かりを消し出て行った。
データ改ざん!?
クライドはヨームが出ていき誰も
いなくなった執務室へ素早く入り
チェックしておいたヨームが触った
書類を取り出す。
・
・
・
「これは・・・」
■
魔王城、魔王庭園。
「ふむ、骨!財務の雑用はどうだ?」
頭巾をかぶった普段着の魔王の前に
クライドは傅いていた。
「はっ、財務責任者のヨーム・タスク
の件でございますが。
いささか卑屈で短気な点は
ございますが極めて優秀な実務家と
考えます。彼の者は財務処理の
中心人物であり、私も含め財務班の
者どもが行った処理の
チェック、修正など最終調整者としても
立派に勤めております。
また、その処理は、
独創的かつ高精度です。
それを後進へ指導できれば魔王軍に
とっても大いにプラスになるでしょう」
「ほぅ、それで?」
「彼の者への疑惑は誤解と思われます。
ですからヨーム・タスクに対して
寛大な処置を望みます!」
「え?」
「え?」
お互い顔を見合わせるクライドと魔王。
しばらく、お互いの間に巨大な
クエスチョンマークが見えるかのような
空気であったが魔王が
「ヨーム・タスクを処分する?」
「はっ!それは避けていただきたく!」
「誰が?」
「え?」
「誰がヨーム・タスクを処分するって?」
「え?魔王様が」
「なぜ?」
「え?魔王様は私に隠し諜報員として
財務を処理する長としてヨーム・タスク
の是非を判断せよと言う指令では?」
「うわははははははははは」
魔王が大いに笑う。
「私は、お前に財務の手伝いを
せよといったのを深読みして
癖が強いヨームの内偵をさせようと
していると思ったのか!」
「え?違うんですか?」
「わははははは
隠し諜報員として働いてもらう時は
ちゃんと指示を出す。
余計な気を回さんでも良い」
「も、申し訳ございません!!!!」
クライドは猛烈な勢いで頭を下げた。
「良い、良い、気にするな
その心がけは良いゾ」
やべぇやらかしたのに褒められた。
「はっ!!!」
「ふむ、良いことだ。
だが、もうヨームの内偵はせんで良いぞ。
ということで引き続き財務雑用をせい」
「え~また雑用」




