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骨、シット!嫉妬!

「なるほど、流石に深いものがありますね・・・」


シリウスは感心したようにうなずく。



夜更け、クライドの屋敷奥、シリウスの部屋。


クライドとシリウスが魔王からの特別任務について

話し合っていた。


「だろ?シリウスなら相手を安心させられるし

やらかさないもんね!」


「違いますよ。そんなこと深くも何ともありません。

私が使者をするのはどうでも良いことです。

私の変わりなどいくらでもいます。

そうではなく、クライド様、あなたの役割です」


え?ナニソレ?


シリウスはポカーンとアホヅラのクライドをジト目で

見ながら


「クライド様、ご自分の任務はわかっていますよね?」


突然の質問にクライドは慌てながら


「あ、ああああ、あたりまえじゃん!何言ってんの!」


えー?シリウスの付き人のふりして儀礼的な場所で

どういった所作をすれば良いのか勉強するんじゃないの?


と考えていると


「ですよね、よもや付き人を装って礼儀作法のお勉強を

するなんてぬるいこと考えてませんよね?」


「あ、あああああああ、あたりまえじゃん!」


図星をつかれさらに慌てるクライドにシリウスは

ニコリとほほ笑み。


「クライド様が付き人を装い、アズーリ家の裏側や

領土を探る、そして正規の使者で構築できない関係性を

築くこと。これが魔王様の真なる目的ですからね。

元御庭番をされていたクライド様にしかできない任務です」



あ、そうか、そういうことか・・・。

同盟結んでもずーっと味方なんてことは無いんだ。

いつ裏切るか裏切られるか、そんな殺伐とした世界だった。


納得したクライドに対しシリウスは

これは私の勝手な思いですが、と前置きし


「アズーリ家は、亜人を当主としていますから

領地に住む魔物に対して積極的な討伐は

行っておりません。したがって優秀な魔物がいる

可能性が高いでしょう。そんな魔物達を見つけ出し

配下に加えクライド軍の力にすることも行うべきです」


な、なるほど!!!!


ものすごく同意した顔をしたクライドを

微笑みながら見つめ、シリウスが


「準備はこちらで進めておきますので、クライド様は

本日はゆっくりお休みください」


そう言うと、クライドは、うん!とうなずき

足早に自分の部屋へと戻っていった。


部屋に一人になったシリウスは目をつぶりながら


「アズーリの魔物達だけでなく、その領土や財産、全てを

クライド様は手に入れなければなりません。

例え魔王を欺いてでも・・・」


とつぶやき、小さくせき込んだ。






数日後・・・。


そして冒頭に戻る。


アズーリ家に初訪問する日、とても品がある

ローブを身に着けたシリウスが


「クライド様、お部屋に完璧な衣装を準備させております」


と恭しく頭を下げたので、喜び勇んで部屋に戻ると


完璧なほど質素な

誰がどうみても付き人、下人にしかみえない

衣装が準備されており



先ほどみかけたシリウスの上等なローブと

自分に用意されたパーフェクトな質素服を見比べ

そして、立派でイケメンなシリウスの後ろをヘコヘコと

ついていく質素で凡庸な自分の姿を想像し


いつもの嫉妬心にまみれたクライドは


「もうあいつが主人公すれば良いじゃん!」


と叫んだのであった。


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