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VRMMOを作ろう!  作者: 末次克臣
7/8

作戦会議をやったよ

うーむ、まだ咳がとれない・・・


では第7話どうぞ


時は電話をする1ヶ月程前に戻る。


「それでは、作戦会議を始めます」

「「「おおー」」」


パチパチと男3人と女の子1人は拍手した。

折り畳み式のテーブルに、パイプ椅子、そして大きく「作戦会議」と書かれたホワイトボードのある部屋。文字通り、VRMMOを作るための作戦会議がここで開始された。


場所はサークル棟の一室。最上階のしかも一番奥という面倒な位置にある。

何で面倒かというとこのサークル棟、いつも講義をやってる本棟からグランド2つと駐車場を挟んだ向こう側にあって、直線距離で約1.5kmも離れてるのだ。しかもこのサークル棟にはエレベーターやエスカレーターなんて文明の利器なんて無い5階建て、そして200mの廊下の奥部屋となると行くのが面倒としか言い様がない。唯一の救いは下の階と違って廊下に段ボールの山が無くてすっきりしてるとことだろう。下の階には段ボールで通行止めになってるエリアもあるのである。


だがそれでもすごい事ではある。5月とはいえ、未だに新規サークル設営や勧誘などで部室確保の競争は激しいもので、場所が取れるだけでもすごい事なのだ。


「お前、よく部屋取れたな」

「そこはコネよ、私って優等生だし」


仮面優等生ここにあり、性格はアレだが成績は優秀だもんなコイツ。


「それに弱みなんて握られる方が悪いのよ」

「は?」


今、さらりととんでもない事言わなかったか?弱み?握られる方?なにそれ?


「・・・弱みって何?」

「聞かない方がいいわ、世の中には知らない方が良い事もあるもの」


怖っ!この女腹黒過ぎだろ?!腐ってるだけじゃなく脅迫すらやるとかどこの悪女だ?

こっちの不安を華麗にスルーしてアサミは進行を続けた。


「さて、気を取り直して。カナ、例の物を出しなさい」

「うん」


カナは足元に置いていた段ボールを持ち上げてテーブルの上に置いた。ドスンと置かれた段ボールはそこそこ重そうだった。箱の蓋を開くと、その中には1冊100円のノートがギッシリ詰まっていた。


「これ何?」

「私が考えてたゲームの資料」


パラっと開いたノートにはびっしりと事細かく文字や軽い挿絵が入ってた。それが1冊どころか何十冊もあるのだ。


「マジで!?これ全部?」

「すごいね」

「結構細かく書いてる」


俺たち3人はその量に驚愕した。いくら夢だったとはいえ、ここまでやるのかと思ったからだ。カナの行動力がここまで本気だと、手伝う側としては手は抜けない。こっちも頑張らなければ。


「電話はまだでしょ?」

「そりゃあ昨日の今日でするわけないだろ」


昨日話し合って決まったばかりで、すぐに電話なんて行動力は俺には無い。もちろんいずれはするつもりではあった。


「賢明ね、もし電話してたら一発殴ってるところだったわ」


しなくて良かったと今本気で思った。アサミは勉学だけじゃなくスポーツもかなりできる。そんな女が殴るなんて恐ろしすぎる・・・


「とにかく、いきなり作るなんて出来る訳が無い。作業手順、役割分担、場所の確保に人員の確保事前にやる事は一杯あるわ」

「確かにな。で、場所がこの1室ってこと?」

「あと隣の2部屋もよ」

「え?3部屋も使っていいのかよ!?」

「苦労したわ」


驚愕の事実、1部屋どころか3部屋取るなどすごいどころかありえない。もちろん大手サークルや人数が多ければ許可されるだろうが俺たち5人に貸し出されるには明らかにおかしい。理由があるとすればそれはアサミが使った非合法の手腕。さっきは聞くのを止めたが、今は気になってきた。


「・・・マジで何やったの?」

「聞かない方が身のためよ?」

「・・・・・わかった」


聞いたら俺も後戻りできなくなりそうだ。すごく気になるが、やはり聞かないでおこう。


「場所の確保はとりあえずこれで問題ないはず。それで作業手順なんだけど、このカナのノート。軽く見たけど結構バラバラに書かれてるのよ」


パラパラとページをめくりながら説明する。だがカナは不服だったようで。


「バラバラじゃない」


とプクーっとリスみたいに頬を膨らませて抗議している。見た目が可愛らしいのでむしろ可愛さが助長されてる気がする。もしファンクラブの奴らがいたら写真を撮ろうとするだろう。


「はいはい、ふてくされない。まずはこの資料の整理、そして資料の順番決めをやるわ」

「順番決め?」


俺たちがよくわかって無い事に気付いたアサミは、ホワイトボードに備え付けのペンで書きながら説明を始めた。


「起点と基点を決める、作業をスムーズにするにはこれが結構重要なの。順番決めはそのポイントの洗い出しに必要なのよ。例えば大きな白い紙に4人で地図を描くとすると、同じ場所から書き出したら互いが邪魔になって上手く書けない、かといって違う場所から書き出したら合わさった時にズレが出来てしまう。起点は互いが邪魔にならないように、基点はズレが生じないようにするためにあるのよ」


と、ホワイトボードに書かれたことを見ながら、説明を受けて納得した。つまりはポカミスとか重複とかの失敗を無くすための下準備をするための作業をこれからやろうというのだ。


「なるほど」

「順番を決めることで起点を割り出して、作業がブッキングして詰まったりしない様に基点を作るの。わかった?」

「OK、それでノートを仕分けるんだな」

「ええ、とりあえず付箋を配るから、1ページづつ見て、種類分けして貼っていって。できれば内容も簡潔に書いて」


そう言って足元のビニール袋から様々な色の付いたカラー付箋を各々に配った。


「ほんと準備いいなお前」

「何言ってんの、これは必要経費よ。後で請求するからね」

「げっ・・・」

「げ!じゃないわよ。タダで何でもやるわけないでしょう?みんなの食費とか色々出してもらうわよ」


つまりは必要な分は全て俺持ちという事だ。


「マジか」

「大マジよ、講義以外はこっちに詰めるんだから了承しなさい」


確かに、一時バイトも休んでこっちに来るつもりだった。その休んでる間は、親からの仕送りがあると言っても懐事情は芳しくなくなる。それを補うためにも潤沢な資金提供は必須かもしれない。


でも何でも出すのはなぁと思案してると、上着の裾を引っ張られた。振り返るとカナが上目づかいで(身長差もあるから必然的にそうなる)言ってきた。


「私も出す」


とても申し訳無さそうな顔で言ってくる。自分のワガママでここまでさせるのは気が引けるからなのだろう。

だが美少女にこんな顔させては男が廃るというものだ。ここは男らしくキップを払う事にした。もちろん見栄も無くはないが、それでもここは俺が払うのがベストだろう。


「いや、いいよ。5000万あるし、食費程度とか問題無いさ」


と胸を張って言った。この時はそう思っていた、大した問題じゃ無いって。それが大きな油断だとは思ってもみなかったんだ。


それを後に後悔することになるとは・・・

次はいつになることやら・・・なるべく早くにしたいです。(汗)

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