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それでも僕は夢を見る  作者: 工藤万智高
第一章『過去』
7/9

過去、栄光、絶望

5人部屋に戻るとしゃがみこんで頭を抱えた、

(なんでなんだ!なんであいつが…)


しばらくそのままでいると扉の向こうから声が聞こえた、

「万里さん、私です、ちょっといいですか?」

琉華だ、

「おー、琉華か、悪いな、いきなり抜け出して…」

「いえ、あの…お話…できますか?」

「…悪い、顔を合わせては無理だな…」

少し沈黙が入ってから突然凛とした琉華のこえが扉越しに聞こえてきた、

「六神万里上等兵、出身は北海道、8歳の時に住んでいた町が霧に覆われる、本人も一回眠りについたが、自力で目覚め、数少ない『後天性』のドリーマーとして覚醒したため『奇跡の子』と呼ばれる。その後孤児院で過ごし、16の時入隊、」

俺の腕にナニカが触れる、俺の足にナニカがすがる。 

「適合者としての才能があり、東南アジアでのインド支部との連合作戦では対穢神用のチームを組み、多大な戦果を上げる。」

俺の体をナニカが抱く、

「それから5年後『とある』穢神との戦闘でわずか数名と共に帰還、適合者を止め、通常の兵士として戦闘に参加する」

ナニカが俺を見つめている、あぁ…そうか、

「書類にはこれしか書いていません、でも私知りたいんです!何故リアライゼイターを捨てたのか、同じ仲間として、尊敬する先輩として、」

このナニカは、俺が殺した仲間達か…

「ついに、幻覚まで…俺ももうおしまいかな」

「え?」

「いや、なんでもない、まぁ話しておくべきだろうな」


対穢神用チーム、その考え自体は最近のものではない、むしろ対穢神兵装が開発された時からあった。

第9大隊には180名の選抜メンバーで作られた対穢神小隊があった、そのなかで最主力であり唯一の適合者が俺だったという訳だ。

かなりの戦闘をこなした、隕石の子も大量に破壊した、この小隊のおかげで四国地方の開放率は30%から70%まで引き上げられた。


あの日も今までどうりに戦い、今までどうりに帰って飯を食べ、讃えられると思っていた…

突如襲来した鳥類型穢神『朱雀』の強化個体、識別名『JADE』は小隊を混乱の渦に陥れた。


銃撃と暴風の中怒号がとびかう、

「六神!攻撃できるか?」

「難しいです!あの翼から出る突風で攻撃が巻き上げられてしまいます!」

「くそ…やはりか…」

「中尉、考えがあります!」

「なんだ大井兵長!」

「鳥には飛ぶための重要な羽があります、そこを切り落とせれば二度と飛ぶことはできません。」

「え、あいつにもそれがあるんですか?兵長!」

「多分な、どうだ六神、狙えるか?」

翡翠色の巨体を見つめながら叫ぶ、

「ピンポイントに狙うのは難しいですね、広範囲に攻撃をばらまけば…」

中尉が少し考えこんだ直後

「全兵に伝達!六神が技を放つまで我々でJADEを飛行させないように時間を稼ぐ!」

「はい!」

伝達兵が通信を始めると同時に中尉がこちらを向き

「聞いての通りだ、六神、一応お前の能力で奴の動きを止めてから攻撃だ、いいな?」

「はい!」


自分以外の全員がJADEを囲み威嚇射撃を行っている。

JADEの正面に立ち己が獣の羽根を広げる。

「キェッ…」

動きを止めた怪鳥に向けて次は数多の刃を飛ばす

「あばよ、小鳥ちゃん」

完璧だ、仕留めた

その瞬間!奴の翼が大きく動いた、

生み出された猛烈な突風は仲間達を巻き上げ、その体に俺が飛ばした刃が次々と突き刺さる。

「だめだ!」

これでもまだ足りないとでも言うように翡翠の悪魔は自分の鋭い羽根を空を舞う仲間達に向けてばらまいた。

「やめろぉぉぉぉぉお!」

風、血、体、その三つが混ざり合う様子を見たJADEは満足そうに一鳴きし、飛びたっていった。


後に残されたのは立ち尽くす俺と、絶望と死体の山だけだった。

今回ちょっとだけ六神の能力の片鱗が見えましたね、おっさんの能力はもう明かされているので他のメンバーの能力同様に予想したりしてみて下さい。

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