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乙ゲーネタで書いた短編にブックマークもユニークもあっさり抜かれた

流行ってすごい


さて三度の説明回

興味ない方は最初の方と最後だけ読めば桶

コーリーは微笑みを浮かべたまま固まっている

ふむ、やはりよく見ると中々可愛らしい顔立ちをしているな、なぜかよく見ないとわからないんだけどね

普段から長く伸ばしたパッツン前髪(後ろは腰の辺りまである)で常時俯き気味なせいってのもあるんだろうけど不思議なほど美少女という印象を与えない

どこにでもいそうな普通の黒髪・黒目の少女って感じだ

認識阻害魔法(そんなのあるか知らないが)でもかかってんのかねぇ?


っと、現実逃避をしていても何も進展しない、表情こそ固まっているが目じりには涙が溜まってきているし口もわなないている、何より顔が真赤だ

こんな時スマートに対応できる男が真の紳士(モテ男)というものなのだろうが、コミュ力の低い私にはハードルが高すぎる、無理だ

藁にも縋る思いでチコリの方を見てみるが“ズーン”という言葉を幻視しそうなほど落ち込み『私のせいでお嬢様が残飯を…』とぶつぶつと繰り返し自分の世界に入っている、だめだ役に立ちそうにない

追い詰められた私はほぼ条件反射で日本人の悪癖と言われる“困った時に曖昧に笑う”を発動してしまった

案の定間違った選択肢だったらしく


「▼ヾй◇◎♭★~~~」


と声にならない叫びを上げながら布団に包まりプルプルと震えている

私は途方に暮れるしかなかった



そんな私を救ってくれたのは私のお腹の虫だった

私のお腹が鳴ったことでまだ私が何も食べていないことを思い出したコーリーが再び慌ててチコリに食事を作ってくるように指示したのだ

チコリは幽鬼のようにフラフラとした足取りで出て行ったが大丈夫なのだろうか?


今私達は応接セットの椅子に向かい合って座っている

コーリーはまだ頬も赤く若干気まずそうに俯いているがチラチラとこちらを上目遣いで見てくる

何この可愛い生き物、そんなことばかりしていると犬さんに食べられちゃうよ?


「あの…本当にごめんなさい……

チコリがあんな物を出すとは思っていなくて…」


《私は気にしていないからもうコーリーも気にしなくていいよ

人間世界のことはわからないけど、むしろあのチコリという娘の対応が普通なのではないのかな?》


「…確かに従えた魔物を家畜のように扱う魔物使いも多くいるそうです

でもパートナーとして大切にしている人達もちゃんといるんです

私のお父様とお母様もそうでした、食事も一緒にちゃんとした物を摂っていたんです

チコリはそれを知っていたのに……」


《ふむ、もしかしてコーリーのご両親の従えていた魔物は高位の魔物だったのでは?

私は弱小種族のコボルトだからね、そんな敬意を払う必要を感じなかったんじゃないかな》


「そんな…」


はて?今の『お父様』には今までになかった親愛の情が込められていたいたように感じた、今までに聞いた『お父様』にはどこか恐れや警戒といった感情が滲み出ていたのに…

それに先ほどの『お父様』同様親愛の情が込められた『お母様』と2人のことを過去形で話す彼女

もろに地雷臭がするな

ひょっとしたら彼女が私に執着する理由もその辺にあるのかな?

彼女の先ほどの行動や態度はパートナーを大切にするというよりもはや主従が逆転していたからねぇ


何となく会話が途切れてちょっとした沈黙が流れている時にちょうどチコリが料理を運んできた

同じメニューであることを確認して先に来ていた料理を私の方に引き寄せてコーリーの前をあける


「あっ、私がそちらを食べますからディルは今来た方を――」


《いえ、実を言うと私は猫舌なので熱い料理が苦手なのでむしろこちらの方がいいのですよ》


今は犬だけどね!

そうでなくても目の前の女の子が冷めた料理食べてるのに自分だけ出来立ての暖かい料理食べるとかありえないしね


食事をしながら今後の事を聞くと4日後に学園の寮に入るそうだ、その間この別邸の中なら自由に過ごしていいそうだ

だがコーリー自身には勉強や鍛錬があり、コーリー曰く、人の倍以上やらないと人並みにできないのであまり一緒に過ごせないと申し訳無さそうにしていた


学園というのはこの王都に隣接されている半ば自治区となっているマンモス校のことでムーティヒ学園というらしい

“学園”とつくのはここだけで他の地方にあるのは普通に“建っている場所名+学校”となる

何でも5代目の勇者様達が義務教育制度を取り入れたとき最初に建てられた学校で唯一高等教育を行うからだとか

・・・いたんだ、勇者…まぁ、ファンタジーな世界だしな……


この世界の義務教育は王侯貴族は6年、平民は基本3年だが才能を認められた平民はさらに3年と王侯貴族と同じ長さになる

入学するのは12才になる年からと高めだ、理由は学校の数が少なく(下位貴族の領地には1校しかないとかザラらしい)通えるところに学校のない者は親元を離れ寮生活を送らなければならないかららしい

貴族も最初の3年は自分の領地にある学校に通い、後の3年は学園に通うのだそうだ

なので最初から学園に通うのは王都住まいの貴族(領地を持っていない)と平民それに王族だけということだ

学園の授業は選択式で進路毎に定められている必須科目を受けていればよく、成績は評価されるが留年はない(退学にならない限り卒業できる)とかなり甘いが平民は将来の安定の為に、貴族も爵位によって多少違いはあるが暗黙の了解で取っておかなければならない授業と評価があったりするので楽というわけではないらしい

学園の話をだいたい聞き終わった頃食事も終わり、チコリが食器を片付けて帰ってくるとコーリーはチコリと一緒に鍛錬に出かけていった

チコリはまだ落ち込んでいたがコーリーが励ましていたので時期に元に戻るだろう


それから寮に入る前日まで、私がこの部屋で1人(1匹?)の時は部屋にある本でこの世界の情報収集をして、コーリーが部屋で勉強している時は邪魔にならないように私が外で鍛錬するという繰り返しだった

この世界のことはコーリーに聞いた方が早いのだろうが食事の時は楽しそうに私のことを聞いてくるし、それ以外は鍛錬か勉強をしているので聞くに聞けない

チコリには相変わらず嫌われているようだし、そもそも念話のスキルを持っていないのか通じない

この念話はギアスをかけた者とかけられた者の間だけで通じるものなのだろうか?

それだとあの魔物使いの男が使ったスキルは別のものということになるな、ひょっとしたら魔道具的な何かを使っていたという可能性もある

その辺りのことは載っていそうな本が無かったのでよく分からないけどね


この国というか世界の歴史を調べたところ、200年周期で何かしらの問題が起こりその度に異世界から勇者が召喚されているようだ

問題のレベルも4段階ほどあり(4:世界存亡の危機~1:国家存亡の危機)、それも規則正しく起こっていて思わず『ゲームか?!』と突っ込みたくなる

いや、確かにレベルだのスキルだのあるけどさぁ

とにかく起こった問題の難易度を歴史通り並べると

4・1・2・1・3・1・2・1・4・1・2・1・3・1・2・1

となる

・・・そろそろレベル4の問題が起きる時期じゃないですか、ヤダー

まぁ、勇者様がなんとかしてくれるだろう

今回はレベル4だろうから7人召喚されるはずだし何とかなるだろう(3の時は5人、2の時は3人、1の時は1人)

勇者については同意も無く強制的に召喚していいのかとも思ったがこの国の王族に召喚魔法を授けた神曰く『異世界に行きたい又は自分の世界に居たくないと思っている者しか召喚されないので無問題』なんだそうだ

あと勇者と言っても必ずしも武力で問題を解決するわけではなく知識や技術の伝達で問題を解決している者もいる

なるほど通りでトイレが水洗(ウォシュレット付き)だったり料理の隠し味に醤油っぽいものが使われていたりするわけだ

本に使われている紙もやけに上質だったしな

ひょっとしたら米なんかも探せばあるかな?あるといいなぁ~

ちなみに男の勇者は例外なくハーレムを築いていてレアスキルといわれるスキルを持つ者のほとんどが勇者の子孫のようだ


この世界はファンタジーらしくエルフやドワーフに獣人といった種族もおりそれぞれ国もしくはそれに準ずる組織を持っている

もちろん純人族(所謂普通の人間、こちらではそう呼ぶ)も含め思想や細かな種族の違いから多くの国や組織が存在しているが勇者を召喚できるこの国を一応盟主としてまとまっている

とはいえ差別問題など色々と軋轢もあるようだ


曲がりなりにもまとまっているので通貨は共通で紙幣はなく、全て硬貨だが何気に種類が多い

順に、虹>黒>金>銀>赤>紫>桃>緑>黄>青>白となっている

…これ絶対パチンコ好きな勇者がいてそいつの意見取り入れただろう?

それはともかくそれぞれの硬貨がどれほどの価値があるのかわからないが銀貨2枚もあれば一家族が1月くらせるようだ

この色わけは冒険者(当然いる)ランクや学校の評価等にも使われている


この世界の生き物には全てレベルが存在しているが同時にレベルの上限も存在するらしい

上限は魔物以外は完全に個人差だが血筋もかなり影響するようで王侯貴族には上限の低い者はあまり生まれない

魔物は種族毎に上限の最高が決まっている、これは魔物が魔石を核として生きていて、種族毎に核の質が決まっているためと言われている

無論例外はいる


上限を知る方法は今のところ無く、経験値を吸収できなくなったらそこが上限ということだ

もっとも上限がきても鍛錬でステータスアップやスキルの習得はできる、効率は悪いようだが…

経験値はその魔物を倒した冒険者達が魔物からドロップする(魔物は光の粒子になって消滅する)魔石が淡く光っているうちに壊すことで得られるが、経験値は壊した者の総取りになる

そのため大人数でパーティを組んでいる冒険者はあまりいない、むしろある程度実力のある者はソロでいることも多いようだ

とはいえ、魔石は色々な道具や薬の原料となるので経験値目的でない採取の場合などはこの限りではないだろう

つまり冒険者にとって魔石は経験値の元であると同時に大切な収入源でもあるので悩みどころだろう

あとレベルやランクの高い魔物からはスキルも身に付く魔石や他のドロップアイテムも現れることもあるとか

そうそう、なぜかちゃんと戦闘に参加していない者が壊しても経験値は吸収されない

“ちゃんと”というのは戦闘をしているパーティが共に戦っていると認識しているということで直接ダメージを与える必要はないようだ

だから冒険者を金で雇って代わりに戦わせたり、ただ一緒にいるだけではレベルを上げることはできないらしい


さて、この国についてだがファンタジーらしく王制だがフューレン教という宗教も御多分に洩れずかなり幅をきかせているようだ

フューレン教というのは勇者召喚を授けた神様を奉っている宗教だ

そこの巫女が神託を受けた時に王族と協力して勇者を召喚するのでかなりの発言力を持っている

それに初代の勇者達を祖に持つ六つの侯爵家(シュヴァルツ侯爵家もこれにあたる)も結構な権力を持っているようだ


と、ここまで調べたところで時間切れだ

今は夕食を食べながら明日の予定を確認している

そこでついに我が主様があることに気付いた

そう、ある程度この国のことを理解できるまで自分のことを隠そうとしていた私がしてしまった失敗

だけど彼女になら話してもいいかと思いなおし、彼女が気付くまでそのままにしていたこと


「えっ、あれ?念話を使っていないのに会話が成立してる???」

なぜか話が進まない

予定ではとっくに入学していたはずなのに…

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