第三次世界大戦~愚行のはじまり~
――この世界には何もない。
雑踏も、建物も、生物も。
生き残ったのは私一人。
――何でこんなことになってしまったのだろう。
私達は平和を望み、社会に訴えかけてきたはずなのに。
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事は私が生まれる前にさかのぼる。
二十年前になる2015年七月の総選挙。
立憲平和党の米内康雅が圧勝し、再びねじれ国会となった。
そして米内は暴走し、人気があるのをいいことに国会を左傾化し、自衛隊をすべて廃止し、変わりに平和隊なるものを作りあげた。
災害時に人を守るのは変わらないが、右傾化した意見を持った者には死の鉄槌を加えるという、恐ろしい集団である。
そんな中、現職へのリコールが可決された。
時は移り春の首相選挙。
現職に変わり、米内が首相に就任した。
すると、過激な左翼民衆が皇居の大手門に火をつけた。
これを後に大手門事件という。
これにより、平成は幕を閉じ、左平天皇が誕生した。
四月二十五日のことだ。
自由民権党などの野党は、国会を栃木県・宝積寺に移した。
だが、米内がよこした秘密舞台により焼き討ちされた。
これを宝積寺焼き討ち事件と呼ぶ。
左翼筆頭の政権は止まることを知らず、アフリカのアラブ地方の内戦を鎮圧しに出兵するのだった。
理由は簡単。戦争なんぞけしからん。それだけだ。
もはやここまで来ると矛盾しているのだが、同時人民は左翼化されており、日本の暴走はとどまらなかった。
ここからJA戦争が始まるのだった。
そして、日米安全保障条約を口実にアメリカが参戦するのだった。
しかし、アラブ地方を後押しするグループがいた。
それが八カ国連合だ。
八カ国連合とは、仏英露中韓葡白西。
つまり、フランス、イギリス、ロシア、中国、韓国、ブルガリア、ベルギー、スペインの八カ国からなる連合である。
一方、日米に味方するグループもいた。
それが、三カ国連盟であった。
三カ国連盟とは、独伊蘭。
つまり、ドイツ、イタリア、オランダの三カ国からなる連盟である。
そして、JA戦争からいつの間にか連合と連盟のつぶし合いになった。
右翼も左翼も行き着く先は同じところなのだ。
そう、それをもっと早く気づいていればあんな悲惨なことにはならなかったのに、などと思ったりする。
だが、それは結局、あとから気づくだけなのだ。
私達は、それがどんなに情けなく愚かなのか知ることになる───。