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おやつ  作者: 文歩
5/11

ようかいのおうち

バイクのぐるぐるは次第にゆっくりになり、やがて止まった。



バイクようかい男はバイクを降りると沙織をおんぶした。



「ようかいさん…」

沙織は小さな声で話し掛けた。



「あ、俺?そっかぁ、俺はようかいに見えたか。まあ君を誘拐したくらいだからね」

男は嬉しそうに大口を開けて笑う。



「ゆうかい?」

沙織が首をかしげる。



「誘拐の意味知らないかな?」

男はそう言うとドアを開けた。



中には女が煙草をふかして立っていた。



沙織にはようかいけむり女に見えた。



「ハローマイベイビー!」

ようかいけむり女は沙織を見るなり微笑んで、男と沙織を同時に抱き締めた。



甘い葡萄の香りと、苦い煙が3人を包む。



「ようこそ伊藤家へ!あなたは今日から家族よ」

女は煙草をくわえたままそう言った。



「家族…?」

沙織には状況がわからなかった。



「おうちに帰りたくないんだろ?じゃあそんなおうち帰る必要なんてないよ。帰りたいうちに来ればいい。そう思って君を誘拐、さらったんだ」

男は笑顔を絶やさない。



沙織は呆然としたが、男の言葉に納得した。

この人達ならずっと一緒にいてくれるかもしれない、と。



「あたしは美夏。あなたのお母さんになるね!みーちゃんでいいよ」

美夏は笑顔で言った。



「俺は千秋。ちあきって呼んでね。お父さんかあー」

千秋も沙織の隣で微笑む。



「あたしは…」

「小春ね」

美夏は沙織の発言を遮った。


「あなたがどんな名前か知らないけど、今日から伊藤家に来たんだもの。今日から小春ちゃんね」

美夏は長い髪を束ね直しながら言った。



「小春…」

沙織は少し複雑な気持ちもあったが、なぜかおうちにいるよりも安心した。


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