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おやつ  作者: 文歩
10/11

なみだ

しばらくするとバイクは川原に止まった。



千秋はこはるの手をやさしく包み、歩き出した。



何も言葉をくれない千秋が心配になり上を見上げた。



すると千秋の目には雫が数滴流れていた。



こはるは驚いて尋ねてみた。



「どうして泣いてるの?」



千秋はいつものやさしい笑顔でこはるを見つめて話した。



「こはる、なみだって知ってる?こはるはきっとなみだを知らないよね。でも笑うことも知らないだろ?それはきっと親を見て育ってきたからだ」



「何を言ってるのか難しくてわからないよ」



「こはるは怒ることも知らなければ悲しいことも知らない。甘えることもできない。」


そう言うと千秋はこはるを強く抱き締めた。



「でもおまえはやさしさの天才だ。誰にも教わってないはずなのに知ってる」



こはるは千秋の腕をほどいた。



「あたしは天才なんかじゃない。ママがやさしいからきっとやさしいんだよ。ママはいつもあたしがさみしくないようにって昔から毎日クッキーを焼いてくれてたよ」



千秋はこはるの瞳を見て驚いた。



そこには初めて色が彩られていた。



そして同時に、千秋の瞳も色を取り戻しつつあった。


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