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頑張れ! 修造

作者: しゅうきち
掲載日:2026/10/18

花守さんの掌編のアンサーとして

書きました。


なんで、食べもの屋の話なんでしょうね、当人にも?

新幹線あさまは、定刻通りに長野駅のホームに入って来た。

修造は、ホームに降り立つ民子の姿を探した。


人の良さそうな可愛い笑顔の民子が、軽く手を上げたのが分かった。


修造は、蕎麦うち体験ツアーで、カップルになった民子が

善光寺に来たことないというので、思い切って来てみませんかと

誘ってみたのだ。


「ようこそ長野へ。疲れてないかな」

「新幹線に乗ったら、すぐに着いたんで全然」

そう言う、笑顔の民子を見て、可愛い女性だなと

改めて思う修造だった。

  

改札口を抜けると、お昼近くだったので、

「どうします。駅から善光寺までのバスがあるけど、善光寺までゆっくり歩いて

一時間だし、その前に腹ごしらえしませんか」

「お任せします」 


「じゃ、長野市民のソウルフードっ言われてる、いむらや(良かったら検索してね)って店があるけど、そこの焼きそばが有名なんです」

「長野のソウルフードですか。へ〜面白そうですね」

民子は興味深げに修造の顔を見る。


五分ほど歩き、スーパー裏の大通りをちょっと外れた所にある、いむらやに着くと

修造は、慣れた様子で、奥にある食券売り場に行き、

「焼きそば普通二つ、それと焼売一皿お願いします」と言った。

 

並んで席に着くと、修造はコップの水を民子の前に置き、目の前にある黄色の調味料の入った容器を持って、テーブルの上で回し始めた。

「これね、酢とカラシなんですよ。これを混ぜといて、焼きそばにかけながら食べるんです」

「そうなんですね」民子は、真剣に酢カラシ容器を回す修造を、おかしな人だなと思いつつ普通の顔をしている。  


やがてテーブルの上に置かれた焼きそばは、あんかけタイプで、針みたく麺が立っていて硬そうだ。


これ、食べるの口の中が痛くならないかな、民子がそう思って修造をみると、彼は酢カラシを自分の焼きそばにドバドバかけて、容器を民子に渡す。 

「これかけながら、柔らかくして食べるんです」と言う修造。

「へ〜、面白そう」


そう言って、民子は酢カラシをかけてひと口食べてみる。 

甘い餡と酢カラシが混ざって、今まで食べた事ないけど好きかも、と思う民子だ。


「焼売です」と言う店員の声がして、焼売が五個のった皿を置いて行った。

「これもイケますよ」修造は新たに割り箸を使い、焼売の皿の端にあるカラシをちょっと掬い焼売にぬる。それをソースの入っている小皿に乗せ、民子の前に置く。


「どうぞ」修造は、軽く促す。

どんな味なんだ、民子はひと口食べて、焼売の甘みとソース、カラシのコンビネーションに、これは美味しいと感じた。


この後、民子は修造からいむらやのウンチクを、さんざ聞かされて、うっせぃオッサンだなと思いつつ作り笑顔は絶やさなかった。


店を出て大通りから市街地循環のバスに乗り、善光寺に向かう二人だった。



その後、民子は修造の連絡先を削除したのだろうか。



悲しい、修造くん、ファイト!

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