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プロローグ

生まれたことが、罪だった。


王女ソレティア・ヴェルナは、

癒しの力を持つがゆえに、

家族に、忠臣に、国に――命を狙われ続けてきた。


それでも彼女は、うずくまらない。


契約ではなく意思で従う少年と出会い、

王女は自ら“悪役令嬢”になる道を選ぶ。


これは、

誰かに守られる物語ではない。

守る側に立つと決めた、

一人の少女の物語。




――それでも少女は、生きることを選んだ


生まれた瞬間から、少女の世界は敵に満ちていた。


祝福の言葉の裏で囁かれる、呪詛。

微笑みの奥に潜む、殺意。

生まれたことが罪だと告げられ、毒杯を差し出された夜も、一度や二度ではない。


夜が来るたびに考えた。

次は誰が、どんな方法で自分を殺しに来るのか。


死んだ方が、楽だと思ったこともある。

生きているだけで、誰かの憎しみを集めるのなら――。


それでも少女は、生きることを選んだ。


ただひたすらに、平穏に暮らしたい。

誰かと笑い合いたい。

こんな不幸は、自分の代で終わらせたい。


だから、うずくまらず、泣かず、

ただ前を見て、立ち上がる。


――そんなときだった。




貧民街の路地で見た、その瞳を。

少女は、どうしても見過ごすことが出来なかった。


路地の奥、崩れかけた壁に背を預けて、

ひとりの少年が座り込んでいた。

血と泥にまみれ、視線は虚ろで、

もはや助けを求める気力すらない。


――生きるのが、怖い。

――生きている意味が、ない。


そんな目をしていた。


その前を、一台の馬車が通り過ぎようとして、止まった。


夜の闇に不釣り合いなほど、整えられた靴音。

外套に身を包んだ少女が、静かに降り立つ。


ローブの下には、仕立ての良い衣装。

そのすべてを隠すように深く被られた外套は、

ここが“来るべき場所ではない”ことを、雄弁に物語っていた。


赤い髪。

その瞳は、凍るほど冷たく――そして、どこか痛々しかった。


少女は、少年を見下ろし、淡々と言った。


「……生きるのが、辛そうな顔ね」


少年は、ぎり、と歯を噛みしめた。


「お前みたいな、着飾って楽して生きてる女に……

この苦しみが分かるわけない」


「そうね」

少女は、少年の言葉を否定しなかった。


「貴方みたいな弱虫の気持ちなんて、理解したくもないわ」


少年の感情が、堰を切ったように溢れ出す。


「殺されそうになったこと、あんのかよ!!

一人きりで、誰にも頼れず、

死ぬのを待つしか出来ないんだ!!」


少女は一歩、距離を詰めた。


「くだらないわ。

自分が世界一不幸だとでも言いたい目をしているけれど、

貴方より不幸な人間なんて、腐るほどいる」


「お前が……この国の……

この貧民街の人間の何が分かるんだよ……!」


一瞬の沈黙。


「……あなた家族に、殺されそうになったことは?」


少年の言葉が、喉に詰まる。


「生まれたことが罪だと言われたことは?

毒を飲まされたことは?」


少年は、息を呑んだ。


「勘違いしないで」

少女は淡々と続ける。

「私は、不幸を自慢したいわけじゃない。

ただ――私は、あなたのようにうずくまらないというだけ」


「……俺に、何が出来る」

少年は、絞り出すように言った。

「金も、力も……何もない」


「私と共に来なさい」


迷いのない声だった。


「家を、食事を、暖かいお風呂を与えるわ。

そして――あなたを、私が守ってあげる」


「……どうしてだ」

「初対面だろ」


「そうね」

少女は一瞬、視線を逸らす。

「ほんの少し前まで、私もあなたと同じ目をしていたからよ」


「施しをして、満足したいだけか?」


少女は、ふっと笑った。


「私は、施しで人を買うほど安い身分ではないわ、」


少年の目が、大きく見開かれる。


「じゃあ何が望みでそんなことをーー」


「対価よ」

赤い瞳が、まっすぐに少年を射抜く。


「なにを…言ってーーーー」


言葉を遮るように少女は言う。


「教えてあげる、」

「私の名前は、ソレティア・ヴェルナ」


ーーーその一言で空気が変わる。


「……ヴェルナだと?」



「ええ。」


淡々と告げる


「この国の王族よ」


少女ーーーソリティアは、静かに息を吸った。


「教育を受けなさい。

剣を磨き、学問を身につけ、従者として

私を守る盾となり、剣となりなさい」


唖然とする少年は呟く

「……断れば?」


「ここで、惨めな一生を終えればいい」


ソレティアは、迷いなく告げる。


「今、選びなさい。

ここで死ぬか――

私を守る者として、生きるか」


長い沈黙の末、少年はうつむき、そして言った。


「……分かった」

「お前に、、ソレティア様に従う。」



ーー生活の保証と、守り合うこと。

互いに結んだ約束を胸に刻むーーー



「ーーあなた名前は?」


「アル、性は持たない。ただのアルだ。」


「そう、アルというのね。」


そう言って馬車に乗り込み

走り出す。


「どこへ行く」

「王城か?」


「ええ」

ソレティアは答えた。

「アルも、これから私と共にそこで暮らすの。

ただし……しばらくは勉強漬けよ」


「……俺が、教育を受けられるなんて……」


小さく、小さく。


「……ありがとう」


「感謝なんて要らないわ」


ソレティアは窓の外を見つめた。


「私を守ってくれれば、それでいい」


一瞬、声が揺れる。


「……私は、誰かを心から信じてみたいのよ」


「……どういう意味だ」


「いいえ。何でもないわ」


夜の街を抜け、馬車は王城へ向かう。

ローブの下で、ソレティアは静かに息を吐いた。



令嬢漫画が大好きな私の、頭の中の作品。

小説をあまり読んだことがなく、ただただひたすらに私の好きを詰め込んだお話になります、小説を書くのも初めてなのでアドバイスや感想お待ちしてます。

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