出会い
「あぶない!!」
「へ?」
いきなり誰かが叫んだ。かと思ったらいきなりそいつの方から閃光が走り、ビームのような何かが放たれる。
「くっ!」
いつの間にいたのか自分の近くにいた人物がビームをよける為に飛びのいた。
「またお前か!」
そいつはそんな事を叫びながら持っていた短剣を縦に構え
「フレイムインストール!」
いきなり叫んだと思ったら、剣の周りに煌く炎が発ちこめた。そのままそれを俺に向け、
「残念だが消えてもらう!」
「へ?」
自分でも間抜けな声が出た。何が何なのか分からなかった。今とてもやばい状況で、剣を向けているこいつに殺されてしまう事だけは分かったが、体は全く動かない。まるで、本能が今の状況を諦めているようなかんじだ。
「た、たすけ・・・」
助けて!そう叫ぼうとしたはずなのに言葉も出てこなかった。ただ助けてほしい。死にたくない。そんな感情しか出てこない。剣がこちらに振りかざせれる。
「させない!」
また閃光が走った。今度は目も開けていられないほどにまぶしい。
「ちっ!」
舌打ちが聞こえたと思ったら目の前に炎が立ち込めた。「・・・死ぬんだ。」どこか冷静な自分が目を閉じた。
「諦めないで!」
そう聞こえ、目を開けた。目の前には女の子がいた。しかも炎がそこで止められている。
「あなたのほうはいい加減諦めたら!?」
そう言って、少女は持っていた杖を押し込みながら
「ライジングモードLv1!」
杖から電撃のような物が走り始め
「エレクトン!」
叫んだと同時に、杖の周りにあった電気が相手に流れていった。炎は壁にならない様で、剣を伝い、敵に流れ込んでいく。
「くそっ!」
敵は慌てた様に剣を捨て飛びのいた。すると、いきなり道が現われそっちの方に走っていく。
「撤退・・・、したようね。」
そう少女はつぶやいた。その言葉を聞き、自分は助かった事に気がついた。
「た、助かった?」
つぶやいてみると、急に体が震えだした。
「・・・あ、あ、あぁ」
バサッ
「・・・大丈夫。大丈夫だから。」
そう言って、少女に抱きしめられた。やさしく、だけど力強く。
「助かった?」
さっき言ったばかりなのにまた言ってしまった。
「えぇ。もう大丈夫。」
「・・・助かった。助かったんだ。」
少女の言葉が何よりもうれしかった。そのまま意識が遠のいていった。