旅たち
プロローグ
世界の終焉
「博士ついにやりましたよ!私たちの勝利です!」
「ああ、ついに創りあげてしまったようだ。これで世界のバランスは崩れることだろう。ともちゃん、新作ソフトの配布の準備を急ぎなさい。」
「了解です博士!」
第一章
始まりは唐突に
「健太、次の授業に早く行こうよ。」
「ああ、今行くからちょっとまってて」
そう言って俺、富山健太は次の授業の準備始める。隣にいる俺を誘ってきた子は青山智、小さい頃からずっと一緒にいるいわいる幼馴染。ショートに切ってある髪を左右で結んでいる元気なうるさいやつだ。
「・・・そういえば次の授業って社会じゃないの?」
智はあきれながら、
「社会だよ。前の授業のとき、次は「なにわ金融堂」を見るから視聴覚室に集まるように言ってたじゃん。」
そう言えばそんなこと言ってた気がする。
「ならのんびりしてないで早く教室移動しようか。」
「さっきから言ってるじゃん!!」
隣でぶつぶつと文句をいってるが気にしない。
「そういえば話変わるけど、あの噂聞いた?」
「噂?」
「うん。パソコンに助けを求めるメールがきて、それに答えてしまうと神隠しにあってしまうっていうの」
そんな噂は全然聴いたことが無い。そもそも噂話に興味はないし、聞いたとしても聞き流してそうだが。
「いや、聞いてないよ。どうせ暇になったやつらが流してるでたらめじゃないのか?」
「かもね~。それにしても相変わらず健太は反応うすいなぁ。若さが足りないよ。」
「・・・うるさい。大体、そんな事になってたらニュースに取り上げられてるだろ。」
智はつまらなそうな顔をしながら、
「そうなんだけどさ。ちょっとは気にしてよね。例えば、私がいなくなった場合を想像して慌てるとか!」
「お前ならどこでだって生きていけるさ。がんばれ。」
「間髪入れずに見捨てられた!?」
「何一人で騒いでるんだ?教室に着いたぞ?」
「・・・私そろそろ泣いてもいい気がする。」
また一人でぶつぶつ言っているが気にしない。教室の開いている席を探して座った頃にちょうどチャイムがなった。
「みんな静かにするように。授業を始める。今日は、前回言ったように社会勉強になるビデオを見る。自分が被害者になったつもりでしっかり見るように。」
そう言いながらビデオの再生ボタンが押され、上映会が始まった。中身はひょんな事から、町金に勤める事になった主人公と、その客の悲惨な物語みたいだ。しかしこのカードローンに地獄に落ちていく泥沼太郎さんはどうかと思う。最初は主人公たちにだまされたとはいえ、カードを大量に作ればどうなるかぐらいわかりそうなもんだが・・・
それにしてもだんだん眠くなったきた。ちらッと隣を見てみればかなり熱中しているようだし、少しばかり寝ても大丈夫だろうか?そんなことを考えているうちにもう限界が・・・。こんなに眠いのは、はじ・・・め…て・・・。
「う、う~ん。いつの間に寝てたんだ、ろ、う・・・、うん?ここは何処だ?」
起きてみて、初めに目に付いたのは変な看板。というかそれしかない。周りは何も無い世界が永遠と続いているように見える。
「え、え~と。夢かな。あはは、まだねてるのか。こういう時はちょっとほほをつまんでみれば、・・・痛いよ。」
とりあえず今できることは状況確認だ。確か・・・、そう。視聴覚室でビデオを見ていたはず。で、眠くなってきて寝てしまい、起きたらここにいた。・・・うん。完璧だ。全く分からない。
はぁ・・・。何か無いのだろうか。看板ぐらい?そういえば何て書いてあるのだろう?数字、しかも0と1ばかり書いてあって何と書いてあるのか全く読めない。
「・・・とりあえず寝るか。」
それが良いだろう。よく考えたら夢の可能性は捨てきれない。と言うかそっちの方が高い。適当だったにしては良い線いってるんじゃないか!?よし寝よう!今すぐ寝よう!なんか考えすぎてたのが馬鹿らしくなってくるぐらいテンション上がってきた。もう戻れる気しかしない。
「ベット・・・は無いよな。でも夢なら何処でも大丈夫だろう。ここにそのまま寝るか。」
寂しい性で独り言ばかり出てしまうが気にしない。大の字になった。(起きたら先生に怒られるかな?あの先生あのドラマ妙に好きだし。)そんなどうでも良いことを考えながら不意に訪れた眠気に身を任した。