第6章 – Dive, Dive, Dive!
全速力で逃走する私に対し、クラーケンは私の速度に追従している。
私はクラーケンの追跡能力の限界を試すため、海底深くへさらに潜ることを決めた。
クラーケンは魂の竜巻の尾部から離脱し、私を追跡する。奇妙なことだ。
魂の竜巻はクラーケンを支援するはずだった。
「コンピューター、クラーケンはどうして魂の竜巻から離脱できた?」
「マスター、クラーケンはまだ微細な霊糸で繋がっています。糸は限界に近い状態です」
なるほど。
海底へ退却する計画は賢明だったようだ。
「マスター、私の分析に誤りがあったようです」
「どこが間違っていた?」
「私の誤りは、それらの糸がクラーケンを支えていると認識した点です。実際には、魂の竜巻内部の霊体を収集する霊体吸引装置でした、マスター。この誤りについて深くお詫び申し上げるとともに、直ちに完全診断を開始いたしました。」
「コンピューター、診断を中止し、別の霊体収容ユニットを私の位置へ送れ。クラーケンの抽出作業に対抗し、霊体の抽出を試みる」
「命令確認、主君。」
命令を終えクラーケンから距離を取ると、それは魂の竜巻から離脱し、私への追跡を強化した。
攻撃の準備を整えるため身を隠せる場所を探しつつ、私は降下を続けた。
クラーケンは速度を上げながら私を追跡する。
クラーケンの速度が増すにつれ、私の時間は限られていく。岩の塊を発見し、そこへ向けて進路を取る。
クラーケンは距離を縮め続ける。
速度を落とそうと、水中衝撃ミサイルを数発発射する。
命中しなくとも回避されなくとも、ミサイルは岩礁群に潜り隠れるまでの時間稼ぎになるはずだ。
驚いたことに、クラーケンは回避せずミサイルを直撃した。
海底に到達し岩礁群へ向かう途中、振り返ってクラーケンの損傷を確認する。
気絶しているように見える。準備が整い次第、攻撃を仕掛ける絶好の機会だ。
岩礁の陰に身を潜めると、修理支援車両を改造外骨格スーツへ再構成し、海底に両足で着地した。
外骨格の主武器を準備する。
フェンリルとの戦いの結果と同様になると仮定すれば、物質や幽霊体を集めるための収集装置が必要だ。
「コンピューター、収集装置の設計図を送った。
クラーケンの近くにならないよう注意して、我々の位置付近の海底へ送れ。」
「計画を受領、指令を確認しました、マスター。」
さあ、攻勢に出よう。岩の陰から進み出た途端、クラーケンが至近距離で待ち構えていた。
反射的に主砲を構え発砲を試みるが、岩場へ引きずり戻され、岩に叩きつけられる。
クラーケンに気を取られた隙に、触手で不意を突かれ岩壁に押し付けられた。
その拘束から抜け出そうと押すが、圧迫は強まるばかり。
コンピュータが生命維持データを伝達する。
「エクソスーツの完全性が急速に50%に接近し、主装甲の完全性は90%まで低下しました、マスター。エクソスーツの完全性が損なわれ、浸水が始まっています」
「コンピューター、侵入水を押し返すため背圧を生成する必要がある。排出完了後、電磁バリアを発動する」
「命令確認、マスター」
背圧が生成され、クラーケンの拘束が安定する。
「師匠、全ての水分を排出しました」
「了解。電磁バリア起動」
磁バリアは海洋移動用エクソスーツの改造機能の一つだ。
電磁バリアを起動すると、エクソスーツの外殻に電気が凝縮する。
今のところ効果はなさそうだ。強度を上げると、ついにクラーケンが掴みかかっていた触手を緩め、地面に滑り落ちて海底に横たわった。
素早く体勢を翻し、メインウェポンを構えて気絶状態のクラーケンへ一撃を放つ。
フェンリルとの戦いと同様に、大量の物質が本体から排出される。
浮力を得たそれらは海面へ浮上していく。
クラーケンは痛みに身悶え、周囲の水中に黒い雲が現れる。




