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ポンニチ怪談

ポンニチ怪談 その87 シン・気象災害対策

作者: 天城冴

20XX年。毎年酷くなる気象災害。豪雨、酷暑、極寒に苦しむニホン国での新たな災害対策とは…

20XX年、ニホン国。年々ひどくなる夏の暑さ、そして冬の寒さに加え、各地では地震が頻発。また、台風は100年前と比べ倍以上の発生数、そして数倍、いや十数倍の被害をもたらしていた。

「ひいいい、ま、また台風がくる」

「落ち着いてください、オオイズミ・チンジロウ元議員」

「落ち着いていられるか、今年は何でこんなに多いんだ」

「まあ、年々増えてますからね。去年までは二週おきぐらいでしたが、今年は毎週。各地の平年の雨量なんて毎年多くなるんで、もう計算しても意味がないぐらいです。洪水が頻発して、エドガワン区は完全に消滅しましたからね」

「じ、人口もだいぶ減ってしまったんだから、こんな」

「貴方のいっていた半分の五千万人以下ですけどね。今のニホンではその数ですら多すぎなんですよ。さっきも言ったように住めるような土地がほとんどなくなっただけじゃない。収穫できる作物が減ったんですよ。酷暑に豪雨に極寒にとこのサイクルで、マトモに育つ商品作物なんてほとんどない。リンゴ、ナシ、ミカンといった果物は秋の実りの前に風雨でおちるし、稲穂は倒れて収穫できない。コメの備蓄なんてとうの昔に切れましたし」

「だから、そばとかそういうのばっかりだし。…昔の会食が…」

「そうですねえ、アナタ方政府与党ジコウ党は国民の金で贅沢三昧。経費と称して私物を購入、お子さんや奥さんのもね、だからあんなことになるのも当然ですよねえ」

「な、なんてことを言うんだ!き、君は妻と息子が先日どういう…」

「ええ、存じております。ここ数年あちこちに逃げていたんですよねえ、みつかったら石を投げられる程度じゃ済みませんから、ジコウ党やらマスコミ、政財界の方々は。アベノ元総理の奥さんやらあそこのお手伝いさんまで暴行されて、しまいには食べられたって話までありますから。逃げ回った上に見つかったとき、この先の運命を悲観して、廃墟になったタワマンから飛び降りられたんですよね。昔なら週刊誌やSNSで騒がれたんでしょうけど、今となってはよくあることです。ジコウ党やらマスコミ、財界関連の方々はこうなった責任が十二分にありますから」

「だからって、こ、こんな、無意味な」

「はあ?貴方方がやっていたことこそ、無意味でしたよ。役立たずの兵器バカ買い。使えない原発やらイベントに金をつぎ込んで利権で私腹を肥やす。あげく裏金ため込んでだんまり。そんなことばかりして、マトモに災害対策しなかったせいですよ」

「そ、そうだとしても人柱なんて馬鹿げてる、しかもジコウ党やらその関係者ばかりなんて!」

「だって、責任があるじゃないですか、政府を動かしていたくせにこの国に守ってなどいなかった。短いキャッチフレーズと雰囲気でニホンスゴイ、ジコウ党スゴイのイメージだけで、意義のあることはロクにやらなかったし。まあ、騙される国民も悪いんですけどね。それにしても本当にアレな国民ですね、こうなったらアナタ方を捧げて神の怒りでも鎮めるかというのに簡単にのってくれましたから。すでにもう一つの娯楽なんですよ、この気象災害対策は。アナタ方が叫びながら大荒れの海に沈む。暴風雨のなか崩れた鉄塔に括り付けられて飛ばされる。それを見て今の苦しみをしばし忘れ、何とか生き抜こうとするんだそうですよ」

「なんて悪趣味なんだ!じ、人権は!」

「は?それを気にするようなマトモな人々は、もうこの国には残っちゃいませんよ。アナタ方が卑劣破廉恥な手を使って野党やらリベラルやら弱者を救う活動家などを追い出し、すみにくくしたんじゃないですか。せっかくニホンに来てくれて尽くしてくれた外国人たちもネトキョクウどものデマをもとに虐殺しようとしたじゃないですか。皆さん、殺されるか、逃げるかですよ。今、いるのはアナタ方の子飼いの連中かロクに考えもしなった国民ぐらいですよ。マトモにもの考えるような人たちは現政府の影響力ないとこにコミュニティぐらい作ってるかもしれませんけどね、自給自足能力とか知恵とかありそうだし」

「そ、そんな、国際法は、アメリカは…」

「もう、崩壊寸前ですよ、アメリカなんて。今や分裂状態。ああ、ドランプ元大統領たちはとうにフロリダあたりで生贄にされたようですがね。ああいうとこでもそういう儀式は受けるらしいですよ、いやニホンよりひどいか。あそこはワニが繁殖しまくったので、生きながら餌になったとか。叫びながら彼らが食べられる様をみて元ナンタラアノンの連中が歓声をあげたとか。息子さんとか野生動物を殺しまくったんだから自業自得とかいわれたらしいですよ、彼の元支持者たちが真っ先に攻撃したというんだから、あの連中はホント攻撃的で残忍ですねえ」

「お、お前らだって、か、官僚だったくせに」

「ええ、アナタ方のような愚か者をなんとか為政者にしたてた優秀な官僚ですよ。今回も操りやすいネトキョクウの連中の怒りの矛先を簡単にアナタ方に向けさせることができました。金食い虫の連中を減らし人口削減の上、民の怒りも鎮め一石二鳥。新国際連合の中・ロやら新欧州の連中もよろこびますよ。ああ、イズラエル系の支援は無駄ですよ、あそこも混乱でダメになり、新勢力が台頭です、いや気象も変わり世界も代わり、我々官僚もやることが変化しました、人を縛って海に放り込むなんてねえ」

「た、頼む、助けて…」

「はいはい、そろそろ時間ですからね。脱走の恐れがあるか…、縛っているが安心はできないからなあ」

と、男は言いながらオオイズミの顔に何かを吹きかけた。コンクリートの瓦礫のそばにオオイズミが倒れた。男はがっくりとしたオオイズミの体を抱きかかえ、壊れかけたビルの階段を昇って行った。


まあ、栄えた文明でも貴人を生贄~とかありましたねえ。どこまで効果あるかは知りませんが、勢力を伸ばした邪魔な連中排除とか贅沢三昧の能無しを排除って裏の意味とかあったんでしょうかねえ(注:そのような説は現在、〇ーのような雑誌にすらありません)

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