第7話 遺書
「宗仁殿。お体の具合はいかがでしょうか。御様子を拝見できず、とても心配しております。
私の事で、さらに御心労をかけているのやも知れぬと思うと、居ても立ってもいられないのですが、どうやら私はここまでのようです。
この数年の間、本当にたくさんの幸せを頂戴し、どのような言葉を並べても感謝の意を伝えきれません。
宗仁殿は私が妖怪であるにも関わらず、初めてお会いした時から温かく接して下さいました。
それだけでも充分に驚いたものでしたが、さらには人間の心の温かさやふれあいというものを教えてくださり、私は人の愛や絆という言葉を知りました。
本当に幸せ者で御座いました。そして、私は初めてお会いした時からずっと、宗仁殿をお慕い申し上げておりました。今でも恋慕せぬ日は御座いません。
しかし、この想いは初めから成就せぬ定めだと分かっておりました。それは私が人間ではないからです。
妖怪であるがゆえに、いずれ切れると分かっていた辛い縁でもありましたが、これが運命というものでしょう。私はこの運命を受け入れております。そして、今間もなく訪れる別れも、心静かに受け入れております。
私の残りの命は宗仁殿に捧げます。
私の命を使えば、きっとこの先数年は健康に過ごせる事でしょう。
どうか残りの日々笑って過ごせて頂ける事を心より願っております。」
完結
稚拙な文章でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
世の中にいる、色んな個性や見た目の方達が、それだけの理由でいじめや差別を受ける事のない世界を望んで書きました。
まだ小説に不慣れですので、読みにくい流れだったかと思いますが、読んで頂き感謝致しております。