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第8話 抜けるような青空の下
土候から下賜された白い羽織をなびかせて、フランチークは堂々と船へと向かっていく──
その日、抜けるような青空の下、大島北岸の港には数えきれないほどの化外人が押し寄せた。駐屯する外征軍は彼らを押し止めようとしたが、やがて無理を悟り、彼らが望むようにさせるほかなかった。
彼らは口々に、フランチークの戦功と、無欲無私の精神を称えた。
人びとが見守る中、フランチーク・レンロスは、ひとりの小姓とともに軍船へとのりこみ、大島を離れた。
このとき以来、大島の化外人たちの間で、ひとつの伝説がまことしやかにささやかれるようになる。──われわれに自由をもたらしたフランチーク・レンロスという大陸人の男はその役目を果たし大島から去っていったが、もしもまたわれわれが何者かに支配を受けるような危機があったならば、彼はまた大島に舞い戻り、ともに戦ってくれるだろう、と。