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第四十九話  成人の儀と新たな計画




学園の事件が解決して数週間後、サルガスに召喚された俺達は王宮へ出向いた。

今回は依頼ではなく招待だ。


王宮につくなり見知った顔ばかりだった。

アルデバラン様にアケルナル様。父上に母上にスピカの両親まで居た。

当然プロキオン達も居た。


「コ、コーリン村のニハルです。先日は助けていただいたと聞いています。有難う御座いました」


いい子だった。すっかり元気になってる姿を見て安心した。

少しニハルと話をした後、ラーンさん達やコペルニクスさんも居た。弟がお世話になったのでお礼を言うと、今回助けられた事をとても感謝された。


懐かしい面々や初めての人と談笑していると式典が始まった。

サルガス成人の儀である。


耳をつんざく様なファンファーレに迎えられサルガスが入場してきた。

その姿はいつも見ているサルガスとは違い、やはり一国の王太子殿下そのものだった。

陛下の前にたどり着き口上を述べられ、リッターシュラークを行い宝剣の授与が行われた。

ベネトナシュ王国での式典や叙爵における忠誠の儀は剣での首打ち式は行わない。

生殺与奪は個人の最終的な権利を侵害する。それは時として死刑と同義である。っという理由で今上陛下であるタラゼド王の代から廃止された。

ただ発端は陛下が


「騎士物語を読んだ子供が真似したら危ないではないか」


という何気ない一言がきっかけだという。

歴史や文化は、そんな冗談のような何気ない一言から始まる事も有るのかも知れない。


厳かに執り行われた式典だったがその後俺達はサルガスに呼ばれ別室へ移動した。


「シリウス、忙しいだろうがまた1つ頼まれてはくれまいか」


「今度はどうしたの?」


「この度、予の専属騎士団を1つ設立する事になった。既存の騎士ではなく若い者で結成するつもりだ」


「そうなんだ、っでどんな騎士団なの」


「前途有望な若者たちを集めた少数精鋭の部隊だ。まだ人選などは出来ておらぬが、騎士と魔道士、その他有能な者であれば何でも有りの混成部隊でどんな状況でも対応出来る特殊な部隊だ」


「へぇ、大規模な冒険者パーティーや傭兵団みたいだね」


「傭兵団、組織の構図としてはまさにその言葉がピッタリだな。格式や既存の価値観を捨て新しい時代に対応出来る世代として作り上げるつもりだ」


「少数精鋭の親衛隊かぁ、規模は?俺達は何をすれば良いの?」


「先ずは50名程度から始めようと思う。そこでシリウス達には人選と当面の指揮、教育をしてもらいたい。貴族出身者だけでなく平民からも広く登用するつもりだ。性質上年齢は10代に限定する」


サルガスの要望を受けた俺達は、次に声が掛かるまでギルドの仕事をしつつ自己鍛錬に精を出す事にした。




また新しい武器や防具を用意する事にした。


「最近、暗い森や王宮の仕事でかなり実入りが良いから生活には全く苦労しないな」


「無駄遣いは出来ないけど、新しい商売でも始めようと思ったら出来るくらいには貯まったわね」


「毎日美味しいものが食べれるのです!」


「お前そればっかりな」



サルガスの成人式典と言う事もあり、街では連日屋台で賑わっていた。

珍しい食べ物や武器や防具を始め、日用品から魔道具まで所狭しと出店していた。


「おいシリウス、これミスリル鉱石じゃないのか?」


「え、本当に!?」


「お客さん〜お目が高いですね〜!冒険者さんですか?このミスリル鉱石はミザール王国から仕入れた一級品ですよ〜!今ならお安くしときます〜」


「本当にミスリル鉱石なんだろうな?信用出来ないな」


「でも本当にミスリル鉱石なら欲しいかも。前回聖銀のナイフでも決定打に欠けていたから…」


「おい店主、このミスリル鉱石を全部欲しい。ただ安くない買い物だ。証明したい」


「よう御座いますよ〜しかしどうやって?」


「金は渡す。その代わり偽物だったら返品しろ。それと本物だと証明できるまで俺が店をを見張る。これでどうだ」


「良いでしょう。では全部で大金貨3枚です」


「た、高っけえええ!加工前の鉱石だぞ!?」


「嫌なら結構で御座います〜」


「わ、分かった…払います」


「毎度あり!じゃあ早い所、証明してきて下さい〜」




     〜ダリムの武器防具屋〜




「いらっしゃい。おーシリウスかどうした」


「最近実入りが良くて装備を一新しようかなって。あれから結構身体が大きくなったりして」


「そうじゃな、ちと窮屈そうじゃな。できる範囲で相談に乗ろう」


俺は先日の魔族騒動や諸々の事情を話しミスリル鉱石を手に入れたことをダリムに話した。もしそのミスリル鉱石が本物ならそれで武器を作って欲しいと伝えた。


「ダリムだったら信用出来るし、本物かどうかもわかるでしょ?」


「生意気に嬉しい事言う様になったじゃねえか……へっ…見せてみな!」


俺は収納魔法でミスリル鉱石をダリムに見せた。

鑑定を始めたダリムの顔が楽しそうなのが少し嬉しかった。


「間違いねえ、ミスリルだ」


「じゃあ作ってもらえるかな?!」


「良いだろう俺に任せな!」


そうして本物だと証明出来たのでコル達を呼びに行った。



「お前さん…そろそろ二刀流でも良い頃じゃろう。この薙刀は馬に乗ってる時にでも使えばいい」


「二刀流かぁ、どんなのが良いかな…」


「お前さんの買ったミスリルの量なら武器を2、3本は余裕で作れるぞい」


そうして更に身体が成長しても使い続けられる武器をダリムがデザインしてくれた。


「この長柄双刀?って言うのがカッコいい!二刀流だけど柄を繋げて槍みたいになるんだね!」


「そうだな、刃渡りの長い薙刀をくっつけた様な形になる。お前さんなら使い熟せるじゃろうな」


「じゃあそれをお願いします!」


「まだミスリルは余ってるがどうする。小さいもんなら2、3本。大きければもう一つくらいは行けるぞ」


「皆ミスリルのお金は気にしなくて良いよ!」


値段を知っているだけに皆遠慮がちになってしまった。


「じゃあフェリスの武器どうかな?絶対的に前衛だしうちのアタッカーだからね。それに今までフェリスは装備を揃えてないじゃないか」


「それが良いと思うわ」


「賛成だ!」


「文句無え」


次はフェリスの武器をダリムにデザインしてもらった。


「どれにするか迷うのです…」


「こっちはトンファーという打撃武器で格闘で組技にも使える。これは鉤爪という猫の様に引っ掻いたり突き刺したり出来る。っでこれは純粋なナックルダスターじゃ。グローブ式にすればオープンフィンガーでも使えるな」


「このナックルダスターって言うのが使い慣れてて良いのです!」


「ふむ、お嬢ちゃんは素直な感性を持っておるようじゃな。それで良いと思うぞ。任せておきな、っでだ、あと短剣なら作れるがノームの、お主使うじゃろ?作ってやろう」


「え…良いのか?」「俺もそれが良いと思う」


「ただ量が量だけにデザインは勘弁してくれ。直刃と曲刃位しか要望は受けれん」


「じゃあコレと同じ曲刃が慣れてるから頼む」


「任せておけ。あと防具買うんじゃったな、自由に試着して選んでくれ。ただ右側の防具は買うなよ。バカの為に作った装飾だけのガラクタだ」


防具は皆今後の活動を考えて選んでいった。

コルはタンク一本で行くと決め、フルプレートアーマーと盾をタワーシールドにした。武器は今の片手剣グラディエーターが使い易いという事でそのままだ。


ダビーは動きを阻害しないように軽くて丈夫な黒竜鱗の胸当てと左手に同じく黒竜鱗の籠手を新調した。


フェリスは良くわからないと言うのでダビーの勧めで以前狩ったレッドマンティスの外骨格から作った胸当てと籠手を新調した。足もグラディエーターサンダルを新調。


俺は上半身をホーバークメインで肩当ては邪魔にならない様、薄いプレートを段重ねにして可動域が狭まらないようにデザインしてもらった。籠手と脛当てブーツ、兜と腰巻きも新調した。


カラは次のマイラの店で揃えるという。


「ダリム、いつ頃できるかな?」


「武器は一本作るのに5日前後、防具はその後じゃから…全部で一ヶ月ちょっとって処じゃな」


そうして俺達は新しい装備をダリムに任し、マイラの店へ向った。





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