第四十六話 卒業と失踪3
「なあ、これ本当に着なきゃいけないのか?」
「この服は可愛いのです!」
「うふふ、可愛いじゃない。似合ってるわよ三人共」
俺達は学園に潜入する事になった。
俺とダビーとフェリスは学生として。コルとカラは臨時教師という設定で調査に入る。
武器や防具は携帯出来ないので俺とカラの収納魔法で隠した。俺はダビーとフェリス、コルはカラと行動することにした。
「はい、みなさん静かに〜。今日から少しの間皆さんと一緒に勉強する事になったシリウス君とダビー君とフェリスさんです。皆さん仲良くするように!では挨拶を」
「あ、えっと…シリウスです…宜しく」
「ダビーだ」
「フェリスなのです。宜しくなのです!」
なんという事だ…よりによってプロキオンと同じクラスなんて…
ダビーは兎も角、俺とフェリスはどう見ても歳がおかしい気がする…
そしてアソコの席の3人……ニヤニヤし過ぎだろう!!
頼むー見ないでくれー!
(ねえねえ、あの子カッコよくない?ワイルドだし)
(うんうん、隣の小さい子も可愛いー)
(猫人族の子可愛いな〜)
もう…もうやめてくれー
「じゃあ三人共席は空いてる所に、教科書は隣になった子が見せてあげるように!」
「シリウス君!隣空いてるよー!」
「ダビー君フェリスちゃんこっちおいでよー」
帰りたい…
「なによシリウス、デレデレしちゃって情けない!」
「シリウス…随分逞しくなったね」
「ウンウン、兄上は最近武者修行に出ていたらしいよ」
〜次の時限〜
「では今日の魔法実習は二人一組で魔法を見せ合いながら練度を高めて下さい。出来る人は試合形式で戦ってみて下さい。では最初の組…」
「兄上久しぶり。星霊の森以来かな?」
「だな。もうあれから1年以上か?魔法色々覚えたか?強くなった?」
「それなりにね、でもスピカやメイサも最近は凄いよ」
そんな穏やかな会話をお互い話し合た。ダビーの事も含めてフェリスを3人に紹介した。
「次、シリウス君とダビー君!」
「シリウス頑張るのです!」
(ダビー、適当にやって終わらそう…)
(だな…)
「二人共杖は使わなくて良いですか?」
「あ、結構です」「要らねえ」
「分かりました。では始め!」
(フィジカルブースト…ホークアイ)
(どこが適当だあの馬鹿……殺す気か?)
「チッ…九字護身魔法…闘!…魔纏!…土遁!」
「うわああダビー君が消えた!」
「ど、何処?何したの?」
「なんの魔法?」
凄い…兄上達が何してるか分からないけど…
ダビーさんやっぱ凄い人なんだ…
次の瞬間シリウスが地面に拳を叩き込んだ。
地面が刳られるように凹んだ。
間一髪で避けるダビーだったがすぐ攻撃に転じた。
武器を持たず素手だけでぶつかり合う2人に生徒は勿論、ウェンディ先生も理解が追いついてないようだった。これは魔法なのか…?そしてその速度である。
だがいつもの3名とフェリスだけは2人の余興を存分に楽しんでいた。
「おいシリウス……お前適当に軽くやるんじゃねえのかよ!ガードしても痛ぇんだよ!」
「ごめん、つい……」
速すぎて……縦横無尽に動き回る2人の動きについていけず生徒達が引いていく…
「そ、そこまで!な、なんですかその魔法は!」
「無属性魔法です」「無属性魔法です」
「そ、そうですか……」
(おい、何で魔法科来たんだあの二人…)
(無属性魔法って言ったぞ?本当か?)
「それでこそアタシの家来よ!シリウス!」
「メ、メイサ!」
「シリウスもダビーも面白かったのです!」
(メイサ様の家来だったのかあの二人…)
(どうりで出鱈目なわけね…)
「シリウス、凄かったね!」
「当然なのです!」
「おいこの大バカ野郎!適当にやるってお前が言い出したんだろうが!」
「そ、そうなんだけど、ダビーと戦ったこと無いなと思って……」
「ったくこの…ただでさえダルいのに…」
「相変わらずですね兄上は」
「次の組!フェリスさんとメイサさん!」
あ、これ大丈夫か…?
「フェリスは攻撃しないのでいくらでも魔法を撃つのです!」
「じゃあ遠慮なく……ライトボール!」
速い!メイサのライトボールが速い!
が…フェリスが恐ろしく速い!
メイサが何度も何度も撃つがフェリスは余裕で躱していく。
「なあダビー、ダビーとフェリスどっちが速い?」
「馬鹿にすんなよ。純粋なスピードは多分俺の方が速い。けどフェリスの方が身のこなしが速い…」
「なるほど…」
「何で当たらないのよ!頭きたー!ライトアロー!」
「なんだあの出鱈目な数のライトアローは!」
「メ、メイサ落ち着いて!」
「大丈夫なのです!撃つのです!」
「馬鹿に…しないでよねー!」
「ニャ~ン」
「避けたー!」
「よ、避けきったー!」
「そ、そこまで!」
「フェリスさん、今の魔法は?っというより魔法は使いました?」
「無属性魔法なのです!」
「そ、そう…」
何も使ってないよね……
〜その日の昼食〜
俺達はニハルの消えた時の状況を再確認のために聞いた。
ダビーが言うには、隠蔽魔法で間違いないだろうと言う事。
ダビーが使う遁術というものとは違い、恐らくは魔法陣等の術式結界だろうと言う事。
もしかするとその出入り口は一箇所に留まっていない可能性があるという事だった。
「毎度毎度動き回ってるとなると…面倒だな」
「どうにかして突き止められないかな…」
そこへサルガスがやってきた。
「何か掴めそうか?」
サルガスにも説明し今夜から動き出す事を伝えた。
「そうか…それとシリウス、課業が終わったら剣術クラブに来てくれ」
「わかった」
(おいあの二人殿下にタメ口で話してたぞ…)
(何者なんだ?)
「おかわりなのです!ここのご飯は美味しいのです!」
「………」
〜放課後〜
俺はサルガスの言う通り剣術クラブの訓練場に顔出した。
「来たかシリウス、模擬戦をしてくれ」
「わかった。そこの木剣でいいか?」
「いや真剣で頼む」
「……分かった」
俺は薙刀を出した。
(おい今アイツどこからあの槍出したんだ…)
(何者なんだ…殿下と真剣でやるのか?)
(あ、しまった……収納魔法…)
「お前……フッ、なるほどな」
「サルガスは両手剣なんだな」
「ああ、俺も少しは強くなったのだぞ」
「そうか、じゃあいつでも良いぜ!受けてやる!」
サルガスから攻め込んだ。
久々とはいえ何度も打ち合った相手だ。
サルガスは全力で打ち込む。
またシリウスもそれにキッチリ答える。
サルガスの腕前は見違える程に上達していた。
シリウスもそれが嬉しかった。騎士科に進み剣術クラブに所属し、毎日絶え間なく腕を磨いてきたのだろう。
シリウスも力は抜いてはいるが、サルガスの嫌がりそうなところへと打ち込む。
そうする事でお互いの剣技が活きることを分かっているのだ。
感慨に耽っていると、サルガスの剣が鋭さを増してシリウスの懐に迫ってきた。
少し危なっかしく避けたシリウスにサルガスが更に追撃を仕掛けた。速い!
少し間を取ったシリウスは気付いた。
「サルガスも人が悪いな。そっか…そうだよな」
「当然だ!予も宮廷作法ばかり学んでいる訳では無いのだぞ」
「フィジカルブースト……覚えたんだな」
「そういうことだ。来いシリウス!」
楽しい。心地良い。強敵と対峙するような緊張感は無いが……お互いの確認作業のような。
会話するようにその後も延々と打ち合った。




