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第四十三話  眷属の力




ここは…何処だ。身体が動かない…

何も見えない……いや白いのか?白い部屋?


「我が主よ」


「主?誰だ…」


「貴方様の眷属。名も無き狼で御座います」


「俺の眷属?誰かと勘違いしているのか?ここは何処だ?俺は死んだのか?」


「貴方様はアングルボザ様に月の加護を受けこの世界に生まれ変わりました。そしてその力はまだ覚醒しておりません」


「アングルボザって誰だ。覚醒ってなんだ」


「今は時間が御座いません。我はアングルボザ様より見届けるようにと仰せつかったまで」


「っで俺はどうなるんだ?どうしたいんだ」


「貴方様の本当の力を引き出す為に我の力をお使い下さい」


「本当の力?月の加護って何だ。おい…」




………ん?ここは……洞窟?ダンジョンか?

ああそうかダンジョンで……


「シリウスが!シリウスが起きたのです!」


「…あぁ……フェリスか…?」


「良かったのです!ずっと寝てたのです!」


「大丈夫か?シリウス。何処か痛いところはあるか?」


「…ここは?」


「暗い森のダンジョンの外だ」


「どれ位寝てたんだ俺」


「丸2日よ。気が付いて良かったわ」


「もうヒヤヒヤしっぱなしだ…」


俺が倒れてからの経緯を軽く聞いた。

今居るここはアリオトで、暗い森のダンジョンと繋がっていたらしい。

パーティーは俺を担いで一旦外に出て野営しているという。

俺が目を覚まさないのでどうするか迷っている最中だったらしい。


「よう、やっと起きたか。まだどっか具合悪いか?」


「ダビー…もう大丈夫。身体に違和感は無いよ」


「そうか、もう動けるんだな?」


「ああ、ただ…皆に聞いて欲しいことがある」


俺は寝ている時に見た事を正直に話した。

信じてもらえるかは分からなかったが。

妙に生々しかったのを覚えている。

皆真剣に聞いてくれた。


「月の加護?聞いたこと無いわ」


「本当の力を引き出すって?」


「きっとシリウスは凄い力を持ってるのです」


「今は考えても仕方ないと思うけど……皆には正直に話しておきたくて…」


「そっか、分かった」


「足止めさせちゃってゴメンもう行けるよ!」


「さて帰るか…それともアリオトを進むか…」


「帰ろう。色々あり過ぎた」


「だな」


そして俺達はフォーマルハウトに帰還する事にした。帰りの道中は楽なものだった。

いや楽すぎた。成長したのだろうか?

遭遇する敵がなんというかトロいのだ。

ダンジョンに一ヶ月近く籠もって戦いに明け暮れて居たせいなのか敵に脅威やスピード感といったものが感じられない。

ブーストやメンタルスタビリティを使っている訳でもない。

勿論パーティー全体が強くなっている感はある。各々の動きが洗礼され一撃一撃に鋭さや重みも感じる。

しかしそれでは説明できない力を感じる。

少し試してみる事にした。

レッドマンティスが現れたのでブーストして鎌の手を外骨格ごと斬りつけてみた。

切れた!硬さは感じたが前足を砕き切った。

自分でも驚いたが皆も「嘘だろ!?」といった具合で驚いている。

その日の野営中その件を話し合った。


「もしかすると本当に狼の眷属てやつの力じゃないのか?」


「でもシリウスだけじゃなく私もいつもより力を後押しされているような感じよ」


「なあシリウス、今ならブーストとメンタルスタビリティを同時に使ってみたら案外出来るんじゃないか?」


コルの勧め通りやってみるとあっさり使えた。

それどころかコントロールも用意だった。


「出来たじゃないか!」


「信じられない…つい先日まで同時に発動する事も出来なかったのに」


「試しにその状態でホークアイもやってみろよ」


「でもホークアイはまだ数回しか練習したこと無いしどうやるのかも分からないよ」


「シリウスは凄いのです!やってみてほしいのです!」


何だか皆の玩具になってる様な感じはするが試しにやってみることにした。

練習すらどうやってやったら良いか手探りだったものをどうやって…

出来た…出来てしまった…


「おいおいマジかよ?お前どんどん化け物じみていくな」


「化け物…」


「ダビー、そんな言い方ないわ。シリウスには才能が有るのよ」


「そうなのです!シリウスは凄いのです!シリウスなら狼さんの獣転化も出来るのです!」


「それは流石に無理だろうな」


「あははは」


そうして色々不思議な体験をした俺だったが無事フォーマルハウトへ帰還しギルドへの報告も済ませた。

報酬はかなり良かった。討伐報酬にマッピング報酬。ダンジョンに名前まで付いた。

初踏破したパーティーリーダーのコルの名前から「コルカロリの洞窟」と命名された。


その後も俺達は1年以上フォーマルハウトを根城に鍛えた。

気付けば14歳になっていたが自覚はなかった。自分の年齢なんて気にもしていなかった。


ある日ギルドで王都からの要請が届いており、急ぎ王都へ戻れとあった。サルガスから急な依頼があるという。


俺達は王都へ向った。




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