第四十二話 ダンジョンと狼
フェリスがダンジョンの場所を知っていたのですぐに到着できた。
アリオトからフォーマルハウトに来る途中に横を通ったらしい。
ダンジョンは岩場の洞窟で中に入ると湿気が酷く不快だ。
お祖父様から貰った地図を見ながらダビーを先頭に進んだ。
暫く進むと巨大な茸の魔物が現れた。
動きが遅く硬くもないので用意に倒せたが、倒した後に胞子を撒き散らしてた事を知り全員毒気にやられてしまった。
一旦引き返してカラとコルに治してもらったがここからどうしたものか。
「ヤバいな、いきなり躓いたぞ」
「倒すと撒き散らすのか、攻撃する場所によって撒き散らすのか、それともそういう攻撃なのか…」
原因がハッキリしないので再度探索を続けることにした。
暫く進むとまた巨大茸が出てきたので頭は狙わず胴体部分を狙ってみた。すると胞子は発散しなかったので、その方法で倒すことにした。
「初めての敵ってのはやっぱ面倒だな」
「どんな能力を持ってるか分からないのです」
「地道に進むしか無いね」
その後も大蛇や巨大コウモリ等見たことのない敵との苦戦を強いられ気付けば1週間近くダンジョンで過ごしていた。
「まだマップの先っぽだな…これは骨が折れる」
「無理ならある程度でフォーマルハウトへ引き返すのも有りだろな」
「街でダンジョンのモンスター情報を集めるのも良いかも知れないわ」
いままでゴリ押しで来れてしまったので完全に舐めていた。
判断はリーダーのコルに委ねられた。
「一度戻ろう。仕切り直す」
俺達は街に戻りモンスター情報を集めることにした。
シリウスは辺境伯邸へ、ダビーは酒場へ、コルとカラとフェリスはギルドや行商人に聞き込みをした。結局情報を集めるだけで3日もかかってしまった。
そこから各モンスターとの戦い方や連携を確認し再度ダンジョンに挑むことにした。
再度ダンジョンに入って1週間がたった。
マップで進捗を確認すると2割強まで進んでいるようだ。
「結構良いんじゃないか?順調そのものだな」
「そうね、でもこの先の水辺はケルピーが出るんでしょう?」
「厄介だって話だぜ?情報じゃ物理は効きにくいし精神攻撃してくるらしい」
「今回は俺がタンクになると迷惑が掛かりそうだな…」
「それならフェリスとシリウスが気を引いてる間にカラが倒してしまうのです!メンタルスタビリティが有れば大丈夫なのです!」
「物理が効きにくいなら俺もブーストせずメンタルスタビリティだけで戦うよ」
「役に立てそうにないな。頼む!怪我したら俺が回復に回ろう」
その後ケルピーに遭遇したが作戦通り危なげ無く倒して進む事が出来た。
その後も若干苦戦する時もあったが渡されたマップの最深部まで来た。
「結局一ヶ月近くかかったな。しかし広いダンジョンだ」
「帰りの事を考えると一度戻ったのは正解だったわね」
「食えそうな魔物もいないしな」
「ご飯は食べたいのです!」
「だね!」
ここからはマッピングしながら進むことになりかなり慎重になった。
突然ダビーがなにかに気づいた。
「何か居る…獣っぽいけど一匹っぽいな」
「辺境伯が言ってたハイウルフか?」
「分からねえ…けどよく考えてみろ。こんな洞窟の奥に狼が居るか?どうやって狩りに出る?」
「ダンジョンの魔物を食うんじゃないのか?」
「きっとフェリスと同じで食いしん坊さんなのです!」
「行くか?コルに任せるぜ…」
「……戦闘準備だ。行くぞ!」
意を決して俺達は進んだ。
居た!しかしすぐに後悔をした。
デカいとは聞いていたがオーガグリズリーよりデカい…なんてこった。
本当にハイウルフなのか!?色も大きさも何もかもが違う。
しかしもう戦うしかないだろう。なにせ相手はコチラを見て低い声で唸り声をあげている。
先頭のシリウスがジリジリと前に出始めた。
するとその時シリウスの頭の中に声が聞こえてきた。
正確には声ではないが確かに話しかけられているのだ。
「頭の中で声がする…敵意は無いみたい」
「どういう事だ?精神攻撃か!?」
「いやメンタルスタビリティはかけている。なんだか…僕のケンゾクだと言っている…」
「どういう事なの?」
「俺を待ってた?近くに来てくれって…言われてる。本当に敵意は無いみたいだ」
「そんな事言われても、どうするんだよ」
暫く膠着状態が続いた。
「俺、行ってみるよ」
「何かあったらすぐに後ろへ飛べよ。全員揃ってダンジョンから生還するんだからな…」
「有り難うコル」
シリウスが近寄っていった。
「我ノ力ヲ…是非」
「君の力…?」
するとその狼が魔力の塊のような…まるで黒いオーロラの様に変化しシリウスの胸に飛び込んできた!
「うわああああ」
「シリウスー!」
遂にはシリウスの身体の中に入ってしまった様だ。
シリウスはその場に倒れ込み動かない。
すぐに駆け寄るパーティーだったが気を失っているのかシリウスは動かずグッタリしていた。
ダビーが周囲を警戒してくると言ってその場を離れた。
「おいシリウス!しっかりしろシリウス!」
「シリウス起きるのです!起きて下さいなのです!」
カラが咄嗟に回復魔法をかけようとしたが何処にも怪我が見当たらない。
ならばと浄化魔法をかけてみたが毒でも麻痺でもなさそうだ。
ダビーが戻ってくると周りに魔物は居ないがこの先がダンジョンの出口になっているらしい。
仕方ないのでそのまま進み一旦ダンジョンを出ることにした。




