第三十九話 猫人族
俺達はフォーマルハウト領へ向けて馬を走らせていた。
母上の実家である。
小さな時に何度か行った事はあるが殆ど記憶には無い。
辺境伯である為独自の騎士団を持っていて、世間からは「小覇王」と畏怖されている。
辺境伯とは爵位は伯爵であるがその重要性や任の重さや大変さに見合う様に侯爵に並ぶ地位を保証された爵位である。小さな国の国王並の権力を持っている為、国王の信頼が厚くなければ任命されることは無い。
「お前の祖父って辺境伯なのかよ……父親はベテルギウス様だし……出来れば最初に教えておいて欲しかったよ」
「でもまあ、はなっから分かってたら仲間にはなってねえな。恐れ多くて組めねえよ」
「仲間に出自は関係ないわよ。とはいえ、少し驚いているけれども」
「なんか言い出すタイミングも無くて」
「まあ今となってはそれも関係ないか。それより見えてきたな」
フォーマルハウト領は守りの要。都市の作りは要塞といった感じだ。
コルとカラは何度か来たことがあるらしい。
〜フォーマルハウト領ギルド〜
「王都ギルドからの紹介状ですね。今手続きしますので少々お待ちを」
フォーマルハウトは王都と違って色々な種族が多数混在していた。
そして場所が場所だけに大所帯のパーティーが沢山いて、中には傭兵団の様なパーティーもあった。
〜フォーマルハウト領・ギルド〜
「お待たせしました。手続きはこれで完了です」
これでここでの活動も認められ、王都で受けた依頼をここで処理できる様になった。
まず宿を取った。その後に飯でも食べに行く事になり今日はコルが奢るという。
無事宿を取り食堂へ向かっている途中、1人の獣人族に声をかけられた。
「ま、貧しき野良猫に、お、お慈悲なのです…」
突然こえを掛けられた事に驚いた、がダビーは捨て置けと突き放す。
しかしどうしても可哀想になってしまい携行食を上げてしまった。とても感謝されたが、ダビーにはお人好しと言われてしまった。俺達は足早に食堂へ向かったが、妙に懐かれてしまい食堂まで付いてきてしまう始末だった。
「ぉぃシリウス…さっきの猫人族付いてきてるぞ」
「追っ払えよぉ…」
「ま、まだお腹空いてるの?」
結局可哀想になり食堂で一緒に食べる事になった。
〜フォーマルハウト領・森の熊さん亭〜
相当お腹が空いていたのか次から次へと注文し平らげていく。
「良かったら俺のも食べる?」
「嬉しいのです!シリウスは神様なのです!」
「こ、ここの支払いコルの奢りだったよな?言ったよな?」
「……ああ」
「ごちそうさまね、コル」
「……ああ」
「い、いや、俺が出すよ!俺が連れて来ちゃったようなもんだし…」
しかし何故物乞いをしているのかコルが興味本位で聞いた。ここフォーマルハウトでは職に困ることは無く働き口はいくらでも有るのだが。
その猫人族は冒険者だと言う。
ならば尚更稼ぎ口は有るのだ。暗い森の魔獣討伐で生活は満ち足りる。
するとその猫人族は戦う事しか出来ず尚且大飯喰らいな為、前のパーティーから追い出されたらしい。しかも有る事ない事でっち上げられ扱いも酷かったので、はらいせにその時の飯を食い逃げした事で少しだけ追われていると言う事だった。その為ギルドにも出入り出来ず…なのでよそ者の冒険者らしき俺達に声をかけたのだと言う。
「ふぅ~食べたのです…申し遅れたのです!私は猫人族のフェリスなのです」
「これで終わりだぞ。しっかり働いて次は自分の金で飯を食えよ?」
「有り難うなのなのです。この御恩は忘れないのです」
「ん、ダビーどうかしたか?」
「いや…なんでもねぇ」
店を出た俺達は宿に向った。しかし猫人族はついてきた。あっちへ行けと言ったがついてくる。少し進んだ所でダビーがつけられていると警告した。数は5人。
俺達はダビーの指示ですぐに裏路地へ入った。
尾行してた奴らも入ってきた。
「なにか用か?コソコソしやがって」
「そいつをコッチへ渡せ」
「渡してもいいが理由を聞こう」
「そいつは俺達のもんだ」
「お前達の?奴隷は禁止されてる筈だが?」
「こいつ等なのです!」
どうやらこいつ等がさっきの話の奴ららしい。
結局戦闘は避けられずになし崩しで戦ったが恐ろしく弱かった。このまま憲兵につき渡す事にした。そして其の序にシリウスのお祖父様、そうドゥベ・フォーマルハウト辺境伯へ会いに行ってみることにした。
ここから民族解放戦線期に突入致します。
地形や他国のキャラなど複雑な部分が出てきますが是非楽しんでいただけたらと思いますので、是非宜しくお願い致します。




