第三十四話 課外活動
「ですから…1人で融合魔法を使えなくとも、複数で協力する事で、融合魔法を使う事が出来るのです」
(キーンコーンカーンコーン)
「今日の授業はここまで」
〜女子寮〜
「ねえねえメイサ、課外活動はもう決めた?」
「課外活動?あークラブ活動の事ね。まだよ」
「じゃあこの後、プロキオン達を誘って見に行かない?」
「あ、良いわねー!付き合ってあげるわ!」
「あ、居た居たープロキオン〜ニハル〜」
「プロキオンとニハルはもう課外活動は何にするか決めたの?」
「いやまだ全然決まって無くて。実は何が有るかも分かってなかったりして」
「しょ、職員室の前にクラブ活動の掲示板が有るから見てみるといいかも」
「じゃあ今から皆で見に行かない?」
〜・〜・〜
「うわぁ結構色々有るんだなぁ。迷うね」
「これなんか良さそうじゃない?乗馬クラブ」
「なになに…騎士と貴族の嗜み、馬上試合に向けて特訓中…」
「駄目よこんなの!却下きゃっかー!」
「こ、これなんかは凄そうだよ?錬金術クラブ」
「どれどれ…金を大量に作って貴方も大金持ち?賢者の石で永遠の命を……真理の扉?」
「駄目に決まってんでしょー!怪しさ満点じゃない!!体持って逝かれるわよー」
(体持っていかれるって何だ…)
「あ、コレ良さそうじゃないか?薬学クラブ」
「や、薬草から惚れ薬まで…い、意中の殿方が貴女に、ズッキュンドッキュン…?」
「何なのよー!この頭の悪そうなクラブはー!学園も何でこんなクラブ許してるのよー!ってかロクなの無いじゃない!」
「後は…剣術クラブ、騎士道クラブ、吹奏楽クラブ、算術クラブ、芸術クラブ、社交ダンスクラブ、声楽クラブ、応援団クラブ、貴族クラブ、古代遺跡クラブ、魔道具クラブ、女王様クラブ…」
「これだ!」
「魔道具クラブ」
「女王様クラブ」
「え…?」「え…?」
「メイサ今なんて?」
「女王様クラブよ!私の為のクラブじゃない!」
「えーっと、なになに…女王様に叩かれたり踏まれたり鞭で打たれる事で…人生の喜びを……?」
「メ、メイサこれがやりたいの?」
「……………」
「良く分からないけど…不潔な感じがするよ?」
〜談話室〜
「結局マトモそうなのは魔道具クラブ位だね〜」
そこへサルガスがやって来た。
「お兄様は何のクラブに入ってるの?」
「俺は剣術クラブだ。剣術と言っても騎士道クラブと違って武器は何でも有りだ」
「成る程サルガス殿下に似合いますね……あの魔道具クラブってどうなんでしょうか?」
「俺も良くは知らぬが、平民の為のクラブらしいぞ」
「平民の為の?」
「そうだ。魔道具の始まりは元々魔力の弱い者や魔力障碍者の為に、大昔の賢者によって開発されたのが発祥という。そこから旅などでも携行できるように小型化されたりして改良を重ね、便利な道具として普及したのだ。更に我が国の王立魔道具研究所も魔力の弱い者たちの為の公的機関として今の陛下が若い頃に設立したと言うわけだ」
「何だか陛下って、商業の自由化とか奴隷撤廃派だったり魔力弱者の為だったりやっぱり偉大な方なんですね」
「当然だプロキオン。一国の王なのだぞ」
「いや…分かっては居るんですが…」
(どうしても面白オジサンのイメージが…)
「しかし今上陛下だからこそなのだ」
「どういう事ですか?」
「陛下、つまり俺のお祖父様は王族にしては魔力が弱く、そして子供の頃から病弱だった故に剣術等も苦手だったそうだ。しかし第一王太子として行く行くは国を治めなければいけない責任が若い頃から有り、それはそれは苦労したそうだ。そんな弱者の痛みが分かる陛下だからこそ、この国は今平和なのだ」
「り、立派な君主ですね」
「ふむ、他国からは尊厳王と呼ばれたりしているからな」
「弱者の痛み…か…」
「ねえ、皆で魔道具クラブに見学に行ってみない?」
「良いね!行ってみよう」
「サルガス殿下有難う御座いました」
〜翌日〜
「ここね!入るわよ!」
「あれ…もしかして入部希望者ですか!?」
「いえ、見学に来ました。宜しいですか?」
「どうぞどうぞ見て行ってください…ってメイサ殿下!?」
「気にしないで構わないわ!」
「は、はあ…」
部室に入ると想像していたのとは違いとても綺麗な部屋だった。色々な鉱石や魔石、機械が所狭しと、それでいて整然と並べてあった。
部員は全部で3名。4年生1名、3年生2名だった。
「ウチみたいな弱小クラブに見学に来ていただけるなんて感激です」
「へー、結構綺麗にしてるのね」
「機械物が多いのでなるべく清掃はマメにしてます」
「今は何を作ってるのですか?」
「今はオートマタという人形を作っています」
「オートマタ?」
「ゴーレムの人形版の様な物です。因みにこちらです」
「うわあ、クマのヌイグルミだ〜可愛い〜!」
「人形であれば基本的には問題ないです。後は魔力を込めて動かすという具合です」
「こ、このオートマタで何をするんですか?」
「そこなのです…オートマタは元々大昔の賢者が掃除等の家事で使役していたと文献には記載されていましたが、そこまで意のままに動かすとなると…中々難しいですね」
「でも面白そうですね!もし実現できれば一人暮らしの老人や障碍を負った方でも家事をオートマタにお願いすれば少しは介助の助けになりますね」
「そうなんですよ!魔道具とは本来軍事利用ではなく人々の生活の助けに成るべきなんだと思います」
「僕、魔道具クラブに入ろうかな」
「面白そうじゃない!アタシが手伝ってあげるわよ!」
「私も魔道具作ってみたいな」
「ぼ、僕も人の役に立ちたい」
「おお、本当ですか!?これでこのクラブも盛り上がるというものです!あ、申し遅れました。私はコペルニクスと言います。平民なので氏はありません」
「僕はプロキオンです。宜しくお願いします」
〜職員室〜
「失礼しまーす」
僕達は魔道具クラブへの入部届をウェンディ先生へ提出した。
先生は僕達が魔道士クラブに入るものだと思っていたので驚いたそうだ。
掲示板に魔道士クラブの掲載されていなかった事を先生に伝えると魔法を習得できるので単位が取りやすい為、特別な理由が無い限り皆そこに入るので敢えて掲載していないのだとか。
当然メイサは大暴れで抗議していた。
早速次の日の放課後からクラブ活動を開始し
た。
改めてお互い紹介しあった。
「改めまして、僕は一応魔道具クラブ部長のコペルニクスです宜しく」
「僕はデネボラです。宜しくです!」
「私はポリマよ。宜しくね」
「さて新人歓迎会と言うわけでは有りませんが、僕達の活動を見てもらおうかと思います」
「楽しみー!」
「まずオートマタの現状から。昨日見せた人形をココに置きます。この人形には中に魔法陣と魔石が仕込んでありますのでそれに魔力を流します。すると…」
すると人形が立ち上がりヒョコヒョコとメイサの方へ歩き出した。
「わービックリしたー!」
「可愛いー!」
「す、凄い!本当に歩いてる…」
「ちょっとー!こっち来てるじゃないのよー!止めなさいよー!」
「危険は有りません。歩くという指示しかエンチャントしてませんから。是非メイサに触って頂きたいです」
「大丈夫なんでしょうねー!あ、危なくないのよねー?」
「勿論大丈夫です」
恐る恐るメイサが人形を持ち上げた。
「と、止まった…」
「何でー?」
「それは魔力を付与した者と違う人が触れることで違う魔力を感知して一時的に魔力の流れが遮断を起こすからです。メイサさん人形をこちらに向けて置いてみて下さい」
メイサが言われた通りに置き手を離すと人形はまた歩き出した。
「凄い……」
「まだまだこの程度ですがもっと複雑な指示を付与するのが今後の課題ですね」
「じゃあ次は既に普及しているもっと実用的なものを一緒にやっていきましょうか」
「ぼ、僕達にも出来るのですか?」
そうして教えて貰いながら楽しく魔道具を作ったりして皆で遊んだ。
その後親睦を深める為に色々話をしたが、デネボラさんのお父さんはラーン所長だった事。アルリシャさんがここのクラブの卒業生だと言う事など世間は狭いな等と思いながら、魔道具に魅了されていった。




