第六章
退院したてですぐ外出すると親は心配するだろうから内緒にして出かけた
内緒で出かけるとかした事ないのに慣れている感が自分の中ではあった
記憶がない時期にしていたのかな?
ファミレスに向かうと入口から一番遠い席に黒川さんはいた
店内でもフードはかぶっている
待たせましたか?と声をかけて席に座った
【いや…】
黒川さんはこちらをチラッと見ただけで視線をテーブルに戻した
沈黙が続く
聞きたい事があるのになかなか切り出せない
黒川さんからしゃべってー!と心の中で叫んでいた
【君は…】
黒川さんが思い口を開けた
【なんで入院していたんだ?…】
なんなんだろうその質問と思いながらも
お腹が痛くなってー入院してたんです!
でもなんの病気かわからなくて
そう答えると
黒川さんは驚いた表情をみせ
【…そうか】
と小さい声で言った
私はなんで退院の日を知っていたんですか?
なんの話があって呼び出したんですか?
ベンチに手紙を置いて私が読むと思ったんですか?
矢継ぎ早に聞きたかったとこを問い詰めた
黒川さんは慌てて答えてくれた
【退院の日を知ったのはたまたまだ…看護師が話してるのが聞こえた…】
【手紙を置いたのは庭に出てくる君が見えたから見つけてくれるのは賭けだった…】
【呼び出したのは…】
黒川さんは言い淀んだ
えっもしかして告白!?
一目惚れとか!?と変な妄想をしてしまった時
少し頭がズキッと傷くなった
【君はどこまで知っている?】
????
なにが??
なにを??
その質問の意図がわからない
なんのことですか?と聞いてみると
【俺のことを死神と呼んだだろう…?】
【見えているのか?】
質問の意味はよくわからないが
ゾッとした
見えている?なにが?
考えれば考えるほど怖かった
下を向き小さい声で私は答えた
看護師さんの間で黒川さんのあだ名がつけられていて…そのあだ名が死神だったから…
わたしはそう答えた
黒川さんは眉間にシワを寄せ深いため息をつき
【ごめん…今言ったことは忘れて…】
そう言って店から出ようとした
でもなぜか私は黒川さんの手を掴み
待ってください、説明をしてください
【いや…なんでもないんだよ】
なんでもなくて呼び出したりしない
ふざける為に呼んだんじゃないことぐらいわかる
私は強く言葉にした
黒川は少し止まったまま口を開き
【…信じるか信じないかは君にまかせるが他言無用で頼む】
そう言うと席に戻った