裏第九章
次の日病院に向かうと桜のある中庭に白石さんは居た
ベンチがあり座っている
俺は意を決して声をかけた、健太がくれたアドバイスを思い出しながら
なぁ、昨日目があったな、と
驚かしてしまったようでビクッとしていた
まじまじと顔を見られている
【ごめんなさい】
彼女は謝ってきた俺は
なんでずっと見ていた?と尋ねてみた
びっくりした顔をしていた、そして
【毎日見かけていて気になっていたからです】
と言っていた
よかった、よかったって言うのもおかしいが記憶がまだ戻ってないのか
なんだ…それだけか…と安堵の言葉が出てしまった
俺は記憶が戻ってないことなのであまり深く喋るのはよくないと思いその場を去ろうとした
【待って死神さん!!】
ん?死神さん?俺のことか?
俺と健太の中で呼んでいたあの黒い煙を知っているのか?
健太と知り合い?
話したのかな?
それがへんに伝わったのか?
など考えてる時ボソッと
知ってたのか…と呟いた
なんにせよびっくりした
俺は黒川優斗だ死神と呼ぶな!
とびっくりした勢いで名乗ってしまった!
やばい兄ちゃんと苗字同じだから
気づいてしまうかと思っていたら
【私は白石美波です】
という急な自己紹介をされた
よかった思い出してないのかと思った
【私たちは初対面ですよね?】
確かに初対面だが会話をしたことがあるしかし彼女が覚えていないので
俺は君と初めて会ったよ…
と伝えた
携帯がなった
健太の親御さんからだった
手を合わせて欲しいとのことだった
白石さんから離れようと俺はすぐ向かうことにした
健太がいないのにもうあの病院に向かう必要はないが白石さんのことがすごく気になっていた
兄ちゃんのことを思い出さない方がいいのか
それとも大事な兄ちゃんを思い出して記憶の中で乗り越えて欲しいのか
外は強風で俺は2日間ほど引きこもり考え続けた
俺は手紙を書いた
白石さんに話したいことがある今夜8時病院の斜め向かいにあるファミレスで待つ 黒川
ともうすぐ退院すると看護師さんが喋っているのを聞いていたのでこのチャンスだと思った
しかし手渡すのは些か渋っていた
伝えていいのか
ダメなのか
俺は運に任せた
俺と喋ったあのベンチに置いて
読んだら伝え
そのままなら伝えないで去ろう
そう考えた
俺は病院に着いた時中庭に出てくる白石さんが見えたので
ベンチに便箋を置いてその場を去り
夜ファミレスに向かった
ファミレスについて入り口から一番遠い席に座った
あまり顔を見られないよう店内でもフードを被ったままでいた
少ししたら
【待たせましたか?】
白石さんが来て座った
いや…
と無愛想な返事をしてしまった
来てしまった!
伝えないと!
思いながら白石さんを見ると下を向いてしまった
内心すごく震えていた
沈黙が続く
どうしたらいいんだ
来たから言うべきか
どうしようと運に任せ来たのにまだ悩んでいた
そう言えば入院の理由はなんで聞いているんだろと思い
君は…なんで入院していたんだ?…
と質問してみた
【お腹が痛くなってー入院してたんです!
でもなんの病気かわからなくて】
と白石さんは答えた
お腹の子な事もなにも覚えてないのかと思い
…そうか
と小さい声で言った
すると白石さんは
【私はなんで退院の日を知っていたんですか?】
【なんの話があって呼び出したんですか?】
【ベンチに手紙を置いて私が読むと思ったんですか?】
矢継ぎ早に問い詰められた
俺は慌てて答えた
退院の日を知ったのはたまたまだ…看護師が話してるのが聞こえた…
手紙を置いたのは庭に出てくる君が見えたから見つけてくれるのは賭けだった…
呼び出したのは…
とここまで言ったが
優柔不断な俺は言い淀んだ
話を変えよう
健太の知り合いなのかな
あの煙のこと知っているかなと思い
君はどこまで知っている?
と聞いてみた
白石さんは不思議そうな顔で
【なんのことですか?】
主語がないことに気づき
俺のことを死神と呼んだだろう…?
と質問をしあの黒い煙のこともしかして見えるのかと思って
見えているのか?
と聞いた
彼女なら顔色が変わり表情が強張った
下を向き小さい声で答えてくれた
【看護師さんの間で黒川さんのあだ名がつけられていて…そのあだ名が死神だったから…】
なんだそれでかと安心し
はぁーと深いため息が出た
来てくれたけど伝えるのは辞めよう俺が余計なことする必要はないと思い
ごめん…今言ったことは忘れて…
そう言って店から出ようとした
でも白石さんは俺の腕を掴んで止めた
【待ってください、説明をしてください】
そうだよな変なこと言ったなと思ったが
いや…なんでもないんだよ
とその場から逃げようとした
【なんでもなくて呼び出したりしない
ふざける為に呼んだんじゃないことぐらいわかる】
白石さんは強く言った
どうしよう
言うべきか
言わないべきか
くっそ!
変な奴と思わせて距離を取ってもらおう
やばいやつだったで終わればいいと思って
…信じるか信じないかは君にまかせるが他言無用で頼む
そう言うと俺は席に戻ってゆっくりと喋り出した
えーなんて言うか
何も考えずに言葉が出た
俺があの病院に行っていたのは仕事で行っていた…
俺の仕事は……
と言った後思った
仕事!?
自分でもびっくりした
何言ってんの俺へんな嘘ついて
なにを言うの?
なんの仕事?
どうしよう
あっそう言えば俺のこと死神と言ってたなと思い
…魂を回収する仕事…
と死神っぽい事を言った
白石さんは何言ってんのみたいな顔
大丈夫かなこの嘘と苦笑いが出た
俺はその日亡くなる人の魂を回収にある方まで届けるという仕事をしている…
と嘘を続けた
【ある方って?】
あぁつっこまれた
なんで言ったらいいんだろう
変な奴と思ってくれ!と願い
魂をあの世に連れて行く役目の方…
と言った
白石さんは混乱しているようだ
まぁよくわからないよな…俺は昔から霊感が強くて見えないものが見えていた…
と言ったそれは本当だ
この仕事はそれを活かしてできる仕事で…
と言い
これで大丈夫かな変な奴って思って関わらないでおこうと思ったかな
白石さんは唖然としている
まぁ信じないよな…ただの妄想癖のあるやつだと思ってもう忘れてくれ…
と言い残しもうここでいいかと席を離れようとした
【待って!】
白石さんは俺を引き留めた
なんで?
変な奴だよ
こんな奴と関わったらダメだよ
と思っていると
【まだちゃんと理解はできてないけど、嘘じゃないと思う、話してくれてありがとう】
白石さんは伝えてくれた
嘘だよ、純粋だよこの子…
と思って笑ってしまった
その時1人の女性が声をかけてきた
「優斗くん…?」
俺はその人を知っていた
兄ちゃんの友達で昔家に呼んでくれてご飯を食べさせた人だった
俺はやばいとその場をすぐに去った。




