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運動とタンパク質

 さて、食事と睡眠の後にすべきこと。それは運動だ。

 とは言ってもまだ1歳の体のため、まだまだ未発達だ。無理をして体を壊しては元も子もないので、特に関節周りに気をつけながら動く。

 まずは、足腰を鍛えるためにベビーベットの柵をつかみながらスクワット、その流れで腕立てもする。

 次に体幹や腹筋を鍛えるために、膝を着いた状態でのプランク。握力を鍛えるために布団をニギニギしまくる。

 有酸素運動としてジャンプしまくる。そして最後に深呼吸を含めたロングブレスを行い肺活量も鍛える。


 子供の身体が凄いのか、この身体が凄いのかは分からないが回復力がとても高い。オーバーワークにならない様に負荷は調整しているのだが…。

 一通り済ませてストレッチをして運動の時間は終わりだ。


(そろそろかな?)

 部屋の入口を見ながら待っていると、話し声が聞こえてくる。

 ドアが開くと、お盆を持ったジェフ、エマ、オリバーが入って来た。昼食の時間だ。


 貴族の食事は一日二回とされているが、当然肉体労働をしている庶民には足りない。屋敷勤めのジェフ達は朝昼夜の3回。俺もこれに合わせて3回とっている。農民などの身体を酷使する職業の人達は、更に細く食事をとっているらしい。


「モーブ。昼は豚肉の入ったポタージュ、パンとオレンジだ。肉はカーマインが分けてくれた」

「あい!」

 貴族の食べている肉はやはりいい物らしく、柔らかい。予想だが、ジビエではなく家畜の肉だと思う。

 意外だったのが、肉の中では家畜肉は下のランクに見られることだ。貴族は肉の価値を味で判断する訳ではなく、どれだけ珍しいかで判断する。

 幻想を食べるとはよく言ったものだと思う。

 そのため、癖はあるが稀少性の高い山鳥や鹿肉のほうが好まれるのだ。


(ジビエには特別な美味しさがあるとは思うけど、食べるために育てられてるだけあって、こっちの方が美味しく感じちゃうんだよなぁ)

 昼食を食べ終わるが、足りない。運動をするようになってから、ジェフ達が用意してくれる量では足らなくなってきたのだ。


 これが結構キツく、基本的に朝昼の食事よりも、夜の食事の量は少ない。そうすると昼以降はガス欠のような状態になる。

「パーパ」

「なんだ、モーブ」

 最初は父の負担になるかと考えたが、今の自分では稼ぐことはできない。我儘になってしまうが背に腹はかえられぬ。覚悟を決めジェフにおねだりをする。


「昼の、ごはん、もっと」

 伝えた途端、ジェフの表情はとても険しくなる。

(やばい!叱られるか!?)

 身構えていると、こちらを見たジェフが自分の眉間を揉みほぐし、頭を撫でてきた。いつものガシガシといった感じではなく、ゆっくりとした安心する撫で方だ。


「すまん。足りなかったか?」

「うん。あとね、お昼には、豆か卵が食べたいの」

 怒っていないことに安堵しつつ、おねだりを続ける。量の他にも食事内容に不安があるのだ、今日は肉があるからいいが、普段は野菜のポタージュ。明らかにタンパク質が足りないのだ、理想は卵、でなければ豆だ。


「モーブ、まだ貴方には豆は早いですよ。それに卵だって最近は…」

 エマの言うこともわかる、豆は誤飲の可能性が高い食べ物だ。普通は3歳まではそのままでは食べさせない。卵も毎回出せるほど安いものでは無いのだろう。だが肉があまり食べられない現状、どちらかは必須なのだ。


「エマ、大丈夫だ。モーブ、なぜ豆か卵が欲しいんだ?」

「えっとね、動いたあと、食べたくなる」

 身振り手振りを加えて、なるべく必死さを伝える。それを見たジェフは何か考えてる様子だ。


「動いたあと?モーブはまだハイハイしか出来ないっすよね?さすがにこれ以上は太っちまいますよ」

 するとオリバーが横からそう言ってきた。なるほど、動く量が少ないなら必要ないと言いたいのだろう。確かに一般的な幼児であれば、十分な食事量と内容を食べさせてくれている。だがストイック幼児とも言える運動量の俺には当てはまらない。


(ならば!!)

「あるける」

 柵に頼らず手をつきながら、自力で立ち上がる。

 ヨタつきもせず、まずはしっかりと立つ。

 ちなみに、今のところ人前では一度も立ちも歩きもしていない。


「まさか…」

 エマが口元を抑えながらなにか期待するようにつぶやく。ジェフとオリバーは、立ち姿を見た時点で目を大きく開いて驚いている様子だ。


「ほら!」

 そう言いながらベットの上を2~3往復する、鍛えただけあって安定した歩行ができる。そこまで早い速度でなければ小走りもできるだろう。

「…」

 気付くと、3人とも固まっておりピクリともしない。


(…やばい、演技でもヨタついた方が良かったか?)

 良く考えれば、急に立って歩く幼児など、人によっては恐怖だろう。段階を踏んで見せるべきだったと後悔していると、急に体が宙に浮く。

 ジェフが抱きかかえたのだ。


「偉いぞ!よく歩いた、今日はお祝いだ!」

 俺を高い高いした状態でクルクル回るジェフ。

 どうやらいらぬ心配だったらしい。


 結果を言うなら昼食の量が増え、卵が追加された。

 あと何故かエマに説教されたオリバーからで、昼に白パンが出るようになった。

 そんなこんなで、食事の問題は解決したのだった。

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