幼児の食事と不足
エマとオリバーがいなくなってしばらくすると、部屋に人が1人入ってくる。
(今日はハウスメイドさんか)
彼女は手にお盆を持ちながらこちらに来る。今日のメニューは何かなと考えていると、無意識にお腹がなってしまった。
「ふふ、お腹がすいてたんですね。は〜いお待たせしました」
「きゃ〜!」
目の前に置かれたお盆には、白パンに野菜のポタージュ、果物のコンポートとチーズだった。
(今日の野菜は白菜かな?果物はリンゴでチーズはいつものフロマージュブランか、しかも今日は白パンだ!)
この世界のいわゆる離乳食は、想像していたよりも美味しい。基本的にパン、クリームスープ、デザートとして果物、そしてチーズだ。
(フランスの離乳食とかに近いんだよな)
日本では離乳食は乳離れのための食事という考え方だが、フランスでは食を楽しむことを覚えさせる為のものらしい。
(よっぽど貴族よりも健康的な食事なんだよな)
とはいえ、悩みの種の1つとして、この世界の食事が合うかが不安だ。身体は問題ないのかもしれないが、精神的にキツくなりそうなのだ。
乳幼児の時は現状の整理で意識が向かなかったが、今現在の食事は例えるなら病人食を食べているようでとても辛い。
味も薄いし、当たり前だが噛みごたえがない。好きな時に好きな食事ができた世界にいた身としては、結構ストレスなのだ。
(異世界転生ものに憧れてたけど、こんなところで現実を感じさせられるとは…)
もし、この世界が中世と似た食事情なら、庶民ではあまり肉も食えないし甘味などほとんど食べれないだろう。
(ファンタジー世界なら魔物肉とかが流通してるおかげで、肉の供給が高いはずだけど、危険が増すんだよな)
肉をとるか安全をとるかと、意味の無い考えをしていると食事の準備が出来たようだ。
「はい、では食べましょうね」
(やっぱりいただきますの文化はないか)
まずは手にコップを渡される、果実水が入っているようだ。
(水が飲めるのはなんでだ?)
中世では水は飲めるものでは無い、主飲料はビールやワイン、シードルやポワレかそれを水で割ったものだ。それなのに辺境伯家はおろか、家にもある。
(目につく範囲で綺麗な川はなかったし、井戸水も綺麗ではなさそうだった。浄水技術が高い、それか煮沸や濾過が発見されてるのか?)
考えながら果実水を飲んでいると、コップを優しく取り上げられる。
「次はパンですよー」
パンはポタージュに浸してくれたようで、柔らかい。この身体は味覚が良いようで、味をしっかり感じる。だが、やはり前世の記憶のせいなのか薄味というか、旨みがないように思うのだ。パンも香りはわかるのだが弱く感じる。
(離乳食だからか?もし出汁とか、ソースがないなら必ずつくらないと)
西洋料理においては、ブイヨンやフォンは15~17世紀に存在するはずだが、この世界では分からない。
(あぁ、ラーメンとか丼物が食べたい…)
たった1年されど1年、ホームシックを感じるのには充分だった。
少ししてパンとポタージュを食べ終わると、次はチーズを食べる。
知識として知ってるチーズではあったし、美味しいとも思う。
(甘さが足りない…)
だが、蜂蜜か砂糖は欲しいところだ。蜂蜜は赤ん坊にはダメだし、どちらも高くて買えないだろうが。
「はい、最後はリンゴでーす」
リンゴならデザートになると思うだろう、残念ながら甘さより酸っぱさが勝つためこっちの方が苦手だ。
(ちょっと渋みもあるんだよな…)
モチャモチャと食べるうちに完食する。やはり感想としては美味しいが物足りないと言った感じだ。
食事を食べ終わったあとは、少し遊んでくれたのちメイドさんはいなくなる。他にも仕事があるからだ。
俺はこの時間に少し昼寝をする。だが、睡眠の質は良くは無い。布団や敷布団が麻製の上、ゴワゴワしているのだ。藁では無いのが救いとはいえまだ慣れない。
少しベットの上で寝返りをうったあと、微睡みに揺蕩うのであった。
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