食材階級
「食材階級ですね」
食材階級というのは、字の通りで生物や植物をピラミッド型に区分したものである。天に近いもの、地面から遠いものほど高位になる。例えば植物ならジャガイモなどの地面の下になる物は下位、葡萄や林檎など地面から離れた位置にできるものは高位になる。生物なら水の中にいる魚などは下位になり、陸にいる動物が高位になる。鳥類などは更に上位だ。
(前世ではピラミッドの最上位にはフェニックスや神がいたけど…)
神とは聖体パンを言い、フェニックスはシギなどの貴重な肉を言ったそうだ。使用人の人達が王城ではドラゴン肉がでたと話していたが、それと似たようなものだろうか。
「そこなんすよ、シェフは流石に賓客が来てる時は抑えてるけど。野菜は食べるべきだとか、スパイスは味付け程度だとか!アレで敬虔な信者なのが意味わからないっす!」
中世貴族はその価値観があっため、口にするものはパン·肉·果物と野菜をあまりとらない偏食であったらしい。更には香辛料や調味料をふんだんに使う事がステータスであったため、富める者その傾向があったという。
(塩分過多とか糖分過多で病気になってそうだけどなぁ)
富裕層の殆どは肥満体であったとされているし、腎結石や糖尿病だった偉人も多い。貴族を表す青い血は、不健康なものが多く青い顔をしていたからなどという、冗談と思えるような説があるくらいだ。
ジェフは朝起きた時と、夜寝る前には家の天使像に祈りを捧げている。
(料理前にも祈りを捧げているけど、この世界特有のものなのかな?)
前世では料理自体に祈りを捧げる宗教は珍しかったと思う。日本の食事前のいただきますという風習も、西洋ではない習慣なのだ。
この世界では天使を信仰しているらしく、キリスト教や仏教といった見慣れた宗教は耳にしない。
「かぼちゃを生で食べた時もありましたね」
「あ〜、野菜は生で食べた方がいいものがある気がするとか、アホなこと言ってた時っすね」
かぼちゃは生食が可能な種類や大きさがあるが、基本的には消化不良で腹痛などを引き起こす。
(野菜の生食は一般的ではないのか)
野菜が生食されるようになったのは、品種の改良や輸送技術が向上した近代である。
生食に適した品種、マヨネーズやドレッシングといった調味料、冷蔵技術が必要なためだ。
エマ「あの時は討伐遠征帰りで疲れていたんでしょう」
(え、討伐?)
ジェフは俺を拾ってからそばを離れることがあっても、家に帰らなかった日はない。最近の話では無いのだろうが、気になるのは討伐という単語だ。狩りを表しているのかもしれないが、ジェフが同行するのも不思議だし、遠征と表現するだろうか?
(万が一、軍の作戦行動のことだとしたらヤバいな)
軍において討伐遠征とは、他国の追い出しや侵略に使われることがある。
その場合、この国は戦争状態にあるか、それに近い国が近くにあるということだ。
(けど、軍の作戦にジェフが参加するかな?)
エマの言葉について考えていると、部屋の外から2人を呼ぶ声が聞こえる。
「さて呼ばれましたね。モーブ、私達は厨房にいますから。何かあったら泣いて呼んでください」
エマが幼児に対してなかなか難しいことを言ってくるが、いつもの事なので返事を返す。
「あい!」
厨房は昼食が始まるかなり前から、仕込みをするために動き始める。そのためこの時間になるとエマやオリバーは厨房に行き、日替わりで世話をしてくれる人が来るのだ。
「エマ、それは赤ん坊に言うことじゃないっす」
2人のやり取りに笑みを浮かべつつ見送った。
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