臨床の緑
CASE 0 : 臨床検査技師
ここは長野県某所にある二次救急指定、199床の地域医療機関である塩八病院。
ところで皆さんは臨床検査技師をご存知だろうか?
検査をする人...そんな漠然としたイメージだと思う。
誰しも、各医療機関に掛かかる際は「診てもらおう」と思い向かうヒトもいるだろうが中には具合が悪いから「検査してもらおう」と向かうヒトもいるはず。
医者は検査をほとんど行ってくれない。症状を聴き、検査をしてきてもらい、結果か処方なり入院なり手術なりと事を運んで行く。
では、検査をしなければ?
聴くだけで身体の状態が解るだろうか?
処方にせよ手術にせよ医師は検査の結果なくして確定診断は出来ない。
そんな、皆さんが診察に呼ばれるまでの間に行ってもらう検査で臨床検査技師が担うのは、簡潔にいえば「放射線を扱う検査以外の検査」だ。
採血から始まり、尿・心電図・肺機能・超音波検査・眼底・眼圧・神経伝道検査・細菌・ウイルス・病理・細胞診…臨床検査技師は身体の内部情報を多岐に亘る分野から臨床へ報告している。
さて、これではただ「検査をする職業」と思われるであろう。
得られた結果をマウスでポチポチしながら臨床へ結果を飛ばしている…間違ってない。
臨床検査技師は法律上”医師の指示の元”検査が出来る事になっている。そして結果を基に診断するのは医師であるためミスがない限り、臨床検査技師にその後の責任はない。
しかし、実のところ結果を返す際はその検査結果を判読し、違和感があれば医師へ連絡し、時にはディスカッションを経て追加で検査依頼を提案したり、隠れた疾患を示唆する情報を報告している。
そんなやりとりを経て皆さんは診察の結果から診断までに至っている。
これから始まる物語はそんな縁の下の力持ち、臨床検査技師の究明(=救命)の日々のである。
「これが私の究明(救命)です」
塩八病院 診療メディカルチーム 検査科 小田 高将