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一方その頃冒険者からの追跡を逃れたチャールズとセシルは王都クレイディアへとやってきていた。


チャールズは王都にやって来てそうそうに不機嫌な様子だった。


「ちい下民共め、このチャールズ様がいるんだぞ!!なんで道を空けないなんだ??」


セシルがチャールズに言った。


「本当に下民は卑しい奴らですね。」


セシルがチャールズに言った。


「あっチャールズ様、ちょっと下民をいたぶるのを待ってもらえますか?せっかく王都にきたんで新しい魔道具を調達しようと思うんです。」


チャールズがセシルに言った。


「そうか、分かった。」


セシルはキョロキョロと周囲を見渡して物色を始めた。


「うーんとどいつにしようかな??ああアイツにしましょう。」


セシルが目を付けたのは駆け出しの冒険者の姉妹だった。


冒険者の姉が妹に言った。


「いやー、まさかこんなレアな装備品をゲットできるとはね。」


冒険者の妹が姉に言った。


「ルーテスの首飾りが手に入るとはラッキーだったわね。魔力消費を半分にできるレアアイテムできるらしいわ。」


妹が姉に言った。


「他にも黄金の指輪も手に入れたしね。かなりいい値段で売れるんだよね。」


姉が妹に言った。


「ええそれを売れば大金が手に入るわ。これからの旅がかなり楽にすることができるはずよ。これでおいしい物でも食べに行きましょう。」


妹が姉に言った。


「やったー!!」


そこにセシルが現れて冒険者の姉妹に大声でこう言ったのだった。


「あれその首飾りと指輪いいわね。それよこしなさい。」


セシルはそういうと二人からルーテスの首飾りと黄金の指輪を二人から無理やりひったくったのだった。


セシルに後ろからひったくられて冒険者の姉妹は転んでしまった。


二人はすぐに起き上がると冒険者の姉がセシルに抗議をしたのだった。


「いきなりなにするんですか??」


セシルが冒険者の姉に言った。


「あんた達卑しい下民が持っていても仕方のないものよ。私みたいな選ばれた人間が持ってこそ意味がある物なのよ。」


冒険者の姉が負けじと反論する。


「それ私たちがダンジョンに潜って命がけで手に入れたものなんですよ!!」


セシルが冒険者の姉に言った。


「そんなの知った事じゃないしどうでもいいわ!!!」


冒険者の姉がセシルに言った。


「そもそもあなたなんなんですか?」


セシルが冒険者の姉に言った。


「私は貴族様よ。お前ら下民とは住む世界も生きてる価値も全然違うの!!!ほら下民はとっとと失せなさい!!!」


だが冒険者の姉はセシルに負けじと反論した。


「貴族だからってなんで私たちのアイテムをあなたにあげなきゃいけないんですか!!!」


するとセシルが激高した様子で冒険者の姉に言った。


セシルは冒険者の姉を鷲づかみにすると大声で怒鳴りつけた。


「偉そうな口を叩くんじゃないわよ下民ふぜいが!!あげなきゃいけないですって??うぬぼれるのもいい加減にしなさい。いい下民が自分の物を貴族に献上するのは当然の事でしょ!!!いいお前らの下民が所有している物なんて何一つもないの!!お前ら下民の命も財産も全て貴族のものなの!!!だから貴族である私がお前らの物を取り上げたって何の問題も発生しないのよ!!!」


するとチャールズがセシルのもとにやってきて冒険者の姉に大声で怒鳴りつけた。


「セシルの言う通りだ!!テメエら下民は俺達貴族様に奪われる為だけに生かしておいてやるんだ!!ここは奪ってくれてありがとうございます!!っていうべきだろうが!!!そんな事も分からねえのかこの下民が!!!」


セシルが冒険者の姉の胸倉を掴みながら冒険者の姉に怒鳴りつけた。


「そうよ、あんた達が持ってても何の価値もないんだから、私が有効利用してあげようとしてるのよ!!ちゃんと感謝しなさいよ!!」


するとチャールズが冒険者の姉に大声でこう要求した。


「おい下民!!ちゃんと感謝の言葉を言え!!!奪ってくれてありがとうございますってな!!」


冒険者の姉は涙目でチャールズに言った。


「なんでそんな事を言わなきゃいけないの??」


セシルが鷲づかみにしている冒険者の姉をセシルとチャールズの二人で捲し上げたのだった。


「下民!!アンタが間違った事をしたからでしょ??」


「そうだ!!下民!!全部テメエが間違ってるんだ!!分かってるのか!!」


冒険者の姉は半ば泣きながら二人に言った。


「すいませんでした。」


チャールズが冒険者の姉を怒鳴りつけた。


「すいませんでしたじゃねえ!!奪ってくれてありがとうございましただろうが!!」


冒険者の姉は泣きながら言い直そうとした。


「奪ってくれて!!」


すると一人の老人が現れて冒険者の姉に言ったのだった。


「冒険者のお嬢さん、あんたは何も間違っておらん。そんな事は言わんでいい。間違っておるのはそこの盗人共じゃ!!」


チャールズがその老人にキレながら尋ねた。


「おい下民のジジイ!!盗人って聞こえたんだが??まさか俺様の事を言ってるんじゃないだろうな??」


老人がチャールズに大きな声で言った。


「お前らの事に決まっておろうが!!!この盗人共が!!!他の者達が騎士様を呼びに行っている!!すぐにその人たちに盗んだ物を返せ!!!」


チャールズがその老人に怒鳴りつける。


「言い直せ!!!俺様は誇り高い貴族様なんだ!!お前ら何の価値もない下民の上に立つ高貴な存在なんだぞ!!」


その老人も負けじとチャールズに言い返す。


「事実じゃろうが!!この薄汚い盗賊が!!!」


するとチャールズがその老人に殴りかかったのだった。


「この下民が!!!俺様は貴族なんだぞ!!!それを薄汚い盗賊だと!!!ふざけやがって!!」


チャールズは何度もその老人を殴っていた。


チャールズに何度も殴られた老人はその場に倒れ込んでしまった。


だがチャールズはその後お構いなしに馬乗りになり何度も老人を殴り続けたのだった。


その老人は顔中から血を出して気絶してしまった。


チャールズが大声で勝ち誇った。


「思い知ったか??この下民が!!!」


するとそこに騎士達がやってきた。


「お前たち!!!そこで何をしている??」


セシルが少し焦った様子で言った。


「やばい!!騎士が来ちゃった!!」


すると通行人達が騎士達に言った。


「騎士様、こいつらがあの冒険者の姉妹からルーテスの首飾りと黄金の指輪を堂々とひったくたんです!!そしてそこのご老人に正論を言われて逆切れした挙げ句に暴力を振るったのです!!」


騎士の一人がセシルとチャールズに尋ねたのだった。


「なんだと??本当か??」


セシルはその騎士に言った。


「違うわ!!盗んだんじゃなくて、こいつらには必要なかったから献上させてやったのよ。」


チャールズが騎士に言った。


「そうだ、こんな価値のない奴らには必要ないから俺達に献上させてやっただけだ!!このジジイは俺様達が献上させた事にケチをつけたうえに俺様達を侮辱したから痛めつけてやっただけだ。俺様達は何も悪くない。」


騎士たちが二人に言った。


「献上させてやった???痛めつけてやっただと??そんな言い分が通用するわけないだろうが!!!」


「お前達??騎士の詰所まで来てもらおうか!!」


するとチャールズが騎士達に大声で言った。


「騎士の詰所だと!!ふざけんな!!俺様はアルドラス公爵家次期当主のチャールズ様だぞ!!」


この言葉に騎士達は動揺するのだった。


「なんだと???」


騎士達が動揺している様子をみたセシルがさらに大声で言った。


「そうこの方はアルドラス公爵家の跡継ぎであるチャールズ様よ!!!そして私はティルモール子爵家令嬢のエミリアよ!!あんたはごとき下民風情がどうにかできる相手ではないわよ??」


セシルが騎士達に脅すように言った。


「もし私たちを捕まえでもしたら、あんた達の首なんて簡単に飛んじゃうわよ??それでもいいのかしら??」


騎士達が悔しそうに二人に言った。


「ぐぬぬぬ。」


騎士の一人がセシルに言った。


「こんな横暴が許されると思っているのか??」


セシルはその騎士に言った。


「私たちは許されるに決まってるわ、許されないのはあんた達が価値のない下民だからよ!!!覚えておきなさい!!」


セシルが大声怒鳴りつける。


「さあ騎士崩れに下民共!!貴族様にとっとと道を空けなさい!!!」


すると騎士達や王都の人々が渋々ではあったが道を空けたのだった。


セシルがチャールズに言った。


「さあ、行きましょう!!」


立ち去ろうとする二人に騎士の一人が言った。


「チャールズ殿、エミリア殿、この事は王宮やアルドラス公爵家とティモール伯爵家にちゃんと報告させてもらうぞ!!」


セシルがその騎士に言った。


「どうぞ!!ご自由に!!」


セシルとチャールズはその場所を離れた。


そして人気の少ない場所へと移動したのだった。


チャールズが怒りに満ちた表情で言った。


「ちっ!!!下民共め調子にのりやがって!!!」


セシルがチャールズに言った。


「そうですね、最近下民共が調子にのってますね。」


チャールズがセシルに尋ねた。


「そういえばセシルなんで自分の名前を名乗らなかったんだ??」


セシルがチャールズに言った。


「王都クレイディアはケルディス王家が管理する都ですからね。ここでトラブルを起こすとすぐに王国中に伝わっちゃいます。もしこの事がお母さまの耳に入ったら大目玉を食らうんで、とっさにエミリアの名前を言ったって訳です。チャールズ様は大丈夫なんですか?」


チャールズがセシルに言った。


「ヤベエ、親父に怒られる!!!」


セシルがチャールズに聞き返した。


「でもアルドラス公爵様は国外に行かれれてて、今は不在だったのではないですか?」


チャールズがセシルに言った。


「そうだった、親父は今いないんだった。」


セシルがチャールズに言った。


「そういえば今お母様も魔導士協会の研究発表会に行ってるんで、そんなに気にしなくても良かったですね。」


すると表の通りから通行人の話し声が聞こえてくるのだった。


「そういえば、さっきチャールズ様とエミリア様が一緒に手をつないで歩いてたんだって。」


「えっとそういう事うといんだけど、チャールズ様とエミリア様って婚約してるんだっけ??」


「婚約はしてるよ、チャールズ様はリンゼ様とね。それでエミリア様はモンテニオ様と結婚してるの。」


「えっ??それってもしかして二人とも婚約者や夫がいるのに密会してたって事??」


「まあ実際にどうなのかは知らないけど。本当にエミリア様がチャールズ様と手をつないで歩いてたっていうのなら不倫してるのかもね。」


「婚約者がいるのに浮気とか最低ね。」


するとこの話を聞いたチャールズが首をかしげながら言った。


「さっきの下民共はなんの話をしてたんだ??」


セシルがチャールズに言った。


「たぶんさっき事の噂話がもう広がり始めてるんだと思います。私が自分の名前を名乗らずにエミリアの名前を使ったから、チャールズ様とエミリアが密会してたって話になってしまったんでしょう。」


チャールズがセシルに言った。


「ふん、なんて愚かな下民共だ!!知性のカケラもないな!!これだから下民は!!!」


セシルがチャールズに言った。


「そうですね。あっそうだ!!チャールズ様いい事を思いつきました!!」



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