〈13〉
一方のチャールズとセシルは王城から脱出しようとしていた。
「チャールズ様、ここからは別に別に逃げましょう。その方が追っ手をまけます。」
チャールズがセシルに言った。
「ここで二手に分かれるんだな、分かった。」
セシルがチャールズに言った。
「今日の日没後にアリエス村で落ち合いましょう。」
チャールズがセシルに尋ねた。
「ああ、分かった。でもちゃんと逃げ切れるのか???騎士や衛兵共がたくさん追っかけてくるだろう??」
するとセシルがチャールズに言った。
「大丈夫です。追っ手から逃げ切るいい方法をチャールズ様にお教えしますから。」
チャールズがセシルに言った。
「逃げ切れるいい方法があるのか?教えてくれ!!どうやるんだ??」
セシルがチャールズに言った。
「チャールズ様は俺はチャールズ様だと大声で叫びながら逃げてください。それで追っ手から逃げ切れます。」
チャールズがセシルに言った。
「俺はチャールズ様だと叫びながら逃げればいいんだな!!分かった!!!」
チャールズがセシルに言った。
「それじゃあセシルあとで落ち合おう。」
セシルがチャールズに言った。
「ええではまた後で。」
セシルはチャールズが離れたのを確認した後でこう言った。
「チャールズ、あんたは自分では何もできない無能な男だという事がよく分かりました。これならまだゴブリンを連れてきた方が役に立ったはずよ。あんたはゴブリン以下の男まさにゴブリンイカ男だったわ。全て私におんぶにだっこの状態で。今の私がこんな無様な状態なのは全部あんたのせいよ。マジックポーション使い切ってしまって魔力もほぼゼロ、これじゃあとてもじゃないけど騎士達からは逃げ切れない。というわけでゴブリンイカ男あんたにはオトリになってもらう事にしたわ!!!だからせいぜい注意を引き付けてちょうだいね!!あっはっはっはっ!!」
セシルはそういうと武器庫に向かった。
「せいぜいチャールズを追いかけていなさい。」
武器庫に入ったセシルは武器庫に置かれている衛兵の鎧と兜を装備したのだった。
「チャールズをオトリとして注意を引き付けている間に私は逃げ込んで隠れる。そして武器庫で衛兵の装備を拝借して衛兵の鎧と兜を装備する。そしてあとは頃合いを見計らって外を歩いている衛兵に紛れてしまえばいい。兜を着てて顔を隠せるうえに衛兵は王都中にいっぱいいるから一旦紛れてしまえば見つけるのはほぼ不可能なはずよ。」
そしてほとぼりが冷めた頃を見計らってセシルは武器庫の外に出たのだった。
するとすぐにセシルの後方から衛兵達が駆けつけてくるのだった。
「セシルがいたぞ!!!」
セシルは訳が分からずに逃げるのだった。
「えっ?えっ??なんでバレたの!!!」
セシルの後ろから衛兵達が追いかけてきた。
「仕方ない!!!一旦視界から消えてしまえば見つけるのは困難なはず。」
セシルは衛兵達をやり過ごす為に近くの部屋に飛び込むんだ。
気配を消して廊下の外を確認する。
衛兵達は走り去っていった。
「今度はこっちから逃げよ!!」
セシルは今度は逆方向に逃げ出した。
だが先ほどと同じようにすぐに衛兵達に見つかるのだった。
「セシルがいたぞ!!!」
衛兵達が再びセシルを追いかけてきたのだった。
「なんでバレてるの??」
今度は近くの部屋に逃げ込む事も出来ずに衛兵達に囲まれてしまうのだった。
ミーレウスがセシルに言った。
「セシル??これまでよ??観念なさい!!」
セシルがミーレウスに言った。
「お母様??」
「セシル、あなたの捕縛します!!」
ミーレウスはそう言った後で手錠を取り出すとセシルに手錠をはめたのだった。
セシルが嫌そうにミーレウスに言った。
「ちょっと??お母様??外してください!!」
ミーレウスがセシルに言った。
「セシル??逃げようとしても無駄よ、それは魔導士拘束用の手錠よ。その手錠をはめている限り全ての魔法が無効になるわ。」
セシルがミーレウスに尋ねた。
「お母様??なんで私が衛兵に化けてるって分かったんですか?」
ミーレウスがセシルに言った。
「リンゼさんのおかげよ。」
セシルがミーレウスに言った。
「あのゴブリンイカ女のおかげ??」
パシーン!!
ミーレウスのビンタがセシルの頬にさく裂したのだった。
「リンゼさんがね。あなたが衛兵達に紛れて逃げようとしてるから衛兵や騎士の人達にある事をしてもらったの。」
セシルがミーレウスに尋ねた。
「ある事??」
ミーレウスがセシルに言った。
「セシル??衛兵のみなさんを見れば気づくでしょう?」
セシルは衛兵達の姿を見渡した。
そしてようやく気がついたのだった。
「兜を着てない??そうか衛兵や騎士達に兜を脱ぐように指示を出してたって事か。」
セシルがミーレウスに尋ねた。
「この作戦本当にお母様じゃなくてあのゴブリンイカ女が提案したんですか??」
パシーン!!
再びミーレウスのビンタがセシルの頬にさく裂した。
「ええそうよ、それだけじゃなくてリフレクションとサイレンスを組み合わせてあなたを捕まえる作戦を考えたのもリンゼさんよ。」
ドルチェス王子がセシルに言った。
「ああリンゼ様の機転の利いた素晴らしいアイデアだった。さすがはリンゼ様だ。」
ドルガーも私を褒めてくれました。
「なにせ私が誰よりも愛おしいと思っているお嬢様だ。すばらしい提案だった。」
セシルは悔しそうに言った。
「くうー!!このセシル様が読み負けるなんて!!!」
するとそこにやかましい声が響いてきた。
「セシル!!!テメエ!!俺様はチャールズ様だって叫びながら逃げたのに即行で捕まったぞ!!!どういう事だ??」
再び捕まったチャールズがセシルの元に連れてこられたのだった。
それを見たセシルがチャールズに言った。
「当たり前でしょうがあんたをオトリにしたんだから!!自分がチャールズだって叫びながら歩いてたらそりゃ捕まるに決まってるでしょうが!!!」
チャールズがセシルに言った。
「なんだと??セシルてめえ!!!このチャールズ様をオトリにしやがったのか!!!」
セシルがチャールズに言った。
「はあ?あんたなんかオトリにされて当然でしょうが!!あんたこの数日なんの役ににも立ってないじゃない!!あんたなんて私が逃げるためにオトリとして役に立たせるしかないでしょうが!!!」
するとドルチェス王子がチャールズとセシルに言った。
「チャールズとセシル!!この後お前達の罪を裁く裁判が行われる!!覚悟しておけ!!」
そしてすぐにチャールズとセシルの裁判が始まったのだった。