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舞台裏ー東国境門の侵略ー

本日2話目の更新。チェーザレが団長に選ばれた背景の補足話が必要かと思い投稿しました。途中、戦闘シーン、流血シーンがありますのでご注意ください。この話を飛ばしても本編に影響はありません。

ダヴォリア帝国 帝城 皇帝の間にて


王座に座る現皇帝カールミエの側に宰相オルフェオ・ドゥ・デル・ピエロ公爵が控え、皇太子テレンツィオと第一皇女フロリアーナは王座の前で肩を並べる。その一歩後ろに現帝国騎士団長マッテオが跪いていた。

カールミエはゆっくりと宰相に目配せをすると、オルフェオは瞼で頷き用意していた手元の書類を読み上げる。


「ダヴォリア帝国皇帝カールミエ・レッペ・ダヴォリアより命ずる。現帝国騎士団副団長チェーザレ・ヴァリ・リタ・ザッカルドは現職を解し、次期帝国騎士団長の任に就くと共に、更なる帝国への忠誠を誓い、その身を帝国へと捧げることを命ずる。それに伴い」


「お待ちください、皇帝陛下」


オルフェオの言葉を遮り、フロリアーナが声をあげる。女性特有の透る声が高い天井に響くがオルフェオは言葉を止めなかった。


「現帝国騎士団長マッテオ・ヴァリ・ルゼ・イッツオはその任を解き、自身が所持する領地の管理と更なる発展に尽力を注ぐよう、ここに命じる。以上です」


「マッテオが、退役ですか?」


テレンツィオが後ろに跪くマッテオを振り向き様に声をかける。マッテオは俯いたまま首を縦に振って肯を表した。テレンツィオは特段驚いた様子もなく、あからさまに狼狽えている妹のフロリアーナを見据える。


先日16歳で成人の儀を終えたばかりの妹は、軍事帝国と唄われるダヴォリア帝国に相応しい勝気な気性とそれに見合った武の才能、合わせて凛とした佇まい、母親譲りの赤く真っ直ぐな髪と深い緑の瞳にふっくらとした赤い唇が印象的な美しき正統たる帝国皇女だ。

彼女は幼少より兄のテレンツィオ皇太子と共にマッテオから剣の指南を受け、皇帝である父親以上にマッテオを第2の父として尊敬し、理想の男性像として崇拝の域にも達していた。

そんな彼が退役し、巷を賑わす異端児チェーザレが後任になることに納得出来なかった。


「恐れながら申し上げます、皇帝陛下。何故、マッテオの後任があのチェーザレなのでしょうか。私には俄に信じ難い御決定なのですが」


「こちらも恐れながら私より申し上げます、フローリア殿下。今回の御任命はこれまでの彼の功績と帝国民からの声明を考慮した上での」


「だとしましても、彼にはまだ早すぎるかと。彼は先日21歳になったばかりです」


「お前だって、先日成人したばかりだろう」


「皇太子殿下は黙っていてください」


オルフェオに食ってかかる妹に呆れた息を吐きながら、テレンツィオは声を掛けた。

妹の熱意に拍車を掛けることになると分かっていても、一言言わずには居られないのは兄の性分なのだろう。

そんなある意味可愛い兄妹喧嘩を、父親とその側近は目の色を変えずに事を見据えていた。


「そもそも、我がダヴォリア帝国の騎士団長には代々侯爵位以上の方々が担ってきました。現伯爵位とて、祖父の代では男爵位、父親であるイルデブランドが陛下をお守りするという責を全うしたから伯爵位を受けただけのザッカルド家です。息子のチェーザレには帝国騎士団長の位は些か荷が重すぎるかと」


「リリー、お前がマッテオを好きすぎるのは分かるけど」


「だから、お兄様は黙っていてくださいませっ」


「いい加減にしないか」


治まらない兄妹喧嘩に父親の一声が静した。今日、初めて声を発する父親ダヴォリア皇帝の声に、実子とはいえ兄妹2人は居住まいを正した。

ゆったりと座っていた王座の肘置きに頰付き、カールミエはわざとらしくため息をつく。オルフェオが代わりに発しようと身を前に出すが、カールミエは空いている手でそれを制した。

オルフェオは、渋々と手に持っていた書類をカールミエに渡し、一歩後ろへと控える。


「ひとまず、今回のマッテオの退役に関してだが。先日、北の街で発生した襲撃により、マッテオ自身が深手を負ったことが発端だ。今まで拮抗状態であった東国境門が襲撃されマッテオが出陣したが、帝国騎士団の内部での謀反により背後から襲われた。その際に非番であったザッカルドが駆けつけ、一時国境門が破壊、侵国を許したものの謀反首謀者の確保と周辺の共謀者及び東側の領地を統べる領主への指示、街の鎮静まで、ザッカルドが一役を買った。これを称えずにはおれん」


「しかし、、、それは、偶然近くにいただけで」


「マッテオも、自身を庇ったザッカルドを後任へと勧めている」


「なんですってっ」


跪いていたマッテオがカールミエの意を解してから、立ち上がり顔を上げた。俯いていたことにより隠れていた顔の半分を覆う包帯と利き腕である左腕が肩から釣られている状態が改められる。

その痛ましい姿にフローリアは眉間に皺を寄せた。


「マッテオ、当時の状況を述べよ」


「承知致しました」


一礼をしてからマッテオは、北の街の襲撃について語りだした。







北門東に不審な影があるとマッテオが報告を受けたのと大きな爆発音が北の街に響いたのは同時だった。

マッテオはすぐに近くにいた騎士数名で隊を組み北門へと向かうが、突然の爆発から住民が逃げ回り、中々前に進めなかった。彼らがようやく着いた時には、北の街は酷い状態であった。

血を流して倒れている何人かの騎士と住民の避難を支持する何人かの騎士と、半壊している城門。辛うじて、木片で門を抑えている騎士もいるが、向こう側から何度か攻撃を受けている。


数名の騎士だけでは対応できる状況じゃない。国境である要の門を突破されてしまえば、隣国との戦争が幕を明けてしまう。

しかも明らかにダヴォリア帝国の不利な状況で。

それだけは防ぐべく、応援を呼ぶよう指示を出そうとマッテオが振り向いた瞬間、彼の顔に赤い血が散った。不審を報告に来た騎士が、マッテオの顔を斬りつけたのだ。

マッテオを呼ぶ騎士の声が騒乱の空に響く。それを皮切りに、城門崩壊をどうにか凌いでいた騎士らが吹き飛ばされ、武装した兵士たちが北の街に流れ込んできた。



最悪の状況だった。

味方の謀反で騎士たちの間では混乱が広がり、指揮をとる団長であるマッテオが顔と腕を負傷したこともあり、士気が下がっていく。牽制のために団長自ら赴いたのが裏目に出ていた。

隊長格を1人も伴っていないのは、当日緊急召集があったからだが偶然ではないだろう。


計られていた。

共だったのは経験が浅い騎士ばかり。国境の要門を3つ守る北街が制圧されれば、隣接している他2つの国からの侵略が容易くなるだけでなく、王城の背後から攻められる形になる。

負傷した顔と腕の痛みを堪えながら、マッテオは頭を働かせた。


どうにかして、被害を小さく抑えなくてはいけない。


「団長っ!」


考えがまとまらないうちに、またマッテオを呼ぶ声が響く。

覚えがあるその声は今年騎士学校から卒業したばかりの新人騎士だ。マッテオは常に自身の死を覚悟していたが、まさかこんな最期になるとは思いも寄らなかった。団長の位にいながら、新人にそれらしい面を見せてやれなかったと、後悔の念が浮かんだ。

倒れたマッテオに止めを刺そうと侵入してきた兵士が剣を振り上げているのが見える。

誰しもがマッテオの死を予感した。


「危なっ」


兵士が振り下ろした剣は、マッテオに届くことなく何かに進路を阻まれていた。マッテオはくるはずの痛みがこないことに目を見開くと、掠れる視界の中にいたのは兵士の剣を自身の腕で受け止めたチェーザレだった。

チェーザレはマッテオを襲った兵士を軽くいなしてから、地面に横たわる上長へと駆け寄った。


「大丈夫ですか、団長」


「ザッカルドっ、、、あぁ、生きては、いるようだ」


歪んだ笑みを浮かべるマッテオを見て、チェーザレは口元を緩めた。


「少し痛むと思いますが、我慢してください」


決して小柄ではないマッテオの体を片腕で支え立たせると、彼を肩に抱えながらチェーザレは腰に下がっていたマッテオの剣を取って天に向けた。


「狼狽えるな!」


チェーザレの声が空に響く。


「卑劣な侵略者に背を向けるな!」


混乱した戦況に慄いていた騎士が動きを止めた。皆、まっすぐ天へと伸びるマッテオの剣とそれを持つ血に染まるチェーザレの腕を見つめる。


「我らダヴォリア帝国騎士の誇りを以って、敵を制圧しろ。一人も逃すな!!」


チェーザレが持つ剣が空を切ると、その場の空気が動いた。

静止していた騎士達が剣を天に振りかざし、一斉に雄叫びを上げる。士気を取り戻した騎士達は壊れた門から侵入してくる兵士達を次々と倒していき、チェーザレ自身もマッテオを庇いながら敵を迎え撃つ。

敵側も応戦するが、事態は急速にダヴォリア帝国の優位に収まっていった。


謀反を起こした騎士は生きたまま捕らえられ、共謀と思われる騎士は戦況の中、チェーザレの登場と本来の力を取り戻した騎士たちにより、呆気なく拘束された。

遅れて対国境門部隊が到着した時には、北の街は既に戦況は落ち着き、壊れた門の代わりに騎士達が盾を持って並び国境を守っていた。

チェーザレは、北門東の国境門を管理する領主に事態の説明と門の修理の手配を指示してから、対国境門部隊に後始末を任せ、マッテオを騎士団駐屯所の救護室へと運んだ。幸い住民に大きな被害はなく、北の街は少しずつ日常へと戻りつつあった。







「今回の騒動で、私の傷ついた片目の視力を失い、利き腕も思うように動かせなくなりました」


「そんな、、、」


通称、東国境門の侵略と呼ばれるようになったこの事件の始終を話し終えると、マッテオは跪き姿勢を戻した。

傷が癒えていないにも関わらず落ち着いた所作のマッテオに、フロリアーナは眉間の皺を深くさせた。首を垂れる偉大な第二の父は、かつての豪傑な姿からはかけ離れてしまっていた。


「これを機に、マッテオは療養すると共に元々帝国の課題であった食糧難に関して専念してもらうことになる。騎士の卵たちの育成にも関わることになるため、完全な隠居ということにはならないが」


「次世代を育てるという点では、マッテオは適任かと思いますが、団長職を辞さずとも」


「フロリアーナ、これは既に決定事項だ」


読み上げた書類をオルフェオに返しながら、カールミエは自分の娘を見下ろした。

気丈な振る舞いは彼女の魅力の一つであったが、今は青白い顔をしてそれが色褪せている。

微かに震える妹の肩をテレンツィオが抱くように腕を回すと、勢いよく叩き落とされた。


「痛っ」


「大切なことを思い出しましたわ、お先に失礼致しますっ」


フロリアーナは丁寧に腰を折り、重いドレスを軽々と翻した。閉めたドアの音がいささか大きかったのは、気のせいではないのだろう。

叩かれた手はさほど痛くなかったが、わざとらしくテレンツィオが顰めると、男たちの吐いた溜息が重なった。


「皇太子の俺に傷をつけるとは、飛んだ謀反者だな、リリーは」


「新団長に早速仕事をして頂くことになりそうですね」


フロリアーナの退室により緊張が解けた室内で、冗談交じりに開口したオルフェオに勘弁してくれとテレンツィオは笑った。

妹の様子からすると、チェーザレを差し向けたところで火に油だろう。カールミエの許可を取ってから立ち上がったマッテオも、娘を想う父親のように顔をほころばせた。

カールミエ含め、部屋の誰しも気丈に振舞うフロリアーナが可愛くて仕方がないのだ。


「マッテオ、実際ザッカルドの息子はどうなのだ」


「父上、決定事項ではなかったのですか」


カールミエの問いにテレンツィオが返すと控えろと視線だけで示され、テレンツィオは肩をすくめた。

決して仲が悪いわけではない皇帝家親子は、時折肝を冷やすようなやりとりをする。その度に周囲の空気がぴりぴりと緊張感を持つが、長い付き合いであるオルフェオとマッテオは特段気にすることはなかった。


マッテオは、苦々しい表情をしてカールミエの問いに応える。


「陛下、ザッカルドは幼少期から周囲を賑わす逸材の持ち主です」


「そうらしいな」


「本人は余り声高らかには致しませんが、5歳の時からザッカルド伯爵が営む騎士の訓練所に通い、そこで負けず知らずだったというのは有名です」


「それは俺も知ってる。ロレンツォの話だと騎士学校時代でも入学してからずっと体術では首位」


「それはもう耳にしている。他にはないのか」


「恐れながら。伯爵の訓練所に入る前に、一人でならず者を2名倒したとかで」


「5歳の子供がか?」


「はい、しかも本人は無傷だったとのことです」


カールミエは驚嘆の息を吐きながら、深く王座に座り直した。

幼い5歳の子供が、なんの訓練も受けず、しかも無傷で悪漢を制するなんて、龍王の血を引き継ぐ貢献者たちの中でも、チェーザレのように異質な存在は今までいなかった。

ただでさえ、帝国騎士団に入団してからの実力と功績、昇格の早さは帝国内でも話題にだというのに。


カールミエは顔を曇らせて問いを続けた。


「オルフェオ、お主は何か聞いているか」


「愚息の言葉を信じるのであれば、現副団長になってからは第1騎士隊と第2騎士隊隔てなく扱い、折り合いが難しかった両隊の架け橋になっているとのこと。また、近年問題視されている魔物討伐でも、実働部隊の任務を奪う程、かなりの活躍をしているとのことです」


「騎士のお手本のような奴だな」


「仰る通りかと。加えて、、、平民の噂程度ですが、チェーザレが言い伝えに在る初代皇帝の生まれ変わりではないか、という声も挙がっております」


「それは、、、芳しくないな」


「はい、、、御察し致します」


カールミエは額に手を当て、オルフェオの噂について思考を巡らせた。


建国伝説に登場する初代皇帝は、実在していた人物でダヴォリア帝国の英雄だ。

ダヴォリア帝国の基礎を小さな集落から造り上げた初代皇帝は、短期間で「国」と呼ばれるまでその集落を発展させる。資質を重視し皇帝を頂点とするダヴォリアは、最近では皇帝家の血筋を重視する意見も強くなってきた。

ここ数百年、皇族の直系から歴代の皇帝を選出してきているということもあるが、それは皇帝たるに相応しい能力を持った血筋との政略婚に力を入れてきたからだ。

そんな中、直系外の者に初代皇帝の影を重ね、帝国民の心を掴んでいるとなると、皇族は無視できない。


ましてや、チェーザレは目に見えて騎士の鑑、英雄のような働きぶりと人々を魅了する美丈夫。無下に扱えば、帝国民からの大きな非難を浴びることになるだろう。

この度の帝国騎士団長への昇任は、適当な判断だった。


「マッカオ、お主はどう思う?」


「どうと仰られますと」


「今回の退役について、何か申しておくことはないのか」


「それは、、、」


カールミエの問いかけに、マッカオはつられている自身の利き腕を残った片目で見つめた。

痛みは既に慣れたが、先程フロリアーナに伝えた通り、もう思うように動かない。片目での生活も今までと違って苦労することもあるだろう。


「なんでも構わない」


言い留まる現騎士団長に、皇帝は促す。


「実を申しますと、私個人としては良い機会だったと感じております」


「なぜだ」


「もちろん、今回の襲撃にて今後騎士として満足に任務を全うできない体になったということもありますが、そろそろ私は、潮時だったのかと思います」


「潮時?」


「謀反を起こした部下への教育、指導、管理不足。北門での爆発時の判断力不足。味方だったとはいえ、背後からの殺気に対応出来ない体。今回の一件で、私の中に過信が渦巻いていると気付きました」


「お主の忠誠心と働きぶりは称賛たるものだ。私も多く助けられてきた。決して過信とは思わぬぞ」


「勿体ないお言葉、ありがとうございます。しかし、陛下。私はもう、帝国の騎士として失格なのです」


マッテオの綴る言葉に、彼以外の3人が解せぬと眉間に皺を寄せた。

カールミエの言うとおり、マッテオは騎士として長年務め、皇族を、ダヴォリア帝国を支えてきた。帝国騎士団長として堂々たる姿と人徳で騎士たちをまとめ上げてきた「貢献者」の一人だった。


「この命が絶える時まで、陛下に、この帝国に忠義を尽くし最前線に立ち続けようと務めて参りましたし、それが可能と信じておりました。しかし」


マッテオは一度言葉を止め、カールミエから視線を外し下に向けた。


「北の街で死期を感じたとき、若い騎士が私の名前を呼びました。私はまだ騎士団長として彼に何も伝えられていない、そう後悔の念が生じました。そして私は思ってしまいました。まだ死にたくない、と。帝国に命を捧げたにも関わらず、私はあの時に帝国を裏切ったのです。それに私の体は少しも動かなかった。傷を負ったということもありましたが、老いによる体の衰えをあの街で痛感しました。私はもう、帝国騎士を名乗る心身を持ち合わせてございません」


長い言葉を止め、マッテオはゆっくりとその場に跪き、長年忠義を尽くした皇帝陛下に深々と頭を下げた。


「カールミエ皇帝陛下、どうか私をお赦しにならないでください。私は、、、謀反者です」


最期の言葉だけ、静かに部屋へと響いた。

東国境門の侵略に関して、マッテオに不手際が一切ないと言えないが、責任を取るまでもなかった。ましてや、謀反など。

しかし、誰もそれを声に発しなかった。マッテオの強い忠誠心は、皆知っていた。知っているからこそ、かける言葉が見つからず、その言葉があったとしても、相応しい人物が発するのを待っていた。


「分かった」


カールミエは短く応える。身を正し王座から立ち上がると、皇帝は専用の出口へと踵を向ける。その後ろにオルフェオが従えた。


「先にも述べた通り、今回の決定に変更はない。己を謀反者と言うのなら、、、これから贖え」


俯くマッテオの頭に向かって、カールミエの事務的な声が覆いかかる。マッテオが短く応えると、カールミエはオルフェオと共に皇帝の間を辞した。

その足音が聞こえなくなるまで、その場でマッテオは跪き続けた。




残されたテレンツィオは思う。

マッテオという男は本当に強い忠誠心を持っているが、帝国へ、は実際建前がある。彼が本当に忠誠を誓っているのは、カールミエだ。

父親が居なくなったら、マッテオはどうなるだろうか。共に逝くのだろうか。はたまた。

本人が否定はしたが、彼は誰よりもダヴォリア帝国騎士団長に相応しい。自分に一礼をし、背を向け部屋の外へと歩き出すマッテオの大きな背中を、煮え切らない想いでテレンツィオは見つめた。

帝国の皇族は大家族です。皇帝、皇妃、皇太子、第一皇女、第二皇女、第二皇子、第三皇女。兄弟全て皇妃が実の母というすごい皇妃様です。しかし、登場人物が増えていく。。。次こそは恋愛要素を!

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