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2【家出少女】

さて、どうしたものか。

「ほおっておいて」とは言われたがここで「はい、そうですか」って立ち去るのもどうかとも思うしな。

それにあの涙が気になる。


そんなことを考えていると少女は顔は上を向いたままで目だけでこっちを見て口を開いた。


「ねえ、あなた」


「え?

俺?」


「そう、あなた」


「な、なんだ?」


「私と同じクラスの双葉 透くんだよね?」


「そ、そうだが」


なんでこの子俺の名前知ってんの!

あらヤダ怖い!


「あら、私が誰だかわからないの?」


いや、分かるわけないだろ!?

俺の知り合いに家出少女はいないはずだぞ!

あ、でも同じクラスってことは一応知り合いなのかな?

とりあえずわからないことには変わりないので頷く。


「これならわかるかしら?」


少女は右手で顔に垂れ下がった髪をたくし上げ顔を見せる。


「あ!

一条 一姫!」


顕になった顔は街ですれ違ったら絶対に二度見してしまうほど綺麗だった。

俺はその綺麗な顔立ちに見覚えがある。

俺だけじゃないな。

俺とこの少女が通っている高校の在校生なら全員知っているであろう。

何故ならこの少女は成績優秀、スポーツ万能、品行方正のスーパー美少女で、生徒だけではなく先生からも一目おかれており校内彼女にしたいランキング二年連続一位に輝いたお方なのだ。

そして、ここ一週間程学校に来ていなく教師以外誰も理由を知らなかったので「学校を辞めるのではないか?」などの噂がたっていた人物だった。


「いきなり呼び捨てはよろしくないんじゃない?」


「あ、申し訳ない。

取り乱した」


いかんいかん。

思わず我が校のアイドルを呼び捨てにしてしまった。


「もういいわ。

で、あなたって一人暮らしだったよね?」


「そうだが?」


なんで知ってんだよ!

てか今なんでそんな話になるの?

めっちゃ怖いんだけど!


「お願いなんだけど。

今日泊めてくれない?」


「は?」


「だから今日、あなたの家に、泊めてくれない?」


「断ったら?」


恐る恐る聞いてみる。


「襲われるって叫ぶ。

そして学校であなたに襲われそうになったって皆に言う」


性格悪いなこいつ!

お前みたいな人気者にそんなことを言いふらされたら俺みたいなヒエラルキー最下位のやつなんか一瞬にして潰されちまうだろうが!


「でも連れて帰ったら連れて帰ったで誘拐とか監禁とかで俺が捕まる可能性とかもあるよね?」


頑張って抵抗してみる。

無意味だとわかっていてもやらずにはいられなかった。


「それもそうね。

じゃあ、選んで。

ここで私に叫ばれて捕まるか、私を連れて帰って捕まらない可能性にかけるか」


悪びれもせず淡々と恐ろしいことを言ってくる。


「連れて帰らせてもらいます」


俺は崩れ落ちた。


「そう、ありがとう」


「どういたしまして」


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