第4章 国会 後半
第五十四条 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
2 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
3 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。
第五十五条 両議院は各〃その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
第五十六条 両議院は、各〃その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
2 両議員の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
第五十七条 両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
2 両議院は、各〃その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。
3 出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。
第五十八条 両議院は、各〃その議長その他の役員を選任する。
2 両議院は、各〃その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
第五十九条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
3 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くこを妨げない。
4 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
第六十条 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
2 予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
第六十一条 条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。
第六十二条 両議院は、各〃国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
第六十三条 内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。
第六十四条 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
2 弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。
第7-2章 法律が出来るところ(2)
麦茶を飲み干すと、一気に仕上げようと伊野上と桃子は作業を再開した。
「じゃあ、一気に行こう。質問は最後にまとめてすることにしたら、スピードも上がるだろうし」
伊野上はそう一言言って、桃子がうなづくのを確認してから、続けた。
「第五十四条、衆議院が解散されたときには、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行って、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
2、衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に進行を止める。但し、内閣は、日本国に緊急の事情があって開く必要があると判断したときには、参議院の緊急集会を求めることができる。
3、第五十四条の最後に書かれている但書の緊急集会において決定したことは、臨時のものであって、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、決定は全て取り消しになる。
第五十五条、衆議院と参議院はそれぞれの議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員を辞めさせる決定を出すためには、出席議員の三分の二以上の多数による議決が必要である。
第五十六条、衆議院と参議院は、それぞれの総議員の三分の一以上の出席がなければ、それぞれの議院で議事を開き議決することができない。
2、衆議院と参議院の議事は、この憲法に特別に決められている場合を除いては、出席議員の過半数で全て決め、可否同数のときは、議長が最終的な判断をする。
第五十七条、衆議院と参議院の会議は、誰でも見ることが出来る。但し、出席議員の三分の二以上の多数で決定したときは、秘密会として誰にも見せないように会議を開くことができる。
2、衆議院と参議院は、それぞれの議院でその会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密にしなければならないと認められるもの以外は、その全てを公表し、さらに一般に広く読まれるようにしなければならない。
3、出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、会議録に記載しなければならない。
第五十八条、衆議院と参議院は、それぞれの議院の議長やその他の役員を選任する。
2、衆議院と参議院は、それぞれの議院の会議やその他の手続や内部の規律に関する規則を決めて、それに、それぞれの院内の秩序をみだした議員を罰することができる。但し、議員を強制的にやめさせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
第五十九条、法律案は、この憲法に特別に決められている場合を除いて、衆議院と参議院で可決したとき法律となる。
2、衆議院で可決したが、参議院で衆議院の議決と違う議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときだけ、法律となる。
3、第五十九条2項の規定は、法律で決まっている通りに、衆議院が、衆議院と参議院との協議会を開くこを邪魔したりしない。
4、参議院が、衆議院の可決した法律案を会議にかけてから後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、参議院が議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとして考えることができる。
第六十条、予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
2、予算について、参議院で衆議院と違う議決をした時は、法律で決まっている通りに、衆議院と参議院との協議会を開いても意見が一致しないとき、それか参議院が衆議院の可決した予算を受け取った後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
第六十一条、条約を結ぶときに必要な日本国国会の承認については、第六十条二項の規定をそのまま使う。
第六十二条、衆議院と参議院は、それぞれの議院で国政に関する調査を行って、さらに、証人の出頭や証言とか記録の提出を要求することができる。
第六十三条、内閣総理大臣やその他の国務大臣は、衆議院と参議院にそれぞれに議席があるかないかに関係なく、どんなときでも議案について発言するためそれぞれの議院に出席することができる。さらに、答弁か説明のためにそれぞれの議院から出席を求められたときは、必ず出席しなければならない。
第六十四条、日本国国会は、やめさせるようにとの意見を言われた裁判官を裁判するため、それぞれの議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
2、弾劾に関する事項は、法律で決める」
「…一気過ぎて、何がなんだか…」
桃子は頭がホワホワしているようだった。
とりあえず、伊野上は整理して説明を始めた。
「分からないと思う単語を、整理して説明をしてみるから、ちゃんと聞いとけよ。でも、弾劾だけかな?弾劾というのは、被告となるべき訴えられる人が裁判官みたいな国家公務員の場合のときに開かれる、特別な裁判の名前だね。まあ、詳しくは『弾劾裁判所公式ホームページ[http://www.dangai.go.jp/index.html]』を参照するといいと思うよ」
「後で見ておくね」
桃子は伊野上に言った。
それから立ち上がって、空になったコップを片付けた。
伊野上は伸びをしてから立ち上がって、伝えた。
「じゃあ、俺はもう帰るよ。これを自分なりにまとめておきたいし」
「分かった。次は、第5章になるね」
「そうだな。第5章は…内閣に関する条文だったな。まあ、一気に仕上げられる分量のはずだし、無理だったら休憩を挟んでもいいしな」
「それで行こうね。また明日、かな?」
桃子は身支度をしている伊野上を見て言った。
「そうだな。じゃあ、明日」
伊野上はそのまま靴をはいて、桃子の家を後にした。