第3章 国民の権利及び義務 後半
第三章 国民の権利及び義務(続き)
第二十六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
第二十七条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
2 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
3 児童は、これを酷使してはならない。
第二十八条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。
2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
第三十条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
第三十一条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
第三十二条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。
第三十三条 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
第三十四条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。
第三十五条 何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
2 捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。
第三十六条 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁止する。
第三十七条 すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
2 刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
3 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
第三十八条 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
2 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。
第三十九条 何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。
第四十条 何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。
第6-2章 自分達の権利(2)
ちょっと休憩してから、伊野上と桃子は再び作業を始めた。
「次は、第二十六条からだね」
桃子が確認してから、伊野上が始める。
「第二十六条、全ての日本国民は、法律によって定まっているとおりに、それぞれの能力に応じて、平等に教育を受ける権利を持っている。
2、全ての日本国民は、法律によって定まっているとおりに、それぞれが保護している子供達に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育は、タダとする」
「普通教育…中学校と小学校のことね」
桃子が確認を入れる。
「そうだね。高校以上になると、義務じゃなくなるからね」
そう言って、伊野上は続けた。
「第二十七条、全ての日本国民は、働く権利を持っていて、その義務を負う。
2、給料、働く時間、休憩やその他の労働の条件に関する基準は、法律で定める。
3、子供は、酷使してはいけない。
第二十八条、働く人たちの団結する権利や団体交渉その他の団体行動の権利は、これを保障する。
第二十九条、財産権は、侵してはいけない。
2、財産権の内容は、公共の福祉に合うように、法律で定める。
3、私有財産は、妥当な補償によって、公共のために使うことが出来る。
第三十条、日本国民は、法律に定められているとおりに、納税の義務を負う。
第三十一条、誰であろうと、法律に書かれている手続きに従わなければ、命や自由を奪われたり、それにその他の刑罰を加えられることはない。
第三十二条、誰であろうと、裁判所で裁判を受ける権利を奪われない。
第三十三条、誰であろうと、現行犯としてつかまる場合を除いて、権限がある司法官憲が発行し、それに理由となっている犯罪を明らかにしている令状によらなければ、逮捕されない」
「司法官憲って何だろう」
桃子が聞いた。
「いわゆる裁判官だよ。もともとは、逮捕、捜索、押収などの令状を発行する権限がある司法機関の人って言う意味だったらしいけど、時とともに変わっていったみたいだね」
伊野上が言った。
「ふーん」
桃子は、それをメモっていた。
「じゃあ、続けるね。
第三十四条、誰であろうと、理由をすぐに言われ、その上、すぐに弁護士に依頼する権利を与えられないのであれば、捕まったり牢屋に入れられることはない。それと、誰であろうと、ちゃんとした理由が無ければ捕まらず、要求があれば、その理由を、すぐに本人とその弁護人が出る誰でも見ることができる法廷で公表されなければならない。
第三十五条、誰であろうと、住んでいるところ、書類やそれ以外のものについて、入られたり、探されたり持っていかれたりすることがない権利は、日本国憲法第三十三条の場合を除いて、ちゃんとした理由によって発行され、その上探す場所ともって行くものを明らかに書かれた令状がない限り、侵されない。
2、探したり持って行くことは、権限がある司法官憲が発行するそれぞれの令状に従って、行われる。
第三十六条、公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対に禁止する。
第三十七条、全ての刑事事件では、被告人は、公平な裁判所ですばやい公開裁判を受ける権利を持っている。
2、刑事被告人は、全ての証人に対して討論する機会を十分に与えられて、そして、公費で自分のために強制的な手続きによって証人を求める権利を持っている。
3、刑事被告人は、どのような状況でも、資格を持っている弁護人を依頼をすることが出来る。被告人が自分で以来が出来ない状況ならば、国が代わりに弁護人をつけることが出来る。
第三十八条、誰であろうと、自分自身に不利益な供述は強要されない。
2、強制、拷問や脅迫による自白だったり不当に長く閉じ込められたりした後の自白は、証拠として採用できない。
3、誰であろうと、自分自身に不利益な唯一の証拠が自分の自白だった場合、有罪とされたり、刑罰を科されることはない。
第三十九条、誰であろうと、それを行ったときに合法だった行為やすでに無罪とされた行為については、刑事上の責任は問われない。それと、同じ犯罪について、何度も裁判は開かれない。
第四十条、誰であろうと、閉じ込められた後、無罪と裁判によって判決を受けたときは、法律に書かれているとおりに、国にその分の補償を求めることが出来る」
伊野上は、伸びをした。
「これで終わりだー」
「第三章がね。これから、第四章もやらないと…」
桃子が、ちょっと心配そうに言った。
「間に合うかなー…」
お盆のちょっと前。
「全部で第十一章第百三条まであって、第九章からは、2日ぐらいで終わるだろう。まあ、何とかなるんじゃない?」
伊野上が簡単に答えた。
「第六章が第七十六条から、計二十七条が五章の間に入ってるの。だから、それまでに、どうにかなれば…」
桃子は何かを考えているようだった。
「どうしたんだ?」
伊野上は聞いた。
「ふぇ?あ、ううん。ちゃんと時間通りにできるかなって…」
「なんだ、そんな問題か」
伊野上は言った。
「これから集中して出来たら、何とかなるだろうさ」
それだけ言ってから、立ち上がった。
「さて、俺は帰るとするよ。第四章の下調べをしておくから」
そして、伊野上は自分の家に帰った。
桃子は、なにやらため息をついていた。