8.弱い命
白血病にかかってしまった雪。
何もかもわからなくなって雪を失うことが怖くなる友輝。
それを励ましたのも雪だった・・・
そんな中友輝はあることが約束の誓いとなる・・・
8.弱い命
気づいたら病院のベットの上だった・・医師から告げられたのは・・・
「あなたは〝白血病"です」
(う・・そ・・・なんで・・せっかく生きたいと思っていたのに・・・)
自分への報いなんだとそう思った・・・家に帰ると友輝も暗い顔をしていた。
「雪・・俺・・・何もしてやれなかった・・・ごめん」
その目に光がなく、まるで自殺を考えていた自分のようだ・・・
(お願い・・・そんな顔・・もう嫌なの・・・)
私は友輝に近づいて頬にそっとキスをした。
「雪・・・?」
涙がこぼれる。悲しい2回目の涙だった・・
「友輝、そんな顔しないで・・・」
ぽたぽたと目から涙が溢れて視界が揺れる。けれど友輝だけははっきりと映っていた。
「友輝・・・この余命の1ヵ月をもらってくれないかな・・?」
「雪・・・泣かないでくれ・・」
悲しくて悲しくて泣く私を友輝は頭を撫でてあやしてくれた。
「わかった・・雪の1ヵ月を俺にくれ」
「うん・・!」
心の中がギュッとなる。死にたくなかった。今日は11月24日・・1か月後はクリスマスイブの日だった。
(絶対に生きていこう!)
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雪は病気なのに涙をぬぐって笑顔を見せた・・命はなんて残酷なんだろう・・・
「1日でも生きるためにいろいろ気をつけなきゃ!」
「あぁ」
小さな体で強い心を持っている。俺は手伝ってやることしかできない・・
(俺はまた、人を失うのか・・?)
雪を見つめながら思ってしまう。不安になっていた。雪がいなければ・・・1つのベットに2人で転がるようにして眠った。そして俺は夢を見た・・・
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「友輝さん・・・友輝さん・・・」
誰かが俺のことを呼んでいた。振り返ると雪と同じ黒くてまっすぐな髪の女性がいた。
「あなたは?」
「私は雪の母です。あなたにお願いがあってここへ呼びました」
ゆっくり笑みを浮かべた。顔が雪そっくりだった。
「あの子は自分を閉じ込める癖があります。だからこそあの子のそばにいてあげて欲しいんです」
「わかりました」
(雪は・・・こんなに愛されていたんだな・・母親に)
「あの子は私のことをよくは思っていないでしょう・・・自分を置いて逝ってしまったのですから。改めて謝りたいんです。寂しい思いをさせてごめんねと伝えてほしいのです・・」
「はい。必ずそうします」
「最後にあの子に海を見せてあげてくれませんか?昔いけなかった海へ」
「わかりました。あなたの願いは必ずかなえて見せます・・だから雪に時間をください」
そしてその人は一言だけ言って・・・
「ありがとう・・」
優しい声とともに光へと包まれる・・暖かい・・そんな光だった。目が覚めると雪が俺に抱きついて寝ていた。夢の内容がはっきりと流れ込んでくる。
(俺は雪を喜ばせるため、頑張らなきゃいけないな)
夢で雪の母親にあった友輝は雪を喜ばせることを誓った。
病気の雪を救えるのはもう友輝しかいない・・・
焦りもあるけれど確実に前へと進んでいく。友輝は海に行って雪を喜ばせることができるのだろうか・・・
9話に続く~