6.自分の光
目が覚めると、いつも通りの朝を迎える。
昨日の友輝を思い出して動揺してしまう雪
そこで友輝は急なお願いをした・・・
6.自分の光
目が覚めて起き上がる。ぼやぁっとしたところから一気に昨日の記憶がよみがえってくる。
(あぁ・・!もう・・やだ・・!!)
頬が赤くなっていくのを感じて無意識に顔を覆う。今までこんな感情がなかったから戸惑って仕方がなかった。
「う~ん・・・雪?起きたのか?」
「あ・・うん・・!」
声が裏返ってしまった。恥ずかしくてまた毛布にくるまってしまう・・
「何赤くなってるんだ・・?おーい雪~」
「なんでもないよ・・・!」
(これなら、顔を見られることもない・・・!)
やっと解放される・・そう思っていた・・・
「何でもないわけがないだろ?隠すようならこっちにも考えがあるな・・」
「え?」
その時、部屋が急に静かになった。誰もいないかのように静寂に包まれる。不安になって友輝を呼んだ。
「友輝?」
返事がなかった。
「友輝・・どこにい・・・きゃあ!」
いきなり毛布ごと何かに包まれた。身動きが取れずごそごそと音を立てるだけだった。
「友輝・・!はなして・・・!」
私を毛布ごとぎゅっとして離してくれず、耳元から声がする。
「理由話すなら離してやるよ・・どうする?」
おちょくってくるような言い方で、少し嫌だった。
(友輝ってこんな性格だっけ・・?)
びっくりするくらいだった。変わってしまったとしか言いようがなかった。けれどこれも、友輝の一面なんだと実感した。
「わかったから・・・!話すから許して・・!」
「よし・・」
やっと毛布から離れてくれた。毛布から顔を出してみた。
「で、どうしたんだ?」
「その・・昨日のことが恥ずかしくて・・・」
(自分でも言いたくないのに・・!)
また心が乱れてしまう。ぐちゃぐちゃになった心を何とか戻そうと必死で頭が働いていく。
「あれでか・・・まぁいいか・・かわいいのは事実だしな!」
「かわいくなんか・・・んっ・・!」
怒って顔を出した瞬間、唇を奪われる。
「んんっ・・・とも・・き・・っ・・」
話す暇もなく、深くキスされてしまう・・頭が働かず、真っ白になっていく・・
「いい顔・・やっぱり雪はかわいいよ・・その顔は俺だけに見せてろよ?」
「--っっ」
また顔を赤くしてしまった。ぎゅっと抱きしめられてぬくもりをまた感じた。
(生きてる意味がやっと分かったかもしれない・・・私は・・・)
自分は友輝を笑顔にするために生まれてきたのかもしれない・・・そう思った。
「なぁ、雪の街に行ってみたい」
「え?」
突然のことで固まってしまった。これで二回目だった・・
「学校には行かない。だからダメか?」
(私は・・・)
「いいよ」
「ありがとうな。じゃあ行くか!」
「今から?!」
手をひかれるまま、外へと飛び出す。肌寒い11月。私には友輝がまぶしすぎて、暖かいと思えた。
この後、人生で一番嫌な日になるとは知らずに・・・
雪の街に行こうとする二人。
この後のことも知らずに、二人は駆け出した。
雪の街では何が起きるのか・・・
4話に続く~